サステナビリティ / 社会性報告 魅力ある職場づくり働きやすい企業文化の醸成
基本的な考え方
当社グループは「仕事を通じて社員がやりがいを実感できる会社」でありたいと考え、人事方針、「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)宣言」、人事ガイドラインに基づき、人事施策を行っています。まずは社員一人ひとりとその家族の幸せが前提としてあり、それを実現した先に社会の幸せがあると考えています。グループ全社員がやりがいをもっていきいきと働けるよう、一人ひとりを大切にする「人間中心の経営」を貫き、サステナブルな社会の実現に貢献していきます。
推進体制
当社は、人事施策の立案・実行にあたり、人事担当役員の責任の下で、CAPD※サイクルによる人財マネジメントを人事グループが主体となって実施しています。経営上重要な施策については、経営会議や戦略会議などの主要会議に諮っています。
労働組合とは「健全な労使関係」で紹介している各種委員会を中心に対話を重ね、働きやすい企業文化の醸成に労使一体となって取り組んでいます。多様な人財が働きやすい会社を目指して、意識改革と制度改革に取り組んでいきます。
※計画を起点とした活動では重要な事実を見落としてしまうおそれがあると考え、当社では一般的なPDCAではなく、CAPDを改善サイクルとしています。
次世代育成支援対策推進法「行動計画」の策定
当社は、国が掲げる次世代育成支援対策推進法に基づき、「行動計画」を策定しています。
現代社会において、仕事と育児、介護、病気治療など、さまざまな背景・役割をもつ社員が増えています。
これらの多様なニーズに応えるため、当社は引き続き柔軟な働き方を推進し、適正な労働時間の確保を目指します。育児・介護支援の充実などを通じて、社員が安心して働ける環境を整え、仕事とプライベートの両立を支援し、社員がより良い生活を送ることができるよう努めてまいります。
「サステナブルな働き方の実現」を目指し、今後も全ての社員が生き生きと働ける職場づくりを推進してまいります。
ワーク・ライフ・バランスの向上
当社は、社員一人ひとりのワーク・ライフ・バランスの充実と働きやすい職場環境の整備を目的に、所定労働時間の短縮に取り組んでいます。
労働時間短縮のための施策
時 期 | 施策の内容 |
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2017年4月 | 労働時間短縮と休日数増について労使合意 |
2018年4月 | 常日勤者の所定労働時間短縮を8時間/日から7時間30分/日に短縮 年間約120時間(約6.2%)の所定労働時間短縮を実現 |
2020年4月 | 交替勤務者の休日を10日増 |
2022年4月 | 年間休日数122日 |
労働時間のミエル化
当社では、利用端末のログオン・ログオフ時刻を勤怠報告書に表示させることで実労働時間をミエル化しています。このようなシステム化によりリモートワークが拡大するなかでも社員の健康維持・管理に努めています。
長時間労働の是正
当社は長時間労働の是正に取り組んでおり、75時間を超える時間外労働を労使協定により禁止しています。システムによる実労働時間のミエル化に加えて、労使で組織する生産性向上推進委員会において、各部門の時間外労働(残業)の申請状況をモニタリングし、時間外労働の発生原因の把握、該当部門へのヒアリング、改善に向けた具体的対策の検討を行うことで、長時間労働の是正を図っています。さらに、当社ではやむを得ず長時間労働した社員への配慮として、1カ月間の時間外労働が60時間を超えた社員、もしくは3カ月連続して1カ月間の時間外労働が45時間を超えた社員には産業医や保健師による面談を実施しています。
柔軟な働き方の実現に向けた取り組み
ワーク・ライフ・バランスのための両立支援
当社は、社員一人ひとりが多様かつ柔軟な働き方を実践し、仕事と生活のバランスを保てる仕組みづくりに注力しています。
副業兼業制度(Work×Work チャレンジ制度)
社員一人ひとりが自立し、自らキャリアを考え、さらなる成長を目指せるようにするため、当社では副業兼業制度を導入しています。2025年3月末現在、37名が当制度を利用しています。
ダイセルの人事制度
ダイセルの人事制度
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制度・施策名 | 正社員 | 契約社員 | ||
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継続雇⽤社員 | 常勤嘱託社員 | |||
育児や介護への支援 |
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○ | ○ | ○ |
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○ | ○ | ○ | |
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○ | ○ | ○ | |
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○ | ○ | ○ | |
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○ | ○ | ○ | |
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○ | ○ | ○ | |
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○ | ○ | ○ | |
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○ | ○ | ○ | |
心のゆとり健康管理 |
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○ | ○ | ○ |
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○ | ○ | ○ | |
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○ | ○ | ○ | |
ワーク・ライフ・バランス |
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○ | ○ | ○ |
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○ | ○ | ○ | |
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○ | ○ | ○ | |
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○ | ○ | ○ |
※法定水準を超える制度もしくは法定ではないが当社が導入している制度
有給休暇取得率の向上
当社では、2019年度以降、事業場ごとに年間5日の有給奨励日を設定しています。2024年度の有給休暇取得実績は80.7%でした。
有給休暇取得率の推移
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2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 |
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64.4% | 70.6% | 73.6% | 70.5% | 76.0% | 77.9% | 82.5% | 80.7% |

連続有給休暇取得(サンクスホリデー)の推進
当社では、女性活躍推進法に基づく行動計画の目標の一つに「社員全員が有給休暇と所定休日を活用し、年1回の5連続休暇を取得する」という目標を掲げ、サンクスホリデーという名称で有給休暇の取得推進を図っています。
また、次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画においても、「有給休暇の取得率を80%以上とする」という目標を策定しており、社員一人ひとりのワーク・ライフ・バランスの充実と、長期休暇取得によってチームで仕事をサポートしあえる体制を整えることの両方を目指した活動をしています。なお、当社における2024年度の5連続休暇取得率は69.2%でした。
リモートワーク(在宅勤務・サテライト勤務)の推進
当社は、時間や場所に制約されない効率的な働き方の普及に向けて「リモートワーク」を推進しています。
なお、当社はサテライトオフィス運営会社と契約締結し、移動中、あるいは出張先からオフィスに戻らずに業務に従事できるようにしています。機器やネットワークの整備も配備しました。
また、一人でも多くの社員が家族との時間を大切にできるよう、業務上可能な社員は、単身赴任を解消して、家族が住む自宅などでフルリモートで勤務することも可能にしています。
男性社員の育児休業取得推進
当社は、「ワーク・ライフ・バランスを充実させる」という観点から、2017年度に育児休業期間の一部(5日間)を有給化し、男性社員も育児休業をより取得しやすい環境を整備しました。2024年度の男性育児休業取得率は、94.1%でした。
男性育児休業取得率の推移
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2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 |
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29.4% | 52.6% | 57.8% | 77.6% | 77.5% | 97.9% | 89.8% | 94.1% |

社員の声:育休は自分の意識を変える良い機会になりました

(育休取得者のコメント)
育児休業取得日数:160日
育児休業を取得して、寝かし付けや夜泣きによる睡眠不足など、育児の大変さを身をもって実感しました。
その一方で、仕事から一時的に離れて自分の人生や仕事をポジティブに見つめ直す良い機会にもなりました。
そして何より、子どもとのかけがえのない時間を長く過ごせることは本当に貴重な経験でした。
仕事と介護の両立
2024年度から「仕事と介護の両立」をテーマにしたセミナーを開始しました。社内の支援制度や社会保険の仕組みなどについて講師から学び、理解を深めました。今後も適切な情報提供を行っていきます。
仕事と治療の両立
当社では、不妊治療と仕事の両立をテーマにした動画を配信し、治療と就労の両立に必要な知識や職場での配慮について学び、理解を深める機会を設けています。今後も支援体制の充実を図ってまいります。
報酬水準に対する指針と処遇決定の透明性
報酬に対する安心感は、働きやすい企業文化を構成する大切な一要素であると捉えています。
国内外の当社グループ各社で、法定最低賃金以上の賃金支給、時間外労働に対する割増賃金の支給など、各国、各地域の法令を遵守した賃金支給となっているかを人権デュー・ディリジェンスの際に確認しています。その結果、当社グループ各社で法令遵守できており、是正要求している事例はありませんでした。また、こうした法令遵守は当然のこととして、当社グループの人事ガイドラインでは、「外部ベンチマークに基づき、自社の報酬水準、支給項目を定期的に検証する」ことを定めており、労働市場の水準を踏まえ、競争力のある報酬水準を維持できるよう整備しています。
処遇決定の透明性にも配慮しており、人事ガイドラインでは、「賃金体系、項目についてのルールを定め、社員に周知する」としています。処遇決定はグループ各社の裁量に委ねていますが、例えば、当社では、賃金に関する規則の開示に加え、賃金テーブルも対象となる社員に公開しています。
福利厚生制度
友愛会
当社グループでは、会員の相互扶助により、その福祉の向上を図るとともに、⾃⼰の⽣きがいと友愛の精神を育むための育成援助を⽬的として「友愛会」を設置しています。
本会は、当社の労使の総合福祉政策に沿って設立されており、会員は当社に在籍している社員および当社グループで友愛会に加入している企業に在籍している社員で構成されています。
なお、友愛会の福利厚生は、当社の同性パートナーシップ制度にも対応しています。
友愛会の福利厚生制度
項⽬ | 内容 |
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結婚祝金 | 会員が結婚する場合、祝金を支給します。 |
出産祝金 | 会員に子どもが出生した場合、祝金を支給します。 |
入学祝金 | 会員の子どもが小学校・中学校・高等学校に入学する場合には、祝金を支給します。 |
弔祭料 | 会員の弔事に対し、区分に応じた弔祭料を支給します。 |
傷病見舞金 | 会員が傷病のため休業した場合は、日数の区分に応じた傷病見舞金を支給します。 |
災害見舞金 | 会員の現居住本宅が火災・風水害・地震などの災害を被った場合には、被害の区分に応じた災害見舞金を支給します。 |
休職者補助金 | 会員の私傷病による休業が、加入各社ごとの休職規程などに定める休職となった場合には、区分に応じた補助金(日額)を支給します。 |
入院費補助金 | 会員およびその家族が私傷病により健康保険適用病院に入院した場合は、区分に応じた入院費補助金(日額)を支給します。 |
介護支援金 | 各会社の介護休業制度を取得申請した会員に対し、取得期間の区分に応じた支援金を支給します。 |
遺児育英年金 | 会員が死亡した場合、その会員により扶養されていた実子がある場合、小学校入学〜高校3年の間は遺児育英年金(月額/名)を支給します。 |
退会金 | 会員が脱会する場合には、加入期間の区分に応じ退会金を支給します。 |
生命共済 | 会員または(登録のある)会員の配偶者が死亡した場合には、生命共済金を支給します。 |
社会貢献活動表彰金 | 社会貢献活動を通じて社会的向上に貢献した個人またはグループに表彰金を支給します。 |
GLTD保険金 | けがや病気で働けなくなったとき、公的保険や従来の所得補償保険では十分に補償することのできない長期の就業障害を補償します。 |
ライフスタイルに対応した福利厚生制度
友愛会の福利厚生制度に加え、社員のライフスタイルに合わせて利用できる福利厚生制度を導入し、ワーク・ライフ・バランス向上に努めています。
福利厚生サービス
当社では、社員を対象に、キャリアアップ、健康づくり、子育て・介護、旅行など、自身の希望するメニューを選べるパッケージプランの福利厚生サービスを導入しています。
企業主導型ベビーシッター派遣事業の活用
当社では社員がベビーシッターを利用した際、利用料金の一部を補助しています。今後も各種制度・施策を検討し、安心して仕事と子育ての両立ができるよう支援していきます。2024年度は延べ88名の社員が制度を利用しました。
ダイセルグループ従業員持株会
当社グループでは、社員の財産形成の一助とし、拠出金による株式保有で会社との一体感をより高めるため、ダイセルグループ従業員持株会制度を設けています。2025年3月31日時点で、持株会には2,913名が加入しており、保有株式は645.6万株です。
また、ダイセルグループ従業員持株会は、ダイセル株主上位6位(2025年3月末)に位置します。
ダイセルグループ従業員持株会(各年度3月31日時点)
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2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | |
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会員数 | 1,986名 | 2,223名 | 2,279名 | 2,503名 | 2,572名 | 2,832名 | 2,913名 |
保有株数 | 408.0万株 | 464.7万株 | 504.8万株 | 524.5万株 | 597.2万株 | 617.9万株 | 645.6万株 |

社員とのコミュニケーション
健全な労使関係
「労使憲章」の主旨
- 労使間の決定事項については、⼈間尊重の精神により、交渉および協議により決定します。
- 会社は組合活動の⾃由を認め、組合員の組合活動を理由に差別しません。
- 会社と組合は管理思想を排除して、社員の⼈間性を尊重します。社員は⾃らの意志で、生産性向上を通して社業の発展に努めます。
- 会社は社員⼀⼈ひとりの能⼒を最⼤限に引出すことを⽬的として、公正かつ適正な処遇を⾏います。
当社は、社員を重要なステークホルダーと位置付け、労働組合と「労使憲章」を締結しています。互いの立場を尊重しながら、社業の発展に向け、誠意と信頼をもって協議することで、健全な労使関係の維持・強化に努めています。また、労使で各種委員会を設置し、経営課題への対応や労働条件の改善・⽣産性向上・⼈事制度・労働時間や健康管理に関する協議など、様々な取り組みを⾏っています。
主な労使委員会
名称 | 主な内容 |
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中央経営協議会 |
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中央ヘルスケア委員会 | 社員一人ひとりの生産性向上と、いきいきと健康的に働けるための環境づくりを目指すため、社員の心と身体の両面でのヘルスケアのサポート |
中央生産性向上推進委員会 |
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労使経営課題報告会 | 経営課題に関する議論 |
社員意識調査(エンゲージメントサーベイ)を実施
当社グループは、2年に1度全社員を対象とした社員意識調査(エンゲージメントサーベイ)を実施しています。
この調査を通じて、社員エンゲージメント、社員の職場環境に対する満足度、仕事を通じた働きがいなどを定量的に把握し、人事施策や各職場での改善の取り組みなどに活用しています。
2023年度は10,857名を対象に調査を実施し、9,504名から回答を得ました(回答率88%)。調査結果は、社員エンゲージメントの肯定的な回答率が前回(2021年度実施)と比較して向上しており、2021年度より実施してきた人事制度改革など各人事施策の取り組み成果が表れてきていると考えます。引き続き、社員のエンゲージメント向上に向けた取り組みを進めていきます。
なお、次回の社員意識調査は、2025年度の実施を予定しています。
社員意識調査(エンゲージメントサーベイ)実施概要
(ダイセルグループ)
社員エンゲージメント(働きがい)の回答
2021年度 | 2023年度 | |
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肯定的な回答をした社員の割合 | 56% | 59% |
なお、心と身体の健康に関するストレスチェックの取り組みは、「心と身体の健康」に記載しています。
グループの一体感醸成を目指して
ダイセルグループ長期ビジョン・中期戦略の浸透に向けて
当社グループの社員一人ひとりが長期ビジョンや中期戦略を自分ゴトとして捉え、個々の仕事の結びつきを理解し、ビジョン実現に向けた変革の一歩を踏み出せるよう、社員同士が集まりディスカッションする機会を設けています。
2022年度はLEGOを用いたワークショップを各事業場で開催し、集まったメンバーでLEGOを組みたてながら、社内の仕事や、それに関わる人の想いを互いに理解しあう活動をしました。


ダイセルファミリーデーの開催
当社グループでは2024年夏に、社員の家族が職場を訪問する「ファミリーデー」を開催しました。
参加した家族の皆様には、職場見学やクイズなどを通じて当社の取り組みや仕事内容への理解を深めていただきました。社員にとっても、普段の働く姿を家族に見せることで誇りを感じる機会になったのではないかと思います。
また当社は、ファミリーデーの機会に、LGBTQを題材とした絵本や映画の紹介を行っています。
また、播磨工場では毎年春に、桜フェスティバルを開催し、社員の家族も招待しています。
社内コミュニケーション
当社では社員を重要なステークホルダーと認識し、労働組合を通じたコミュニケーション・対話を行いつつ、社員の期待やニーズに応える仕組みを整えています。
また、各種社内報ツールを用いて、定期的に全グループ社員に向けて多言語での情報発信を行うなど、インターナルコミュニケーションの活性化によるグループの一体感醸成にも取り組んでいます。

