サステナビリティ / 社会性報告 顧客への責任と製品安全 化学品安全

基本的な考え方

当社グループでは「ダイセルグループ レスポンシブル・ケア基本⽅針」に則り、サプライチェーン全体で製品の安全性とプロダクト・スチュワードシップの継続的改善の促進に努めるとともに、開発から製造、物流、使⽤・消費、廃棄・リサイクルのライフサイクルにわたるリスクベースの化学品管理を実践します。また、化学物質を適正に取り扱うための情報を社内外に発信します。

化学品の開発から製造、物流、使用・消費、廃棄・リサイクルにいたる全てのライフサイクルに関係するバリューチェーン全体で、人の健康、安全と環境への影響を最小化する取り組みです。

推進体制

当社グループは、レスポンシブル・ケア(以下、RC)委員会を軸とするRC推進体制の下、化学品の開発から製造、物流、使⽤・消費、廃棄・リサイクルに至るまでの過程における「化学品安全」の確保に取り組んでいます。取り扱う全ての化学物質について、人の健康、安全、環境へのリスクを評価する仕組みとして総合アセスメント制度を運用し、適正な化学物質管理を行っています。なお、リスク評価の対象となる化学物質は新規製品だけではなく、製造プロセスや製造設備に変更のある既存製品も対象にしています。

化学物質管理

化学品規制への取り組み

当社グループは、国内のみならず欧州や⽶国、アジア⼤洋州地域など各国の化学品規制に対して、国内外法規検索データベースなどを活⽤しながら規制動向や改正情報を⼊⼿し、適切な法対応を実施しています。
欧州における化学品の登録・評価・認可および制限に関する規則であるREACH規則に関しては、製造・輸⼊量に応じて設けられた登録期限に対して、計画に基づき2018年5⽉に全ての登録を完了しました。

欧州連合(EU)で定められた化学物質の登録、安全性評価、使⽤許可、使⽤制限を⽣産者および輸⼊者に義務付ける規則です。

化学物質情報の⼀元管理

当社グループは、全ての製品を安全・安⼼にお取り扱いいただくために、SDSとラベルの作成や、お客様への迅速な情報提供、製品をはじめとする化学物質のリスクアセスメントなどを実施しています。
当社では、原料、中間体および製品の有害性/危険性をはじめとする化学物質情報や法規制情報を、当社独⾃の化学物質情報管理データバンク「D-CLik」に登録して⼀元管理しています。また、このD-CLikのデータについては、新規化学物質の登録はもちろん、安全性の試験報告書などを、毎⽉、全社より管理部⾨に集め、随時アップデートしています。

Safety Data Sheetの略で、化学物質の性状や安全性、取り扱いに関する情報を提供する資料です。

化学物質情報の提供

当社グループは、当社製品を安全かつ安⼼してご使⽤いただくために化学物質の情報提供を行っています。

横にスクロールします。

SDS(安全データシート)による情報提供
  • 全ての製品についてGHS※1や労働安全衛⽣法などに基づいたSDSを作成、お客様に提供
  • 主要製品についてはSDSをウェブサイトでも公開
GPS/JIPS※2活動を通じた情報開示
  • 一般社団法人日本化学工業協会(JCIA)(以下、⽇本化学⼯業協会)が推進する化学品管理強化のための⾃主的な取り組みGPS(グローバルプロダクト戦略)/JIPS活動に参加
  • リスク評価結果を踏まえた12件の安全性要約書を⽇本化学⼯業協会が提供する「化学物質リスク評価⽀援ポータルサイト」で⼀般公開
chemSHERPA※3を通じた情報開示
  • 経済産業省が開発した製品含有化学物質情報の伝達スキーム「chemSHERPA」の普及に賛同を表明
  1. ※1Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicalsの略で、化学物質の危険有害性や取り扱い上の注意事項などの情報に関して、分類やSDSの表示内容を国際的に統一したルールです。
  2. ※2Global Product Strategy/Japan Initiative of Product Stewardshipの略で、国際化学工業協会協議会(ICCA)の化学品管理戦略に基づき、一般社団法人 ⽇本化学⼯業協会(JCIA)が推進する化学産業界の⾃主的活動です。この活動では、化学製品のリスク評価を⾏い、その結果を業界外へも分かりやすいように記載した「安全性要約書」を作成し、JCIAの「化学物質リスク評価支援ポータルサイト」で公開しています。
  3. ※3製品含有化学物質の情報伝達⼿段として、製品に含有される化学物質を適正に管理し、共通リストに基づく成分情報をサプライチェーン全体で伝達するための仕組みです。

化学物質排出把握管理促進法(化管法)が改正され、2023年4月から、SDS制度の対象となる指定化学物質が切り替わりました。また、労働安全衛生法(安衛法)においても施行令の一部改正が2022年5月に公布され、2023年度から毎年順次、ラベル表示、SDSなどによる表示および通知の義務対象物質が追加されていきます。これらの施行に先立ち、当社グループのSDSを、化管法については改正対象物質、安衛法については2024年度施行までの候補対象物質を盛り込んだ内容へ更新しました。

化学物質リスク評価⽀援ポータルサイト

社内教育

当社グループでは、化学物質を適切に管理するために、化学物質を取り扱う社員を対象に、化学物質の危険有害性や適切な取り扱い⽅法、国内外の化学品規制などの教育を定期的に⾏っています。
特に国内外の化学品規制に関しては、当社事業部⾨などをはじめグループ企業にも化学品管理の責任者と担当者を置き、年4回⼀堂に会する情報交換会を開催しています。会は2部構成とし、第1部では、国内外の化学品規制や業界団体の最新情報・動向など、第2部では化学品の情報伝達を中心とした規制動向や、社内管理システムについて、共有、協議しています。2022年度は、各部門の責任者および担当者延べ280名が参加しました。
また、総合アセスメント制度の中の「化学物質安全アセスメント」では、取り扱う全ての化学物質および製品の有害性情報、危険性情報、法規制情報などを一覧表に集約しています。これに基づき、危険有害性についてリスクの低減対策を検討し、作業手順書に反映しています。これらの情報の教育は、化学物質を取り扱う全ての作業者への教育が対象です。

化学物質に対する自主的取り組み

当社グループでは、総合アセスメント制度に基づき「新規計画」に際し、化学物質による人・設備・環境への影響を未然に防止するため、取り扱われる全ての化学物質について、人の健康や環境に対する危険性や有害性を事前に評価しています。

■禁止物質
危険性や有害性ゆえに製造・使用が法律で禁止または特に厳しく制限されている化学物質です。当社グループでは製造・使用を禁止しています。

■原則禁止物質
製造・使用が厳しく規制(許可・届出・安全対策の実施など)されている化学物質です。当社グループでは製造・使用を原則禁止とし、研究開発段階においては代替物質への置き換えを検討しています。やむを得ず製造・使用する場合は、危険性や有害性・製造量・使用量・用途・目的・暴露の状況および人の健康や環境に対するリスク対策などの情報を基に、コーポレート総合アセスメント評価委員会で事前審査し、可否を判断しています。

以上のように、危険性や有害性が懸念される物質に対して、総合アセスメント制度に基づき、体系的に管理しています。
2022年度は、既存製品を対象に、取り扱う全ての化学物質についてリスクアセスメントを実施しました。

既存製品の用途拡大、製品規格・製造方法や原料の変更なども含みます。

有害性試験における動物実験に対する考え方

製品の開発や適性管理のためには、法規制などで求める危険有害性評価が必須です。当社グループでは、有害性試験について、動物を用いない方法で実施することを原則としています。
動物実験を実施せざるを得ない場合には、動物福祉に基づいた動物実験の適切な施行を示す3Rsの国際原則に則り、動物愛護に関する方針や認証を取得している試験機関に委託しています。

国際的に普及・定着している実験動物の飼養保管などおよび動物実験の適正化の原則のことです。 ①動物の苦痛の軽減 (Refinement)、②動物使用数の削減 (Reduction)、③動物を用いない代替法への置換 (Replacement) の3つの原則のことをいいます。