トップコミットメント

「社会の求める機能を形に変えて、人々の生活の豊かさ向上に役立つこと」を実現し続けてまいります。小河 義美

「社会の求める機能を形に変えて、人々の生活の豊かさ向上に役立つこと」を実現し続けてまいります。

小河 義美

100周年を迎えて

 当社は、1919年、主要セルロイドメーカー8社が財閥の枠を越えて合併、創立しました。今年は、ちょうど創立100周年に当たります。創業期の悲願であった原料転換によるセルロイドの難燃化や、セルロイドをベースとする映画・写真フィルムの国産化という事業の川下展開にはじまり、昭和恐慌、第二次世界大戦、戦後の混乱期から復興期を経て、オイルショック、バブル崩壊、リーマンショック、震災、と激動の一世紀にわたり、競争力強化と付加価値の向上という、事業と技術の両面の革新を重ねてきました。今日のダイセルを築き上げることができたのは、諸先輩の努力と、お客様や仕入れ先様、投資家様や地域社会の皆様など多くの関係者の方々のご協力の賜物です。改めて、皆様に御礼申し上げたいと思います。
 一方、この100年の歴史の中で、私たちが、決して忘れてはいけないことがあります。
 当社は、長い歴史の中で何度かの緊急人事措置を行いました。基本方針の一つである「人間中心の経営」は、二度と仲間と袂を分かつことがあってはならないという思いを込めたものです。
 また、1982年の堺工場での爆発火災事故のような重大災害を発生させており、従業員の犠牲とともに、地域社会や取引先様などに多大なご迷惑をおかけしました。このような重大災害を繰り返さないという誓いを込めて、「安全品質最優先」をモノづくりの基盤とし、労使一体となってレスポンシブル・ケア(RC)活動に取り組んできました。
 そして、米国における反トラスト法(独禁法)違反の嫌疑という、社会的にも経済的にも大きく影響した事案も発生しました。私たちはそこから、「企業は確固たる倫理観に立脚して社会に臨むことを求められている」ということを再確認し、「法令・社会規範に違反してまで成果を得ることは決して求めない」ことを決意しました。
 100周年を迎えたこの機会に、初心に戻って、ルールや仕組みができた本来の意味を考えながら、改めて安全品質とコンプライアンスの確保を企業運営の最重要基盤におき、「社会の求める機能を形に変えて、人々の生活の豊かさ向上に役立つこと」を実現し続けてまいります。
 誠実かつ地道な事業活動を通じて、ステークホルダーの皆様に信頼される企業であり続けたいと思います。

変化への対応

 これまでも当社においては、変化に翻弄されるのではなく、変化を先取りして、むしろチャンスにしようと、様々な「革新」に取り組み、構造改革や情報化に取り組んできました。ダイセル式生産革新や新たなプロセス技術の開発・導入などのプロセスイノベーション、新たな商材開発とその事業化に取り組むプロダクトイノベーション、既存事業や組織運営の効率化を進めるマネジメントイノベーションなど、一定の成果を上げてきています。
 一方で、足元の業績は4年連続の営業減益という状況にあり、事業を通じた社会への貢献を果たしていくためにも、既存事業の再構築と新規事業の創出、育成が急務と考えています。
 その具現化のために、コーポレート部門の抜本的な組織改革を進めています。生産技術本部から改組する「生産本部」においては、既存事業の徹底的なコストダウンに集中し、コア事業の競争力強化を進めます。研究開発本部、新事業開発室と生産技術本部の一部の機能を融合して再構築する「事業創出本部」では、新事業テーマの開発から量産、事業化に必要な機能を集約し、新事業の創出、育成を加速していきます。また、新たに設ける「リサーチセンター」では、お客様の目線に立って、お客様の業界の課題を探索し、当社の培ってきた技術や製品と、お客様の技術との融合による新たな素材の開発などに取り組んでまいります。
 事業カンパニーやグループ企業の取り組みを、コーポレート部門もスピードを上げて強力にサポートしていくことで、業績の回復はもとより、省エネルギーや新たな素材提供を通じた、社会的課題解決にも取り組んでまいります。

企業運営とSDGs

 前述のような既存事業の強化や新事業の育成だけでなく、ダイセルグループの企業運営においても変革に取り組みます。
 新たに再編するデジタル戦略室では、IoTやAIなど、日々進化するデジタル技術を生産・販売・研究など全業務領域で積極的に取り入れ、仕事の効率化、作業負荷の低減をさらに進めることで、人にやさしい働き方改革に取り組みます。
 また、新設したサステナブル経営推進室に、グループ企業統括機能を加え、ダイセルグループ全体でサステナブル経営を推進してまいります。当社グループが長期ビジョンで掲げてきた企業目的やそれを支えるダイセルスピリッツは、SDGsで掲げられる諸課題に通じるものです。現在策定中の次期長期ビジョンにおいては、SDGsへの対応を明確にしながら、既存事業や新たなビジネスユニットの取り組みを通じて、その実現への貢献を目指してまいります。
 同時に、人間中心の経営という理念の具現化に向け、人事諸制度の見直しにも取り組み、グローバル12,000名を超えるダイセルグループ従業員が、その基本的人権はもとより、多様性が尊重され、一人ひとりが成長しながらいきいきと活躍できる企業グループを目指してまいります。

 私たちは100年にわたり革新をし続けてきました。ステークホルダーの皆様におかれましては、新しい100年に向けて歴史のページを開いていく私たちに、より一層のご指導、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。

2019年9月