サステナビリティ / 環境報告水資源の保全

基本的な考え方

かけがえのない資源である水に関するリスクが、世界的に⾼まっています。干ばつ・渇水・豪雨・洪水・土砂崩れなどの自然災害とともに、人間の生活や経済活動による水質汚染や水不足も、水リスクの一つと考えられます。
当社グループは「ダイセルグループ レスポンシブル・ケア基本方針」に基づき、限りある⽔資源の適正な利用、管理および排水処理の実施により、水質保全に努めるとともに、淡水・海水を問わず水使用量の削減に取り組みます。

推進体制

レスポンシブル・ケア推進体制

水質管理の取り組み

当社グループは様々な化学製品を製造しており、水はその製造過程に必要不可欠です。例えば、製造過程における加熱・冷却・洗浄や、製造工程で生じる化学物質の除去設備、排水設備などで水を使用しています。使用した水は浄化処理を施して、ほぼ全量を河川および海洋に排水しています。

各工場では、高度な処理設備の安定稼働により排水を河川・海洋へ放流可能な水質にまで浄化し、環境負荷低減を実現しています。また法令に基づき定期的に排水を測定するだけでなく、自主管理目標値として、法令よりも厳しい排水基準や総排出量を設定し、その目標値以下を維持することで、水質保全に努めています。
2022年度も、自主管理目標値に基づき適正な管理を継続し、水資源の保全に関する重大な法令違反はありませんでした。

また、新たな事業計画を策定する場合は「環境、安全と健康の総合アセスメント制度」により、排水による水質への影響を事前に評価します。さらに設備メーカーと連携した排水処理設備の改善や大学などと連携した排水のシミュレーション技術の構築など、あらゆる面で水質汚染リスクを回避するための対策を講じ、化学品メーカーとしての責務を果たしています。

地下水への排水はありません

環境、安全と健康の総合アセスメント制度

COD排出量の推移(当社事業場および国内グループ企業)

COD排出量の推移(当社事業場および国内グループ企業)

全リン排出量の推移(当社事業場および国内グループ企業)

全リン排出量の推移(当社事業場および国内グループ企業)

全窒素排出量の推移(当社事業場および国内グループ企業)

全窒素排出量の推移(当社事業場および国内グループ企業)

ESGデータ集水資源・水質

効率的な水使用

当社グループでは、全事業場で取水量の削減に取り組んでいます。事業場ごとに2025年度を最終年とする中期目標として「2018年度比10%削減」を設定し、効率的な水使用を推進しています。冷却塔などでは、冷却水の循環利用や使用量自体の削減を進めており、各事業場では取水量・排出量・水消費の把握およびモニタリングを実施し、水リスク低減とともに、製造プロセスの見直しなどにつなげ、他工場への展開を検討しています。
なお、当社は企業の水リスクに関する世界的な情報公開プログラム「CDP Water Security」からの質問書に、2016年度より回答しています。2022年度もCDPの質問書に回答し、「B-」の評価を受けました。

Carbon Disclosure Project. 企業や自治体などの環境対策情報を開示する、英国のNGOです。

中期目標(当社グループ)

  • 2025年度 取水量10%削減(2018年度比)

取水量の推移(当社グループ)

取水量の推移(当社グループ)

取水量の内訳(2022年度/当社グループ)

取水量の内訳(2022年度/当社グループ)

排水量の推移(当社グループ)

排水量の推移(当社グループ)

水消費の推移(当社グループ)

水消費の推移(当社グループ)

水消費 = 取水量-排水量

ESGデータ集水資源・水質

水リスク評価

当社グループでは、リスク管理委員会の下、国内各工場において取水および排水に関する水リスク評価を定期的に実施し、リスクの的確な把握と適切な管理を行っています。
海外では2022年度、Aqueductによるマッピング調査でタイおよび中国において軽微なリスクが見られましたが、追加の現地調査によって拠点レベルでの水リスクはないことが確認できました。この結果、当社グループ全体で水リスクの高い地域はなく、水ストレス地域(人口一人当たりの淡水資源量が 1,700m3を下回る水不足の地域で、北アフリカや中東、南アジアに多い)でも取水・排水がないことを確認できました。また、水リスク対策では予防措置や被害軽減策を講じており、その状況を定期的に確認しています。2022年度は大規模自然災害に対する備えを強化するため、国土強靭化地域計画を受け、洪水や高潮に関する災害リスクの確認を行いました。

WRI(World Resources Institute:世界資源研究所)が開発した水リスク評価のグローバルツールです。拠点が立地する地域の水リスクを、水量・水質・規制・評判の観点で評価することが可能です。