合併によって誕生した当社は、創業当時から他者との共存共栄の精神を大切にし、人々の暮らしを豊かにすることを目指して、100年以上にわたって社会に有益なさまざまな素材を開発・提供してまいりました。

一方、私たちを取り巻く社会は、地球規模の環境問題や地政学的なリスクに加え、自然災害や予期せぬ新型感染症の世界的な蔓延など、さまざまな課題が次々に発生しています。また、AIなど新たな技術も加速度的に進歩し、私たちの暮らしや働き方にも大きな変革をもたらしています。

こうした中、100周年の機会に次代を担う人財中心に策定した新長期ビジョン「DAICEL VISION 4.0」と中期戦略「Accelerate 2025」では、私たちの原点である「共創」を改めて理念として掲げ、私たち自身をより強靭な企業グループへ進化させるとともに、価値観を共有いただける皆様との新たなバリューチェーンを構築し、私たちだけでは解決が困難なより大きな社会的課題にも取り組んでいくことを掲げました。

「健康」「安全・安心」「便利・快適」「環境」といった当社グループの強みを活かせる領域を中心に、人々の幸せに貢献できる事業の拡大・育成を進めるとともに、それを推進する人や組織に関連する諸施策にも取り組み、改革のスピードを上げていきます。既に最大のグループ企業であるポリプラスチックス株式会社の完全子会社化を完了し、成長分野でもあるエンジニアリング・プラスチックス事業で、次世代通信やモビリティなど人々の暮らしの高度化に貢献してまいります。また、お客様との共創によりウイルスなどを効率的に除去しエネルギー消費も抑制するエアコン用フィルターの新素材を開発したり、既存製品の技術を意訳し全く異なる分野で新たな機能を提供したりするなど、新しい発想で社会の期待に応えられるモノづくりに取り組んでいます。
さらに、製造プロセスのイノベーションでも、大学や他社との共同研究を通じて、再生可能資源による新素材生産を環境負荷の小さい方法で可能とする新しいケミカルプロセスの開発や、化学プラントを画期的に小型化しエネルギー消費など生産効率を飛躍的に向上させるプロセスの開発も進めています。温暖化対策では、温室効果ガスの発生抑制に取り組むとともに、CO2を有効利用する技術の開発にも取り組んでいます。

こうした取り組みを通じて、価値ある製品の提供とそれによる企業業績の向上を図るとともに、さまざまな企業・団体との新しい共創の仕組みを構築することで、単独では実現できない、循環型社会の構築をめざしています。
賛同いただける仲間を増やし、ステークホルダーの皆様のご理解とご協力をいただきながら、人々の幸せと持続可能な社会の実現に邁進してまいります。

代表取締役社長