サステナビリティレスポンシブル・ケア活動

当社グループでは、レスポンシブル・ケア(以下、本文はRC)の理念の下「ダイセルグループ レスポンシブル・ケア基本⽅針」を定め、持続可能な社会の実現に向け、全グループを挙げてRC活動を推進しています。

ダイセルグループのレスポンシブル・ケア

RC活動とは、化学品を製造または取り扱う事業者が化学品の開発から製造、物流、使⽤、廃棄に至る全ての過程において、⾃主的に「環境・健康・安全」を確保し、その成果を公表し、社会との対話を行う取り組みで、世界中の化学メーカーが実践しています。当社グループは、RC活動を重要な責務と捉え、社長直轄のRC委員会を中心に推進しています。
1995年2月21日には、⼀般社団法⼈⽇本化学⼯業協会(JCIA)の「環境・安全に関する⽇本化学⼯業協会基本⽅針」に基づき「レスポンシブル・ケア基本⽅針」を制定し、2011年4月1日には⽣物多様性の保全に関する項⽬を追加しました。その後、JCIAの基本⽅針改定に伴い、2017年4月5日に「ダイセルグループ レスポンシブル・ケア基本⽅針」へ改定しました。この基本方針は、社長決裁を経て制改定しています。

ダイセルグループ レスポンシブル・ケア基本⽅針

  1. 1経営からの⽅針に基づき、法令を遵守し、環境の保全、健康の増進及び安全の確保に努め、具体的な実施計画を全従業員に周知・実⾏する。
  2. 2製品の開発から廃棄に至るまでの全ライフサイクルにわたり継続して環境・健康・安全のパフォーマンスの向上に努め、施設・プロセス・技術に関わるセキュリティを強化するとともにそれらの成果を社会に公表する。
  3. 3省エネルギー及び省資源を⼀層推進し、廃棄物の削減及びその有効活⽤に努める。
  4. 4サプライチェーンにわたって製品の安全性とプロダクト・スチュワードシップの継続的改善を促進することにより、環境・健康・安全に貢献する。
  5. 5化学品の開発・製造から使⽤・消費・廃棄のライフサイクルにわたり、リスクベースの化学品管理を実践すると共に、常に継続的改善を図り、化学品管理システム強化に努める。
  6. 6従業員ならびにバリューチェーンにわたって化学品の取り扱いが安全に管理できるよう働きかける。
  7. 7より安全な操業や製品に対するステークホルダーの懸念・期待を理解しこれに応えるとともに、パフォーマンスや製品について率直なコミュニケーションを行うことにより、ステークホルダーとの関係を強化する。
  8. 8ステークホルダーの期待に応えるために環境・健康・安全に関する取り組みを当社全グループを挙げて継続的に改善する。
  9. 9独⾃技術や⾰新的技術、その他のソリューションを開発・提供することにより社会の持続的発展に貢献する。
  10. 10将来の世代にわたり⾃然の恵みを受け続けるために、⽣物多様性の保全に配慮した活動を推進する。

2017年4月5日 改定

レスポンシブル・ケア推進体制

当社グループは「労働安全衛⽣」「保安防災」「環境保全」「化学品安全」「物流安全」および「社会との対話」のRC活動を推進するために「レスポンシブル・ケア推進規程」に基づき、RC委員会を設置し、定期的に委員会を開催しています。

RC委員会は、RC活動の最⾼責任者である社長により任命されたRC担当役員(アセスメント本部長)を委員長として、ダイセル労働組合中央執⾏委員代表や管理部⾨の部⾨⻑(委員⻑より任命)、事務局となるアセスメント本部RC室(以下、RC室)などで構成しています。

なお、2023年4月1日付けで、安全・品質・コンプライアンスを最優先とする経営基盤強化のための組織変更を行いました。新組織の詳細や体制はこちらをご覧ください。

本ページに掲載する2022年度中の取り組みは、組織変更前の体制で実施しています。

レスポンシブル・ケア推進体制

レスポンシブル・ケア推進体制

レスポンシブル・ケア委員会の役割

RC委員会は、基本方針を策定するほか、年度末には各部門からRC活動に関する報告を受け、経営層が参加する企画会議で報告するとともに、次年度の目標、計画を提案し、経営会議決裁を得て決定しています。これらの取り組み状況は、RC委員会から経営会議へ報告されます。また「レスポンシブル・ケア監査規則」に基づいたRC監査を実施しています。

レスポンシブル・ケア委員会の役割

役割 内容
  • 1.基本方針および目標等の策定
RC活動を継続的かつ、着実に推進するため、当社グループ横断的なRC基本方針および目標等を作成する
  • 2.実施体制の整備
目標の設定、実施計画の策定、実施、実施結果の評価のCAPD改善サイクルが的確に行えるよう、必要に応じて実施体制の見直しを検討する
  • 3.長期計画および中期計画の審議・立案
長期計画におけるRC事項およびRC中期計画の立案において、委員会はRC室から提案を受け、全社に関わる重要事項に関し審議決定する
  • 4.年度実施計画の企画・立案
委員会は、当社グループに関わる重要事項に関する方針を審議、決定する委員会で承認後、企画会議の審議を経て経営会議の決裁を受ける
  • 5.実施状況の把握・助言
  1. (1)委員会は、RC活動を的確に推進することを目的としてRC室に助言・指導を行う
  2. (2)委員会はRC事項に関する教育訓練、文書管理および広報活動の業務に対し、必要に応じて適切な指導・助言を行う
  • 6.RC監査実施結果の評価

RC監査体制

  • 7.規程類の制定・改廃
委員会はRC活動の円滑な推進に関わる重要な規程、規則等の計画的な整備状況、諸規程管理規程に基づく体系化などについて、必要により助言、指導を行う
  • 8.RC活動における善行や貢献に対する表彰
委員会はRC活動における善行や貢献に対する表彰を行う

計画を起点とした活動では重要な事実を⾒落としてしまうおそれがあると考え、当社では⼀般的なPDCAではなく、CAPDを改善サイクルとしています。

レスポンシブル・ケア監査体制

「レスポンシブル・ケア監査規則」に基づき、アセスメント本部長、RC委員会部門代表およびRC室で構成されるメンバーで、当社全事業場およびポリプラスチックス(株)富士工場は年1回、その他のグループ企業は3年ごとにRC監査を実施しています。RC監査は毎年度全社グループ横断的な課題をテーマに定めて監査するとともに、RC実施計画の実施状況の確認や、計画達成に向けた課題について審議しています。また、RC監査の結果は次年度の⽬標やRC実施計画に反映させ、継続的改善に取り組んでいます。

2022年度は、国内の当社7事業場およびポリプラスチックス(株)富士工場、大日ケミカル(株)いわき工場、DMノバフォーム(株)長野工場、ダイセル物流(株)に対して、対面/リモートのハイブリッド方式で、監査を実施しました。監査テーマに「重大トラブルの再発防止」「環境負荷低減に向けた取り組みの推進」を掲げ、RC実施計画における重要課題、主要課題検討会で顕在化した課題や静電気トラブル対策の進捗、PRTR・VOC排出削減状況などについて確認しました。

主要課題検討会

当社および国内グループ企業の各事業場において、定期的にRC室が往査する「主要課題検討会」を開催しています。主要課題検討会では、各事業場のRC実施計画進捗状況や労働安全衛生および保安防災の取り組み状況、環境課題推進状況などを討議し、RC活動を推進しています。
2022年度は、国内の当社7事業場のほか、ポリプラスチックス(株)富士工場、大日ケミカル(株)いわき工場、ダイセル物流(株)尼崎営業所、DMノバフォーム(株)岡山工場・長野工場・青森工場およびダイセルパックシステムズ(株)伊勢崎工場で、対面/リモートのハイブリッド方式で開催しました。

CAPDサイクル図

CAPDサイクル図

レスポンシブル・ケア活動の推進

安全環境責任者会議

当社事業場とポリプラスチックス(株)富士工場の安全環境部⾨の責任者、およびRC室がリモートで会し、定期的に「安全環境責任者会議」を開催しています。
2022年度は8回開催し、労働安全衛生や保安防災、環境保全をはじめとするRC関連の課題、改正安衛法などの規制に関して、情報共有と討議を行いました。

ダイセルグループ レスポンシブル・ケア推進大会

RC活動は、サステナブル経営方針を実現する上で重要な取り組みの一つです。当社グループは、RC活動を常に高い意識を持ち推進するため、年度始めに「ダイセルグループ レスポンシブル・ケア推進⼤会」を開催しています。推進大会には、当社の経営層をはじめ、SBU長・カンパニー⻑・グループ企業社⻑・ダイセル労働組合代表、各部⾨代表などが出席し、社⻑、RC委員会委員⻑および副委員⻑がメッセージを発信するとともに、年間のRC活動⽅針、RC実施計画を発表し、周知・浸透を図っています。
2022年度は、東京本社を拠点にリモート開催し、社長、RC委員会委員長および副委員長が安全と品質の確保についてメッセージを発信しました。また、播磨工場長および大竹工場長から工場での安全への取り組み、RC室長からはRC実施計画についての発表がありました。
2023年度は、最重要基盤である「安全・品質・コンプライアンス」を前提としたサステナブル経営の実現に向けて「ダイセルグループ サステナビリティ推進大会」へ改称するとともに、参加を最重要基盤の推進部門およびサステナブル経営推進部門の責任者へと拡大し、2部構成で開催しました。第1部では社長をはじめ、RC委員会委員長、副委員長、安全と品質を確かなものにする本部長、企業倫理室長およびサステナブル経営推進室長がメッセージを発信しました。第2部では、幕田英雄社外監査役が「UL問題とサステナブル」を演題に講演を⾏いました。2023年度は対面/リモートのハイブリッド方式で開催し、約110名が参加しました。

TOPICSRC活動における善行や貢献に対する表彰

RC委員会では、毎年度RC活動における善行や貢献に対して表彰を行っています。2022年度はダイセル・セイフティ・システムズ株式会社第一工場SS生産部インフレータ生産グループ室長が表彰されました。
受彰者は、台風による工場内の電柱倒壊のトラブルを未然に防止し、往来者の安全確保、工場の安定操業に貢献しました。
表彰式は、例年は推進大会で行われますが、2022年度はコロナ禍のため、受彰者が勤務する事業場での実施となりました。

社内研修

当社グループの全社員を対象に、RC活動の重要性を理解し行動できるよう、社内研修を実施しています。

人の成長のサポート

環境、安全と健康の総合アセスメント制度

総合アセスメント制度

当社グループでは、事業活動を通じてリスク評価を行う仕組みとして「環境、安全と健康の総合アセスメント制度」(以下、総合アセスメント制度)を運⽤しています。
総合アセスメント制度は、研究開発から⽣産、消費、廃棄など全ての事業活動における新規製品の上市や、既存プロセス・設備の変更などの計画(新規計画)を対象としています。アセスメント本部長を責任主体とする制度で、事業活動全体を包括した多種多様なリスクを事前に評価し、環境・安全・健康⾯などに万全を期すための仕組みです。

「環境、安全と健康の総合アセスメント制度」の概要

  1. 1「法規対応」「化学物質安全」「環境保全」「労働安全衛⽣」「設備安全」「製品安全」「物流安全」および「製造委託・購⼊販売時の安全」の8項⽬を切り⼝に、それぞれのアセスメント基準に基づき適合性を評価しています。
  2. 2新規計画とは新設、改造、運転条件変更など全ての変更点のことを指します。
  3. 3経営上重⼤な影響を及ぼす新規計画を対象とするコーポレート総合アセスメントと各部⾨が中⼼となって実施する部⾨総合アセスメントがあり、新規計画の内容や、規模、リスクの大きさに応じて、ランク区分や、区分ごとのアセスメント項⽬、アセスメント実施者および最終評価者を定め、評価しています。
  4. 4新規プロセスの採⽤や増産などの新規計画では、技術⾯や設備⾯においても設計・仕様の適合性を評価する技術アセスメントや設備アセスメントを実施しています。事前にこれらの審議を経た後、コーポレート総合アセスメントを実施する仕組みとしています。

2022年度は、中期戦略の実現に向け、全社の新規計画に対する計画精度の向上と迅速な意思決定の両立を目的に、これまで培った総合アセスメント制度の仕組みを見直しました。事業場やSBUへの権限移譲範囲の拡大、人命や事業に重大な影響を与える項目に関するコーポレート総合アセスメントの対象範囲絞り込みや、全社の知見・技術を活用するための「アドバイス会の設置」などの見直しを図りました。
この新たな取り組みに伴い「環境、安全と健康の総合アセスメント規程」など、その下位規則細則および付表・チェックリストも改定し、2023年1月から運用を開始しました。
コーポレート総合アセスメントでの審査件数は、海外⽣産拠点の新規計画も含め、本制度導⼊以来累計1,112件となりました。

製品安全アセスメント

医薬品、食品、化粧品、医療機器および自動車などの安全装置関係の製品について、お客さまに安全で安心な製品を提供するために、製品安全に関するリスクアセスメントの強化を図っています。2015年度より、製品安全に関わるリスクの特定や監視、クライシス時における対応措置に関する「製品クライシスアセスメント」を開始しました。また、2017年度より製品安全のリスク評価を社内の評価審査に留まらず、さらに専門的な視点で評価するため、外部の有識者を議長とするアセスメントとして「製品安全諮問会議」を運用しています。
2022年度は、お客さまの身体・生命・財産に被害を与える重大な製品安全事故は発生しませんでした。

総合アセスメントフロー

総合アセスメントフロー

総合アセスメント項目

総合アセスメント項目

レスポンシブル・ケア世界憲章

2005年、RC活動を通じた化学産業の持続的発展と社会貢献に関する世界規模での啓発を視野に、RC活動の国際的機関である国際化学⼯業協会協議会(ICCA)によって「レスポンシブル・ケア世界憲章」が策定されました。当社はこの動きに賛同し、2008年に署名しました。
同憲章は、化学製品の安全な管理、化学製品による生活の質の改善、持続的発展への貢献に向けて取り組むべき課題をより明確にすべく2014年に改訂され、同年、当社も「レスポンシブル・ケア世界憲章」(2014年改訂版)⽀持宣⾔書に、あらためて署名しています。

「レスポンシブル・ケア世界憲章」の⽀持宣⾔

「レスポンシブル・ケア世界憲章」の⽀持宣⾔書

安全・品質・コンプライアンスを最優先とする経営基盤強化のための組織変更

2023年4月1日付けで、安全・品質・コンプライアンスを最優先とする経営基盤へ強化のための組織変更を行いました。
アセスメント本部の品質監査室およびRC室を発展的に解消するとともに、新たに「安全品質監査室」を設置しました。安全品質監査室では、RC監査を含む安全と品質に関する監査および教育を一元的に実施します。
また、安全と品質を確かなものにする本部を新設しました。同本部には、RCセンターと品質保証センターを設置し、それぞれRC活動と品質保証・品質管理に関する取り組みを統括・推進します。同本部の担当役員がRC委員会委員長および総合アセスメント責任者として、RC活動および総合アセスメント制度を推進していきます。

2023年度以降のレスポンシブル・ケア活動推進体制

2023年度以降のレスポンシブル・ケア活動推進体制

各レスポンシブル・ケア活動へのリンク

レスポンシブル・ケア マネジメントシステム

環境保全

保安防災

労働安全衛生

化学品安全

物流安全

社会との対話