サステナビリティ 播磨工場共育センター

播磨工場共育センター

播磨工場共育センター

共育センターの目的と概要

セイフティSBU(Safety Strategic Business Unit)は、⻑年にわたり⽕⼯品(パイロテクニックデバイス)で蓄積してきた技術をベースに⾃動⾞エアバッグ⽤インフレータやシートベルトプリテンショナー⽤ガス発⽣器(PGG)などの開発・⽣産・販売を⾏い、グローバルに事業を展開しています。
セイフティSBUの製品は、化学プラントにおける「プロセス型⽣産」とは異なるモノづくりであることから、「組⽴加⼯型⽣産」における人財育成を担う機能として、「ダイセル・セイフティ・システムズ(以下DSS)⼈材開発センター」を開設しました。グローバル⽣産が拡⼤していくなかで、2018年からは、「共育センター」と名前を改め、事業の成⻑を担うモノづくり人財の育成に取り組んでいます。

マルチプルプロダクションカンパニー播磨工場共育センター
共育

播磨工場共育センター

高品質・高効率生産体制

組織の名前にある「共育」の⽂字には、
①組織や拠点を越えて連携し、共に成⻑する
②上司、部下、同僚が⽀えあい、共に⾼みを目指す
③教える側、教えられる側が、共に学び成⻑する
といった意味を込めています。
 そして、共育センターでは、⼈の成⻑と可能性が企業の成⻑を⽀えるという考え⽅を基本に、4つのミッションを掲げ、人財育成に取り組んでいます。

①DSSモノづくり人財育成
②技術開発部門のモノづくり教育
③播磨⼯場の安全教育
④グローバル拠点における技術者人財育成

DSSモノづくり人財育成

DSSは、自動車エアバッグ用インフレータの国内拠点として、播磨サイトにあり、「安全と品質」を第⼀に、①⾼効率な⽣産を実現する⾃動化ラインの構築、②多技能⼯化によるフレキシブル⽣産ラインの構築、③先進のIoT技術を駆使した統合管理システムの構築という3つを柱に、モノづくり⼒の強化と成⻑に挑戦しています。そして、これらを実現していく「人財の育成」にも⼒を⼊れ取り組んでいます。
共育センターでは、独⾃の教育体系を構築し、①新⼈・オペレータ・監督者・リーダーといった階層別の教育、②それぞれの職種に応じたモノづくりの技術・技能を習得する専門教育、③特殊⼯程・重要⼯程における資格認定制度などの推進を⾏っています。
教育内容は、TPS(トヨタ⽣産⽅式)をベースとした標準作業教育の他、IE(Industrial Engineering:生産工学)、品質統計、問題解決⼿法、設備保全など、モノづくりに必要な知識と技能を、座学だけでなく実践や体験を通じて⾝に付けます。

研修受講者(人日)

2020年度 2021年度 2022年度
①階層別教育 1,182 323 523
②専門教育 878 1,344 685
③資格認定 17 2 8

また、実践的な教育を⾏う場として、「組⽴技能道場」「保全技能道場」「安全道場」「品質道場」の4つの道場を設けています。「道場」と名付けている理由には、単に教育を受ける場ではなく、⾃⼰と向き合い、社員⾃らが主体的に鍛練し、技(わざ)を磨く場としてもらいたいとの思いがあります。

組立技能道場

インフレータ組⽴の作業訓練やトレーナーの育成を⾏う道場です。
安全と品質・作業性を確保するため、新⼊社員はこの道場で模擬訓練機を使って訓練し、⼀定レベルの知識と技能を⾝に付けてから実際の⽣産ラインに⼊る仕組みとしています。また、それぞれの品種や作業に対応した模擬訓練機を使い、フレキシブルな⽣産体制を維持する多能⼯の教育も⾏っています。その他にも、オペレータを対象とした作業トレーナーの育成と認定、重要⼯程である外観検査員の認定なども、この道場で実施しています。

組立技能道場・模擬訓練機での実習風景
組立技能道場・模擬訓練機での実習風景

保全技能道場

設備保全技術と技能の習得を図る道場です。
電気・機械の基礎知識、⽳あけやタップ⽴てなどの機械加⼯の実習、電気配線やはんだ付け、シーケンスプログラムの演習などの訓練を⾏っています。
研修には、製造部門の保全キーマンを育成する「ラインキーパー養成コース(6カ⽉間)」と⽇々のメンテナンスや簡単なトラブルに対応する「マシンキーパー養成コース(4⽇間)」があります。
「ラインキーパー養成コース」では、研修の仕上げとして、訓練設備を部品から組み上げ、シーケンスプログラムの作成から動作確認、完成させるまでの実践的な訓練を⾏っています。実際に設備を⾃分たちで組み上げていく過程で、設備の調整ポイントや保全に必要な実践的スキルを⾝に付けていきます。
その他にも、訓練機に仕込んだ故障を解決するトラブルシューティング教育、直交ロボットや多軸ロボットのティーチング教育など、設備保全⼒の向上と技能の伝承に取り組んでいます。

保全技能道場・電気保全キットでの演習風景
保全技能道場・電気保全キットでの演習風景
保全技能道場・訓練設備の組立実習風景
保全技能道場・訓練設備の組立実習風景

安全道場

安全と向き合い、労働災害を発生させないための安全の基本を繰り返し学ぶ道場です。①過去の労災に学び、安全と向き合い、鍛練を積む「神聖」な場、②工場のルールや規則をしっかりと守る習慣を身に付ける場、③安全に対する感性と正しい知識を⾝に付ける場としての目的があります。
道場には、播磨⼯場で発⽣した過去の労働災害の資料や写真を展⽰する「安全の歩みエリア」と体感訓練機を設置し教育を実施する「訓練エリア」があります。
「訓練エリア」は挨拶や⾝だしなみ・横断歩道での指差呼称など、⼯場⽣活でのルールを守り習慣化していく「工場のルール」「基本動作」、生産活動に必要な安全知識を体感訓練により身に付ける「運転操作」「動作体験」、安全に向け全員で唱和する「安全の誓い」という5つのゾーンで構成されています。
安全道場の訓練は、グループ会社も含め、播磨⼯場に勤務する全社員約1,200名を対象に実施しています。

安全道場訓練受講者(人日)

2020年度 2021年度 2022年度
安全道場訓練 3,820 3,609 3,440
安全道場・安全の歩みエリア
安全道場・安全の歩みエリア

播磨工場は⽕薬を取り扱うことから、静電気による爆発の危険を体感し除電の⼤切さを学ぶ静電気溶剤爆発体感機をはじめ、Vベルト巻き込まれやエア残圧体感機、階段昇降体験設備などの装置を設置しています。
道場での訓練は、20名程度のチームに分かれ、それぞれ職場の指導員のリードで実施しています。難しい知識の詰め込みではなく、ゲームを取り⼊れたり、実際に⾝体を使っての体験や体感機による訓練を⾏うなど、気づきを中⼼としたカリキュラムとなっています。
3S(整理、整頓、清掃)、挨拶や指差呼称などの基本を遵守し、当たり前のことを愚直に実践する。一人ひとりの「⾏動」を変える。変えた⾏動を「習慣化」する。これらの積み重ねで、労働災害ゼロの職場を実現していく。安全道場の訓練は、播磨⼯場の「安全文化」を全員で築いていくことを目指しています。

安全道場・訓練風景(横断歩道での指差呼称)
安全道場・訓練風景(横断歩道での指差呼称)

品質道場

お客様一人ひとりの手元に安全安心な製品を届けるために、品質の大切さ、考え方を学ぶ道場です。私たちがつくる製品は、大切な人の命を守るものであること、私たちには100万個に1個の不良でも、お客様にとっては100%の不良になることを再認識する教育を実施しています。また、過去の重大不具合の内容や、実際に対応した人の当時の心境や現場の状況、今あらためて仲間に伝えたいことなどを動画で学び、重大不具合の影響の大きさを身近に感じ取れるようにしています。さらに、過去トラブルから、発生防止および流出防止をするためには何が必要か、グループディスカッションを通じ自分ゴトとして捉えるための教育も行っています。品質道場での教育も、播磨⼯場に勤務する全社員を対象としています。

品質道場・過去トラブルについてのグループディスカッション風景
品質道場・過去トラブルについてのグループディスカッション風景

グローバル拠点における技術者人財育成

セイフティSBUでは、⽇本以外に海外4カ国(米国、中国、タイ、ポーランド)5拠点で製造を行っています。各拠点が取り組んでいる人財育成プログラムに加え、グローバル同⼀の安全・品質を確保するため、共育センターで重要⼯程・特殊技能のトレーナー育成や講師認定を⾏っています。2023年3月現在、25名のグローバル講師が誕生しており、各講師の下、各拠点でトレーナー育成・認定を実施しています。
この他、中国のDSSC(Daicel Safety Systems(Jiangsu)Co., Ltd.)と、タイのDSST(Daicel Safety Systems(Thailand)Co., Ltd.)では「安全」「品質」「保全」「組立」の4道場が設立され、それぞれ教育を行っています。
ダイセルのモノづくりの精神を共有し、「安全・品質のあくなき追求」を基本に、それぞれの国の⽂化、拠点規模に応じた形で、人財育成に取り組んでいます。

作業トレーナー講師の認定研修
作業トレーナー講師の認定研修