サステナビリティ / 環境報告生物多様性保全

基本的な考え方

当社グループでは「ダイセルグループ レスポンシブル・ケア基本方針」に則り、今後何世代にもわたって自然の恵みを受け続けるために、生物多様性の保全に配慮した活動を推進しています。

推進体制

当社は、生物多様性保全に関する取り組みをより明確にするため、2011年度に生物多様性の保全への取り組みに関する内容を当社グループのレスポンシブル・ケア基本方針に織り込みました。
各取り組みは、社長直轄のレスポンシブル・ケア推進体制の下、適切に実施しています。

レスポンシブル・ケア推進体制

⽣物多様性の保全への取り組み

私たちは、直接的または間接的に生物多様性の恵みを受けて生活をしています。一方で、種の絶滅が加速するなど、人間の活動が地球上の生態系に危機的影響を与えています。次の世代に向けて、生物多様性を守り、持続可能な方法で生物資源を利用することが、私たちには求められています。
生物多様性の損失を防ぐため、気候変動への対応や、廃棄物削減・リサイクル、化学物質の排出管理、水資源の保全などに取り組んでいます。
また、研究開発部門では、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(カルタヘナ法)を踏まえた社内規程を作成し、研究開発を行っています。

海洋プラスチックごみ問題への取り組み

近年、海に流れ出たまま分解されずに海洋資源に影響を及ぼす海洋プラスチックごみ問題が深刻化しており、生物多様性への悪影響が問題視されています。当社グループは、特長ある製品、長年培ってきた技術によりこの問題解決に取り組んでいます。

海洋プラスチックごみ問題解決に貢献する製品

当社の主要製品である酢酸セルロースは、植物由来の「セルロース」と自然界に存在する「酢酸」を原料として製造される生分解性を持った環境にやさしい素材です。使用後の酢酸セルロースは、最終的に水と二酸化炭素に生分解され、土壌や廃棄物中だけでなく、海水中でも分解されます。当社は、酢酸セルロースの分子構造を調整し、海水中での生分解性を大幅に向上させた高生分解性酢酸セルロース「CAFBLO®を開発しました。「CAFBLO®」は、海水中での生分解性を認証する国際認証機関TÜV AUSTRIA Belgiumから、“OK biodegradable MARINE”認証を取得しています。
また、酢酸セルロースに可塑剤を配合した生分解性バイオマスプラスチック「セルブレンEC」も海洋プラスチック問題解決に貢献する製品として注目されています。他の生分解性プラスチックにない高い透明性と成型性が特長で、海洋への流出が問題となっているストローやカトラリーが用途の一つとなっています。リサイクルから外れても生分解されることで、海洋プラスチックごみ問題の解決につながっています。
これらの素材の用途を幅広く開発し、社会に浸透させていくことで、海洋プラスチックごみ問題の解決に努めます。

CAFBLO®は、株式会社ダイセルの日本およびその他の国における商標または登録商標です。

業界団体や地方公共団体との協業

当社は、バイオプラスチックの普及促進と試験・評価制度の確立を目的に設立された「日本バイオプラスチック協会」、そして、業種を超えた連携で海洋プラスチックごみ問題解決に取り組むプラットフォーム「クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス(CLOMA)」に参加しています。また、2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにすることを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」に協力するとともに、2050年に海洋プラスチックごみをゼロにする「GREEN SEA 瀬戸内ひろしま・プラットフォーム」に参画しています。これらへの参加を通じて化学業界内の連携だけでなく、業界の枠を超え、官民一体となってイノベーションを加速し、海洋プラスチックごみ問題解決に取り組んでいます。

大阪ブルーオーシャンビジョン

いのちの森づくり

いのちの森づくりは、故・宮脇昭先生が提唱する植樹方法(宮脇方式)によるその土地本来の自然な森を再生する森づくりの取り組みです。当社は、社長を委員長とする「いのちの森づくり委員会」を組織し、グループを挙げて「いのちの森づくり」に取り組み、生物多様性保全に貢献しています。植樹活動には地域の皆様にご参加いただき、地域社会との交流の場にもなっています。
当社は中期戦略『Accelerate2025』においてバイオマスバリューチェーン構想を提案しました。木を100%有効活用するバイオマスプロダクトツリーを確立し、木材を資源化することで林業を復活させます。林業の復活で荒廃した森をいのちの森に再生させることで、森の保水力が回復し、土砂災害が抑制され、農地の肥沃化により農業が活性化します。さらに栄養豊富な森の地下水が川に流れ出ることで水産資源の再生につながります。当社グループは、林業・農業・水産業などの一次産業と、私たち化学メーカーなど二次産業が共創を通じて価値を循環させる新しいかたちのサステナブルな社会の構築を目指しています。