Cellulose acetate 酢酸セルロース|人体・環境にやさしく、耐久性に優れています。
酢酸セルロースは、1865年にドイツのシュッツェンベルガーにより初めて合成されました。その後、研究が重ねられアセトン等の汎用溶剤に可溶化することに成功、工業化への道が拓かれました。我が国では、当社が大正時代末期より研究を行い、昭和10年(1935年)に工業化に成功して市販を始めました。その後も技術革新をすすめ、最高の品質の製品をお届けできるよう努力を続けております。
酢酸セルロースは、耐薬品性、耐熱性、耐燃焼性に優れており、また、天然のセルロースを原料とした、人体や環境にやさしい樹脂として近年注目されております。

酢酸セルロースとは

図1 酢酸セルロースの構造式
酢酸セルロースは、天然の高分子であるセルロースを酢酸エステル化することにより得られる半合成高分子です。セルロースは無水グルコースを繰返し単位とする高分子で、繰返し単位当たり3個の水酸基を持っています。エステル化している程度(置換度)により性質の異なる酢酸セルロースが得られます。置換度は酢化度という指標であらわします。工業的に広く使用されている酢酸セルロースはセルロースジアセテートとセルローストリアセテートの大きく2種類に分けられ、それぞれの酢化度は、およそ55%(置換度2.4)および61%(置換度2.9)です。
一般的な酢酸セルロースの構造式を図1に示します。
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酢酸セルロースの製造方法

図2 酢酸セルロース製造の反応式
図3 酢酸セルロースの製造工程概略
酢酸セルロースは、セルロースのエステル化および生成したエステルの加水分解の二段階の反応を経て製造されます。反応式を図2に、製造工程の概略を図3に示します。原料セルロースとして高純度の木材パルプもしくはコットンリンターを使用します。セルロースは前処理工程で活性化されます。次の酢化工程で、セルロースに無水酢酸、酢酸および触媒として硫酸を加えてエステル化反応を行います。酢化工程ではほぼすべての水酸基がエステル化されたセルローストリアセテートが生成します。次の熟成工程では、セルローストリアセテートに水を加えて、エステル基を部分的に加水分解することにより所望の酢化度の酢酸セルロースを得ます。
熟成工程を終了した溶液に水を加えることにより酢酸セルロースを沈殿分離して、次の洗浄工程で残留溶媒や不純物等を除去し、さらに乾燥工程を経て酢酸セルロースの製品が得られます。沈殿・精製工程で生じる副生希酢酸は、濃縮、精製され再利用もしくは無水酢酸製造の原料として使用されます。
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酢酸セルロースの特長

酢酸セルロースには以下に示すような特長があり、それぞれの分野で広く使われています。
  • 日光に対して安定である
  • 酢酸セルロースで作られた織物、成型物、コーティング膜、塗料等は、日光(特に紫外線)に対する抵抗力が大きく容易に分解しないので長期間使用することができます。
  • 難熱性であり耐熱性が優れている
  • 酢酸セルロースは難燃性であり、その融点も高く230~300℃で溶融して炭化します。
  • 耐薬品性が良好である
  • セルロース誘導体の中で酢酸セルロースは最も安定であり、長期保存に耐え、有機、無機の弱酸、動植物油、ガソリン等には侵されません。
  • 電気的性質が優れている
  • 酢酸セルロースの電気伝導度は低く、高度な内部抵抗および外部抵抗を持っていますので、良好な絶縁材料となります。
  • 人体・環境にやさしい
  • 木材および綿花より得られるセルロースを原料とした酢酸セルロースは、環境にやさしい樹脂として最近注目されております。
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酢酸セルロースの品種

表1 酢酸セルロースの一般的物性値
表2 酢酸セルロースの一般形状
図4 重合度と6%粘度の関係
図5 酢化度と置換度の関係
酢酸セルロースの一般的物性値を表1に示します。
酢酸セルロースは6%粘度および酢化度によって品種が分かれております。重合度の指標として6%粘度をもちいています。重合度と6%粘度の関係を図4に示します。酢化度は置換度を表す指標であり、酢酸セルロースを鹸化して遊離する酢酸の割合を示します。
酢化度と置換度の関係を図5に示します。各品種の代表的な一般性状を表2に示します。お客様のご意向によっては、これ以外の仕様についても検討させて頂きます。
尚、当社の酢酸セルロースは一般工業用原料用途としての品質管理を行っております。
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酢酸セルロースの溶剤と溶解性

表3 酢化度と各種溶剤に対する溶解性
酢酸セルロースは酢化度に応じて溶剤に対する溶解性が大きく変化します。一般的に硝酸セルロースやエチルセルロース等のセルロース誘導体に比べて溶剤溶解範囲は狭く、使用条件が制限される傾向があります。しかし、この性質が、耐油性や耐溶剤性などの面で優れた特長となります。従って、酢酸セルロースの使用にあたっては適正な品種および溶剤の選択が重要なポイントとなります。表3に代表的な溶剤に対する酢酸セルロースの溶解性を示します。主溶剤にアルコール等の少量の助溶剤を加えることにより溶解性が改善される場合があります。
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酢酸セルロースの溶解粘度

図6 アセトン系および塩化メチレン系混合溶剤での溶液粘度
酢酸セルロースの溶液粘度は、品種(重合度)、溶剤の種類および濃度により異なります。ご使用の際には適切なフォーミュレーションをご検討下さい。代表的な例として図6にアセトン系および塩化メチレン系混合溶剤での溶液粘度を示します。
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酢酸セルロースの相溶性

表4 酢酸セルロースと相溶性のある可塑剤
酢酸セルロース自体は熱可塑性を持ちません。加熱成型において適当な可塑剤を用いることにより、加工に適した温度に軟化温度を下げることができます。また、可塑剤を添加することにより成型物の柔軟性を改善することができます。酢酸セルロースと相溶性のある一般的な可塑剤の一覧を表4に示します。
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取扱い上の注意

取扱い上の注意
酢酸セルロースの有毒性を示す報告はありませんが、大量に取り扱う場合は、粉塵対策が必要です。詳細については、製品安全データシート(MSDS)をご参照ください。 また、酢酸セルロースを溶解する溶剤や可塑剤等の添加剤には人体に有害な物質もありますので、各物質の製品安全データシート(MSDS)に従い、注意して取り扱ってください。
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