Technology 基本技術

半導体とは

半導体とは、電気の流れを制御する部品です。
皆さんの身の回りにあるあらゆる電子機器に組み込まれており、皆さんの暮らしを便利にしています。
一般的に半導体はシリコンや金属酸化物などの固い無機物で作られており、形状や使用方法に制限があります。
これは皆さんがお持ちの電子機器が柔らかく、軽くならない理由の一つでもあります。

有機半導体とは

有機半導体は、文字通り「有機物」であり「半導体」の特性を示す材料のことを指します。

有機半導体は、シリコンに代表される無機半導体に比べ、一般的に、フレキシブル、薄型、軽量で、印刷プロセスで製造でき、低コスト化が可能、といった特徴を有しています。

その特長を生かすことで、紙のようにしなやかで柔らかく軽いセンサデバイスや、SF作品に出てくるような紙のようなディスプレイ、腕に装着するウェアラブルデバイスなど、これまでにないデバイスを製作することができます。

当社の有機半導体

当社は有機物なら薄く曲げられることに着目し、東京大学 竹谷研究室の技術をベースとし、下記のような有機物での半導体を実現しました。
(1)有機半導体で世界トップレベルの性能(10cm2/Vs以上の電子移動度)
(2)低消費電力駆動が可能なCMOS回路
(3)高いトランジスタ集積度

これにより、様々なセンサ素子や集積回路が作製できるため、柔らかく軽い電子機器を作ることが可能になります。現在は物流・製造・ヘルスケア用途のセンサ、デジタルサイネージ用フレキシブルディスプレイといった電子機器での実用化が進んでいます。

パイクリスタルが独自開発した成膜技術(特許)で作製した薄く柔らかい有機半導体

当社のコア技術
~有機半導体塗布技術~

有機物を使うことの特長として、「溶剤に溶かせる」があります。有機半導体材料を溶剤に溶かすことで「インク」として扱うことができ、そのインクを印刷することで半導体作製が可能になります。
メリットとして、無機半導体の製造で一般的に用いられる、高温や真空プロセス等のエネルギーを大量消費する工程を減らすことができます。加えて高額な製造装置も不要となることから、安価かつ簡易に半導体を製造することが可能になります。

当社では、高い性能を有する有機半導体材料と独自の印刷技術(連続エッジキャスト法)を東京大学竹谷研究室と開発を進めてきました。
現在では30cm□の有機半導体を再現よく成膜でき、高い半導体特性を示すことが確認できています。
作製した半導体は極めて薄く(食品用ラップのおよそ1/1000)、柔軟であり、フレキシブル機器への応用に適しています。
大面積、高性能の両立には、規則正しく分子を並べることが重要であり(単結晶化)、当社はこの点において他社を大きくリードしています。

単結晶についてもう少し詳しく説明しますと、単結晶とは、インクを塗布した全面に下記の図のように一面に薄くかつ周期的に並んだ状態のことを言います。多結晶や非晶質の状態に比べて電荷移動が安定し、これにより高性能かつ実用的な半導体特性を示します。
下の図は10cm×10cmの基板の上に作成した単結晶の有機半導体です。
このサイズより大きい単結晶を工業レベルで得るには材料とプロセスの合わせこみが重要で、当社はその技術ノウハウ・特許を保有しています。

当社では量産化のための実証設備を自社で保有しており、株式会社ダイセルの支援を受けて量産技術の構築が進んでいます。