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WILL~夢は実現する!~

メディカル・ヘルスケア事業を6つ目の柱に。ダイセル初の新事業を成功させて“夢”を“目標”へと近づけたい。

「分からないことは、分かるまでやる」そう断言する岡林は、今、会社の主力事業として新たな“柱”を打ち立てるべく、日々奮闘している。研究対象は、口腔内崩壊錠用の「プレミックス添加剤」。ダイセル初の研究開発に真っ向から勝負する岡林に、仕事の魅力と原動力について聞いてみた。

初めて尽くしの新テーマ
挑戦したいから手を挙げた
岡林 智仁

「口腔内崩壊錠」と聞いて、ピンと来る人はどのくらいいるだろうか。口腔内崩壊錠——通称OD錠とは、その名のとおり口の中ですぐに崩壊または溶解する錠剤で、水を飲んだり咀嚼したりせずとも、唾液などのわずかな水分で服用できる薬剤である。嚥下が困難な患者や高齢者、小児でも「安全」「確実」「便利」に服用できる、市場拡大が見込まれる注目の剤形だ。私は、そのOD錠用プレミックス添加剤の開発を2011年に開始した。

OD錠は、口の中に入れるとすぐ崩れるのが最大の特長。しかし、製造時や輸送時、開封時には欠けずに形を保っていなくてはいけない。この“崩壊性”と“成形性”という相反する性能を両立させるプレミックス添加剤をつくることは、かなりの難題だ。グループ会社のダイセルファインケム株式会社やニチリン化学工業株式会社との共同開発により、配合する添加剤一つ一つが有する特性を調べ、種類や分量を調整し、何度も検証を重ねてきた。約2年半、日夜研究に励み、「良し」と思える製品をつくってきたのだ。

しかし、ダイセル初の開発ゆえに何もかもが初めて尽くし。社内でも特殊な分野だけに、関わっている人数も少ない。チームメンバー6名が、それぞれ主となる役割を担当しつつも全工程を把握し、補い合っている状況だ。と言うのも、一つの案件に必要な工程は、設計・開発からスケールアップの検討・確立、薬事法対応や顧客マーケティングのためのテクニカルデータ取得に至るまで。同時に複数の顧客との検討が進んでいるため、それぞれの顧客ニーズ対応も併行していた。いずれの工程も専門知識やノウハウが必要なため、半年間で大学4年分の知識を得たと言っても過言ではないくらい勉強した。

なぜ、そんな過酷な研究を選んだのか? 実は入社5年目の2011年、2つの研究を兼務していた私は、月の3分の2は新潟と関西を行き来する日々を送っていた。正直、1日24時間では全然足りない(笑)。移動時間も無駄にはできない。事前に計画書を送っておいて移動中にメールや電話で内容を詰めていく。そうすれば到着する頃には完成し、タイムロス無くすぐに本題に入れるからだ。

そんな生活が1年間続き、2012年、どちらかの研究テーマを選ぶことになった。いずれも魅力的なテーマだったので悩んだが、OD錠用プレミックス添加剤の研究開発を選んだ。どうしても“ダイセルの新事業”を立ち上げたかったのだ。

お客様のご要望こそ改良の鍵
課題発見のための展示会
岡林 智仁

2011年に最初のプレミックス添加剤を開発した後も、常に設計の改良をし続けている。改良のヒントは第三者の評価だ。その一つの方法として、様々な展示会に積極的に出展してきた。

2012年に出展したのは「ifia Japan」という食品に関する素材や添加物の展示会。分野は異なるが、とにかく反響が知りたかった。その業界では、まだ馴染みのない名称に「OD錠って何?」という基本的な質問が圧倒的に多かったが、手応えは感じていた。そこで得た課題を解決し、同年、成形性を向上させたプレミックス添加剤を開発。翌2013年には、7月に「インターフェックス ジャパン/インファーマ ジャパン」、10月には「製剤と粒子設計シンポジウム」に出展した。大本命である製薬企業のキーマンが集まる展示会だ。このときアピールしたのは、製造時の欠けや粉化を防ぐために成形性を向上させたプレミックス添加剤。想定しうるすべての質問に回答できるよう準備して挑んだ。つまり、お客様が「自社の有効成分と配合すると、どのような現象が起こるのか?」をイメージしやすいよう、それぞれの有効成分の特性まできちんと調べて評価し、検証結果を持って行ったのだ。本来は有効成分との配合とは製薬企業で行うため、ダイセルにとっては管轄外。有識者に教授いただきながら評価方法を探り検証したデータだ。

製品紹介に終始していた最初の展示会から、回を重ねるごとにアピール方法も進化した。私たちは、お客様視点で開発した製品と疑問点を先読みして用意したテクニカルデータを携えて、その場で解消できるように努めた。そのうえで発生した新たな課題を確実に改良しては、また評価してもらう。この繰り返しで確度の高いプレミックス添加剤へと向上させてきたのだ。

2年という短期間で良い製品を開発し、上市が現実味を帯びてきたのは、お客様のご要望に対してリアルタイムに対応したからこそ。まさに「お客様と一緒につくり上げた製品」だと感謝している。もちろん、まだまだ改良の余地はある。より改良していくため、これからもお客様の声に耳を傾けたい。

ドラマみたいな感動シーンに
“人とのつながり”を実感
岡林 智仁

このように、大変だがとても充実している日々を私は楽しんでいる。それでも、何重にも立ちはだかる大きな壁に挫折しかけたことは何度もある。申請の〆切当日にデータをまとめ、何とか提出したことだってある。そんなとき支えになったのは、周りのメンバーだ。全工程が併行しているので、一つが倒れるとすべてが共倒れになってしまう。「本当に無理かもしれない」と思ったら、周りに協力を仰ぐことも重要な対策だ。そして全員で集中して壁を乗り越えたら、またそれぞれの持ち場に戻る。時にはチームメンバー以外の普段話したこともない人が「頑張ってるらしいな」と声をかけ、窮地に追いやられている私を見て助けてくれることもあった。ドラマみたいなことが本当に起こるんだと深く感動した。声を掛けてくれるのは気にかけてくれている証拠。このテーマを通して“人とのつながり”を強く感じると同時に、期待してくれる声に応えたいと思うようになった。「お客様や会社にとって有益な製品をつくりたい」と、心底思ったのだ。

ダイセルという会社は、挑戦したいと言えば信じてやらせてくれる。そして壁にぶつかれば手を差しのべてくれる社員がいる。きっと、こんな会社は他にないだろう。

今、めちゃくちゃおもしろい
本気で挑戦したらそう言える
岡林 智仁

「分からないことは、分かるまでやる」入社当時からずっと変わらない信念だ。「分からない」を理由に逃げるのは絶対に嫌だ。そんなことをしていたら狭い世界でしか生きられないと、逆に不安になってしまう。それに「リスクは負ってナンボ」だとも思っている。だからこそ、課題があればあるほど「よし、やってやろう!」と奮起するのだ。数多くの難題に立ち向かうことができたのは、周りの支えはもちろん、失敗を恐れずに新しいことを実践する「挑戦心」と、新事業を立ち上げたいという「野心」があったからこそだと思っている。

そして今、私はさらに大きな野心を持っている。このOD錠用プレミックス添加剤の新事業を、ダイセルの6つめの柱事業として打ち立てることだ。今は“夢”や“希望”かもしれない。でも近いうちに“目標”になると確信している。もちろん課題はまだまだある。製薬会社に採用してもらうには、“崩壊性”や“成形性”は当然として、崩壊の仕方や舌触りなどを細かく改良し、大量生産する際の“打錠性”、飲用する際の“服用性”などプラスαの性能で優位性をアピールしていく必要があるのだから。多くの声から改良のヒントを得て形にしていくためにも、“マーケティングのできる研究者”を目指して努力していきたい。

何事も受け身じゃダメだ。厳密に言うと、受けた仕事でも“どのようにアウトプットするか”が大事なのだ。分からなければ分かるまでやってみれば、自らやりがいや面白味を見出すことができる。どんな小さな仕事でも本気でやれば、そして積極的に挑戦し続ければ、必ず誰かが見てくれている。そう信じてやってきた。だから今、私は胸を張って言える。「俺の仕事、めちゃくちゃおもしろいぞ」と。