IR情報 / 経営情報事業等のリスク

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、ここに記載した事項は、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。
また、将来に関する事項につきましては、有価証券報告書提出日(2023年6月26日)現在において判断したものであります。

市場リスク

  1. 1市場の急激な変動に係るリスク
    経済の変調により需要が急激に減少した場合、また他社による大型プラントの建設等により供給過剰となった場合や競合各社間の競争激化等により当社グループの製品の低価格化が進んだ場合は、当該事業の収益を悪化させる可能性があります。
    当社グループの製品は多岐に亘る分野に使用されており、特に自動車、電機、半導体、医療などの各業界における需要の変動に大きな影響を受けます。
  2. 2為替変動に係るリスク
    為替相場の変動は、当社グループの輸出入取引に係る交易条件、および海外グループ会社の業績の邦貨換算結果等に対して影響を与えます。
    通常、円安は当社グループの業績に好影響を及ぼし、円高は悪影響を及ぼすと考えております。また、海外グループ会社においては、その所在国通貨と異なる外国通貨との為替相場変動により、業績等に影響を及ぼす可能性もあります。
    これら為替変動に係るリスクに対して、先物為替予約取引などを用いてヘッジを行っておりますが、当該リスクを完全に回避できるものではなく、経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
    当社グループの海外売上高比率は、2023年3月期において62.7%であります。また、当社の試算では米ドル・円のレートが1円変動すると、連結売上高で年間約24億円、連結営業利益で年間約9億円の変動をもたらすと算定しております。
  3. 3主要原料(メタノール)の価格変動に係るリスク
    当社グループは、主力製品の酢酸やポリアセタール樹脂の原料として、メタノールを大量に購入しております。長期契約やメタノール製造会社への出資など、比較的安価なメタノールを安定的に購入するための手段を講じておりますが、メタノール市況が上昇した場合には、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
  4. 4その他原燃料価格の変動に係るリスク
    当社グループは、常に安価かつ価格の安定した原燃料への転換や、製造方法改善によるコストダウンをはかっております。原燃料の高騰が続く場合には、これらに加えて、製品販売価格への転嫁等によりできる限りの吸収をはかっておりますが、吸収しうる範囲には限界があり、それを超えて高騰が続く場合は、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

事業リスク

  1. 1海外事業展開拡大に係るリスク
    当社グループは、中国・アジア地域を中心に、北米・ヨーロッパなど海外事業展開を拡大しつつありますが、海外での事業活動では、予期しえない法律や規制の変更、産業基盤の脆弱性、人材の採用・確保の困難、テロ、戦争による社会的又は政治的混乱等のリスクが存在します。
  2. 2原材料等の調達に係るリスク
    当社グループは、原材料を複数のサプライヤーから購入することにより安定調達を図り、生産に必要な原材料が十分に確保されるよう努めております。しかしながら、複数のサプライヤーからの調達を進めてはいるものの、一部の特殊な原材料については限られたサプライヤーに依存する場合があります。また、サプライヤーの被災、事故、倒産などによる原材料の供給中断、需要の急増による供給不足が発生した場合には当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
  3. 3資本提携・企業買収等に係るリスク
    当社グループは、さらなる事業成長を目指し国内外における企業買収・資本提携等に取り組んでおります。これらの投資について予期した通りの成果が獲得できない場合、また事業環境等の急激な変化により事業計画に大幅な修正が生じた場合には、のれんの減損や投資損失が発生し、当社グループの業績に悪影響を及ぼすおそれがあります。

環境リスク

  1. 1感染症に係るリスク
    新型インフルエンザや新型コロナウイルスなどの重大な感染症については、感染拡大予防のために経済活動が制限されたり、当社グループや取引先で罹患者が大量に出た場合は、プラントの稼働低下や生産停止、サプライチェーンの分断などが発生し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
  2. 2自然災害に係るリスク
    当社グループの主要な生産拠点のひとつであるポリプラスチックス株式会社富士工場は「東海地震に係る地震防災対策強化地域」内に立地しており、設備面の対策や地震防災訓練などを実施しております。また、グループの他の事業場においても、防災訓練などの緊急時対応訓練を行っております。
    しかし、自然災害により重大な損害を被った場合には、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
  3. 3環境規制に係るリスク
    環境保全に対する社会要請の高まりにより、環境規制の強化が進み、法令遵守のための設備投資や関連するビジネスの再編成などの事態が発生した場合には、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
  4. 4気候変動に係るリスク
    当社グループは、全てのステークホルダーとともに、地球環境と共生する循環型プロセスの構築を目指し、持続可能な低炭素社会の実現に向けて、生産プロセスの抜本的な見直しや新技術の導入、グループ全体のエネルギー使用最適化など、省エネルギーに努め、GHG(温室効果ガス)排出量の削減に取り組んでおります。
    しかしながら、気候変動に伴う異常気象等が当社グループの工場の操業やサプライチェーンに影響を与える物理的リスク、あるいは低炭素社会への移行に対応できずに原燃料価格や電力価格が上昇するリスクは、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

品質・製造リスク

  1. 1製品品質保証・製造物責任に係るリスク
    当社グループは、製品の品質保証体制を確立し、製品の安全性確保および不具合品の流出防止に努めております。また、万一に備え、賠償責任保険も付保しております。しかし、当社グループが製造した製品に起因する損害が発生した場合には、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
  2. 2事故に係るリスク
    当社グループは、保安防災活動に継続的に取り組むなど、日頃から工場の安全確保に努めております。しかし、万一、火災・爆発等の産業事故災害が発生した場合には、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

研究開発リスク

  1. 1研究開発及び技術人材の確保に係るリスク
    当社グループでは、既存事業の強化および新規事業創出のため積極的に研究開発活動を行っております。しかし、技術革新のスピードが速くタイムリーに新製品の開発ができないなど、期待した成果が得られず計画を断念することになった場合には、投下した研究開発費を回収できないため、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
    また、これらの研究開発体制の維持・強化のためには、高度な技術を持った人材の確保が不可欠であり、技術者が十分に確保できない場合には当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
  2. 2知的財産権に係るリスク
    当社グループは、「知的財産権が重要な資産であることを認識し、その保全・確保に努めるとともに、第三者が保有する知的財産権についてもその権利を尊重します」との行動規範のもと、知的財産関連情報の調査、知的財産権の取得・管理、適切な契約の締結・管理など戦略的な活動に取り組んでおります。しかしながら、当社グループが第三者の知的財産権を侵害しているとの予期せぬ警告や訴えを受けたり、第三者に知的財産権を無断で使用される恐れがあります。このような事態が発生した場合には当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

コンプライアンスリスク

  1. 1訴訟に係るリスク
    当社グループは、国内外の法令遵守に努めております。しかしながらグローバル、かつ多様な分野で事業を行う中で、訴訟、係争、その他の法的手続きの対象となるリスクがあり、重要な訴訟等の提起を受ける可能性があります。
    裁判等において不利益な決定や判決がなされた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
  2. 2情報セキュリティに係るリスク
    当社グループは、事業を遂行する上で多くの機密情報や個人情報を保有しております。これらの情報を取り扱うにあたり、管理体制の構築、従業員教育の実施およびIT技術動向の変化に応じたセキュリティソフトの導入・更新などの対策をとっております。
    しかしながら、通信ネットワークに生じた障害や、ネットワーク又はコンピュータシステム上のハードウエアもしくはソフトウエアの不具合・欠陥、コンピュータウィルス・マルウェア等外部からの不正な手段によるコンピュータシステム内への侵入等の犯罪行為や使用人もしくは委託業者の過誤等により、これらの情報が流出し、または改ざんされる事態が発生した場合には、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

その他のリスク

  1. 1固定資産の減損に係るリスク
    当社グループが自ら使用、または第三者に貸与する機械及び装置、土地及び建物などは、投資計画どおりに収益が得られず、投資額の回収が見込めないなど資産価値の下落に起因する潜在的な減損のリスクにさらされています。当連結会計年度末において、有形固定資産及び無形資産の帳簿価額の合計は2,673億円です。固定資産の減損損失が発生した場合、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
  2. 2当社グループ会社の樹脂製品における第三者認証登録に関する不適切行為について
    当社グループ会社のダイセルミライズ株式会社が販売する樹脂製品の一部において、米国の第三者安全科学機関である Underwriters Laboratories Limited Liability Company(以下「UL」という。)の認証に関し、不適切な行為が判明しました。1980年代後半~2017年6月にかけて、ULの定める難燃性規格に関するフォローアップ工場試験の際に、指定されたロットとは別の試験片を作成し提出していたほか、1980年代~2020年5月にかけて、認証登録時の組成を一部変更した製品を、ULへの申請を行わずに製造・販売していました。(以下「本件不適切行為」という。)
    本件不適切行為について、ULに報告を行った結果、一部製品のUL認証が2022年10月31日付で取り消されました。これまでUL認証の取消しとなった製品を使用した最終製品に関して事故等の報告は受けておりません。
    また、UL認証が取消しとなった製品について、UL認証の再登録申請を進めております。これに関連し、ISO(国際標準化機構)の登録認証機関である一般財団法人日本品質保証機構(以下「JQA」という。)による不定期審査を受審しました結果、株式会社ダイセル広畑工場が取得しているISO9001:2015について認証範囲が2022年11月18日付で一部取消し・縮小となりましたが、一部取消し・縮小されていた認証範囲につきましては、2023年4月14日付で再認証を受けております。
    本件不適切行為を受けて、当社の独立社外監査役と当社と利害関係を有しない社外の有識者から構成される調査委員会を設置し、本件不適切行為の事実関係、当社国内子会社でのUL認証に関連する類似案件の有無を調査するとともに、これらの行為の原因分析及び再発防止策の提言等を委任し、2022年12月16日に同委員会からの調査報告書を受領しました。
    本調査報告書につきましては、当社ウェブサイトにて公表しております。
    同委員会からの再発防止策の提言を受け、以下の取組みを行っております。
    当社では、同委員会による調査結果を当社グループ全体で厳粛に受け止め、改めて「安全」「品質」「コンプライアンス」を当社の「モノづくり」の基盤と位置付けるとともに、新たに、「ダイセルグループ行動指針」、「ダイセルグループ倫理規範」を定めました。
    また、再発防止のための体制構築も進め、2023年4月1日付で、安全と品質に関する監査と取り組み推進の機能を分離し、それぞれの機能を強化することを目的とした組織変更を実施しました。今後も当社グループの役職員全員が、今一度「モノづくり」の基本に立ち返り、信頼回復・再発防止に全力を挙げて取り組んでまいります。
    なお、本件の対象製品に関連する費用が多額に発生した場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

    品質マネジメントシステムに関する国際規格