リスク管理

基本的な考え方

当社グループは、リスク管理を経営の重要な業務と認識し、企業活動に潜在するリスクへの適切な対応を行うとともに、リスクが顕在化した際の影響の最小化を図っています。

リスク管理体制

リスク管理への取り組み

当社は、当社およびグループ企業のリスク管理を統括・推進する組織として2006年から「リスク管理委員会」を設置し、リスク管理に取り組んできました。2022年度にグループ企業による「第三者認証に関する不適切行為」という重大な問題が発覚したことや、外部環境の変化の著しさに加え、地政学的リスクや気候変動リスクなどの重要性も高まり、多様なリスクへの対応がますます求められることから、2024年度にリスク管理委員会を刷新し、活動を実質的に推進する事務局メンバーを充実させることで、より効果的に活動を推進する体制を整えました。事務局には、事業支援本部・経営戦略室・SCM本部・生産本部・アセスメント本部などの各コーポレート部門の代表者が参画し、基本的にこれまでの活動を継続しつつ、リスク管理活動に関する必要な改革の推進を担うこととしました。

リスク管理委員会は、各組織のリスク管理活動報告およびリスク棚卸しの結果により、リスク対応策の進捗状況の確認を行い、必要に応じて助言や支援を行います。全社的な対応が必要と判断されるリスクについては、経営会議等で報告・議論したうえでアクションを明確にし、対策を進めます。また、当社グループが置かれている事業環境や社会情勢を考慮して、経営に与える影響度等が高いリスクを「重大リスク」として設定し、経営会議等で報告・議論したうえでアクションを明確にし、対策を進めます。

なお、当該委員会で議論された、全社的な対応が必要と判断されるリスクおよび重大リスクへの対応策の進捗状況、次年度のリスク管理の方針、BCPの整備状況、その他重要事項については、年度末の経営会議等および取締役会に報告しています。

当社の各部門・各グループ企業における取り組み

当社グループのリスク管理の根幹は、各組織で実施しているリスク管理です。

各組織では、以下の手順でリスクを管理しています。

  • 1.
    事業目標の達成に重大な影響を及ぼすリスクを特定し、リスクカテゴリに分類(Check)
  • 2.
    発生頻度と発生したときの影響度を3段階に区分し、優先的に対応するリスクを特定(Check)
  • 3.
    できる限り顕在化させないための対策・万が一顕在化してしまった場合に被害を最小限にするための対策の検討および立案(コーポレート部門のリスク担当者に助言を仰ぎ内容を改善)(Act・Plan)
  • 4.
    対策の実施(Do)
  • 5.
    リスクの再評価(Check)とそれに伴う対策内容の再検討(Act)

各組織は、リスクとその対策の内容をイントラネットのデータベースに登録し、対策の実施状況を更新することで1~5のCAPDサイクル※を回し、より適切な対策へつなげています。

また、年度末には対策の実施状況を含むリスク棚卸し結果、新たに特定したリスク・重点確認ポイントの再確認結果などを記載した「リスク活動報告書」を作成し、リスク管理委員会に提出しています。

  • ※
    計画を起点とした活動では重要な事実を見落としてしまうおそれがあると考え、当社では一般的なPDCAではなく、CAPDを改善サイクルとしています。

対象とするリスクカテゴリ

  • 1.
    経営戦略関連リスク
  • 2.
    生産技術・生産装置・用役関連リスク
  • 3.
    建設・修繕(安全・品質・購買など含む)関連リスク
  • 4.
    製品安定供給関連リスク
  • 5.
    知的財産関連リスク
  • 6.
    購買・調達関連リスク
  • 7.
    品質マネジメント関連リスクおよび製品安全(PL)関連リスク
  • 8.
    環境問題等レスポンシブル・ケア関連リスクおよび事故・災害関連リスク
  • 9.
    情報システム・ネットワーク関連リスクおよび情報セキュリティ関連リスク
  • 10.
    グループ経営・統制関連リスク
  • 11.
    法務・企業倫理関連リスク※1
  • 12.
    雇用、人財関連リスクおよび従業員の不正・犯罪関連リスク※2
  • 13.
    金融・投資、与信、財務、会計関連リスク
  • 14.
    広報関連リスクおよび不適切な情報利用関連リスク
  • 15.
    反社会的集団関連リスクおよび地域社会関連リスク
  • 16.
    気候変動関連リスク
  • 17.
    人権関連リスク
  • ※1
    贈収賄など腐敗に関するリスクを含みます。
  • ※2
    労働安全衛生に関するリスクを含みます。

重要案件におけるリスク評価

当社は、経営戦略上重要な設備投資や投融資案件などの審議では、リスク棚卸しおよび対策の検討を、経営会議などにおいて徹底して行っています。

当社が設けている総合アセスメント制度でも、事業活動全体を包括※して多種多様なリスクを事前評価し、安全・環境・健康面などに万全を期しています。

  • ※
    研究開発から生産・消費・廃棄など、全ての事業活動における新規計画を対象としています。
総合アセスメント制度

情報セキュリティ

当社グループは「情報システム基本ポリシー」に基づき、グループ全体のITに関わる情報セキュリティ施策を実施しています。

情報セキュリティ/情報管理

BCP強化策

ダイセルグループでは、事業継続を重要な経営課題の一つと位置付け、「事前の備え(BCPⅠ)」「発災後の初動(BCPⅡ)」「業務復旧対応(BCPⅢ)」の3段階に分けており、より具体的な構成としています。

BCPⅠ:
基盤整備によるハード・ソフト対策
耐震補強、液状化対策、浸水対策、システム二重化(操業系・情報系)、通信・情報収集手段の確保、予備機・予備品を含めた備蓄資機材の見直し、原料・製品などの安全在庫の確保、防犯・セキュリティ対策など
BCPⅡ:
災害発生後の初動対応
迅速かつ有効な判断・行動に向けた繰り返し訓練の計画的な実施、非常・緊急時に使用する手順書やマニュアルの整備・見直しなど
BCPⅢ:
業務レベル回復のための計画的対応
工場・調達先・顧客の被害状況整理、状況に応じた最適な復旧計画の立案・実行など

2025年度の取り組み

2025年度は全社横断プロジェクトとして事業継続計画(BCP)の高度化に取り組みました。
具体的には、将来の大規模災害リスクとして想定される「南海トラフ地震」を主要シナリオとし、実効性の高いBCP基本文書の整備を中核に据え、事業継続力の強化を推進しました。

本取り組みでは、「基本方針の策定」「事業影響度分析」「ボトルネック対策」「代替・復旧手段の検討」「BCP文書作成」「定着化」の6つのステップに基づき、全社的に体系化されたBCPの構築を実施しました。
とりわけ、南海トラフ地震による広域被害を前提に、各拠点・各事業における被害想定を具体化し、重要業務の特定および復旧目標の明確化を行うことで、実行可能な復旧計画へと落とし込みました。

BCP基本文書においては、初動対応から復旧、事業再開に至るまでの一連のプロセスを標準化し、人命確保を最優先とした危機対応体制を明確化しています。
また、サプライチェーンの強靭化については、原材料サプライヤーの製造拠点情報の可視化やBCP調査を実施し、被災時の供給影響を迅速に把握できる体制を構築しました。

加えて、複数購買化やBCP在庫の検討、物流ルートの代替確保などを通じて、供給停止リスクの低減を図っています。
さらに、顧客への安定供給を維持する観点から、優先供給先の明確化や在庫確保方針の策定を行い、実運用を見据えた意思決定基準の整備も進めました。
今後は、定期的な教育・訓練および見直しを通じて実効性の検証と継続的改善を図り、グループ全体での定着を進めていきます。
ダイセルグループは、南海トラフ地震をはじめとする大規模災害リスクに備え、レジリエンスの強化に取り組むことで事業継続力の向上を図り、社会への安定供給責任を果たし、持続可能な企業基盤の確立を目指していきます。

大規模災害発生時の緊急体制・災害対応訓練(保安防災)

リスク発生時の対応

リスクが顕在化した場合には、「リスク顕在化時対応規程」、「安全品質リスク管理規程」に基づき、顕在化したリスクカテゴリの主管部門が対応を行います。規程ではリスクカテゴリごとの主管部門、対処協力部門なども定めています。事故・災害発生時は、「安全品質リスク管理規程」に基づく「安全リスク対応細則」に従って対応します。

保安防災