トップメッセージ

ダイセルグループは今、変革に挑戦しています。
札場 操

 1919年の創業以来、「モノづくり」にこだわり続け、お客様や社会に必要とされる機能を素材として提供し、人々の生活の豊かさ向上に取り組んでまいりました。求められる品質を安全かつ安定的に提供するとともに、お客様の要望に応えながら信頼を積み重ね、今日のダイセルグループがあります。時代の変化と共に、生活に必要な素材の提供というだけでなく、信頼に応え、豊かな暮らしに役立つ素材を提供することが求められていると実感しています。

 私たちは、2011年に社名を変更することで、これまでの化学工業の枠組みにとどまらずに、化学を基盤とした独自技術やノウハウで成長していくことを社内外にお伝えしました。
同時期に策定した「Grand Vision 2020」を具現化させる3段階の中期計画も最終フェーズに入り、2017年度は最終段階である3D-Ⅲの初年度にあたる年でした。3D-Ⅲでは、急速に変化する環境の中「持続的成長」を実現するため、「Change(変革)、Challenge(挑戦)、Courage(勇気)」の「3Cスピリッツ」を掲げて主要施策を実行しています。

3Cスピリッツ
Change(変革)

従来の延長線上で考えるのではなく、戦略の発想を「変革」します

Challenge(挑戦)

「挑戦」し続けることで、現状を打破し、大きな成果・成長を実現します

Courage(勇気)

今まで踏み入れたことのない領域に「勇気」をもって飛び込みます

 昨年4月には、兵庫県姫路市に所在する総合研究所と姫路技術本社を、当社の技術を結集する「イノベーション・パーク」として集約、新棟「アイ・キューブ(iCube)」を建設し、活発なコミュニケーションによるコンカレント・エンジニアリングや社外とのオープンイノベーションを推進できる環境を整え、技術者の働き方の変革にも取り組んでいます。そして、既存領域における新製品開発やコストダウンの取り組みに加え、成長が見込める電子材料や、メディカル・ヘルスケア等の高付加価値領域における新事業の創出・育成にも挑戦しています。

 私たちが大事にしている「安全と品質、コンプライアンスがダイセルグループの存在基盤」という礎の上に、新しい価値を迅速に提供し続けられる企業へと変化してまいります。

安全と品質の確保、環境への取り組みについて

 繰り返し申し上げているように、安全と品質の確保は、企業活動の根幹であり、当社グループのモノづくりの基盤です。当社は1982年に堺工場で爆発火災事故を経験しており、あのような事故は二度と繰り返さない、決して事故を風化させてはならないという強い想いのもと、当社グループ全体で安全と品質を確保したモノづくりに取り組んでいます。しかしながら、昨年度、大竹工場で火災事故を起こしてしまいました。幸いにも人的被害や周辺環境への影響はなかったものの、お客様をはじめ、地域の皆様や関係省庁の皆様など、多くの関係者にご迷惑をおかけしました。既に、事故の再発防止策をハード・ソフト両面から講じており、この事故を教訓にBCPの強化をはじめ、ミエタ課題に取り組んでいます。私たちが安心して働ける職場であることと同時に、地域社会の皆様、そしてお客様から信頼していただけるグループであるためにも、「安全をすべてに優先させるモノづくり」を実践していきます。

 また、地球温暖化対策につきましては、2015年に国連サミットで採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)や同年のCOP21におけるパリ協定採択、パリ協定の実施指針策定交渉である2016年、2017年のCOP22、COP23など、地球規模で環境問題への取り組みが進められています。その中で、エネルギー多消費型産業のひとつである化学企業に対する環境保全への要請はますます高まってくると思われ、より一層の省エネルギー、温室効果ガス排出削減が重要になると考えています。当社グループでは、全社横断的な組織である「省エネ推進委員会」を中心に取り組んでおり、一般社団法人 日本経済団体連合会の低炭素社会実行計画の2020年排出目標を達成する見込みです。今後も、革新的なプロセス技術の導入をはじめ、常に新しい目線、切り口で省エネに取り組んでまいります。

 品質の確保については、すべての工場で、ISO9001やIATF 16949(自動車産業の品質マネジメントシステム規格)など、製品に応じた品質マネジメントシステムの国際規格の認証を受けており、お客様に満足していただける製品の提供に努めています。また本社としても、社長直轄の部署として設置した品質監査室による品質監査や、品質に関する情報交換の場の設置、品質情報の集約・解析等を計画的に進めています。

企業倫理の取り組み

 「安全と品質の確保」と共に、コンプライアンスもダイセルグループの大切な存在基盤です。2017年度は、他社で発生した品質データに関する不正や無資格者による作業などの事案が社会問題となり、改めてコンプライアンスが会社の存続を左右するような重要な課題であると認識しました。

 当社グループでは、2017年度も不正の起こらない職場づくり、より風通しの良い職場づくりを目指して、「全員で業務がミエル、気づきがイエル、人の意見をキケル職場に!」を目標に掲げて活動を継続するとともに、新たに「ダイセルグループコンプライアンス強化期間」を設定し、この期間に共通課題について各職場が主体的に教育や研修を行いました。

 コンプライアンスには魔法のような活動はありません。地道に、コツコツ活動を継続することで、ダイセルグループで働くすべての人のコンプライアンス意識を高めていくことが大切であると考えています。また、原点であるグループ行動方針や行動規範に戻って、考え、実践することを訴えていきます。

注)ミエル化とは問題や改善の気づきを得るため、業務に関する情報をミエル形にして共有することです。イエル化・キケル化とは、お互いに言うべきことは言い、相手の意見をきちんと聴き、それに対応していくことで問題解決や改善につなげることです。

ステークホルダーへのメッセージ

 ダイセルグループは、連結海外売上高比率が50%以上、従業員も日本国籍以外の人が半分以上であり、世界のどこにあっても多様な文化や価値観を尊重することを人事方針で謳っています。人口減少が予想される日本国内においては、より柔軟な働き方を実現するために、2017年4月から、育児・介護等の一定の理由による「在宅勤務制度」を導入しました。今後も、多様な人材がやりがいを持って活躍し、成長できる環境の整備を進め、個々の力がダイセルグループとしての大きな力になるよう努めてまいります。

 また内部統制においては、2017年6月に社外取締役を1名増員して取締役の半数を社外取締役とし、より独立性、透明性の高い体制といたしました。社外取締役の皆さんは、取締役会だけでなく、グループ改善事例発表会などさまざまな場面で積極的に発言いただき、当社の経営改善に貢献いただいています。

 足元の業績は、主要製品の事業環境の変化や、将来への基盤整備費用の増加などにより、収益面では計画を下回っておりますが、中長期的な持続的成長に向けて、社員一同、一丸となって、勇気を持って変革に挑戦してまいります。ステークホルダーの皆様には、引き続き私たちの企業運営にご理解とご支援をお願い申し上げます。

株式会社ダイセル 代表取締役社長札場 操