サステナビリティマテリアリティ

当社グループは、中期戦略「Accelerate 2025」達成のための重要課題として、2020年度にマテリアリティを特定しました。マテリアリティに沿ってCAPDサイクルを回し、サステナブルな社会の実現にダイセルらしく貢献します。

計画を起点とした活動では重要な事実を⾒落としてしまうおそれがあると考え、当社グループでは⼀般的なPDCAではなく、CAPDを改善サイクルとしています。

マテリアリティ特定の背景と考え方

当社グループのマテリアリティは、大きく2つのカテゴリで構成されています。
「グループの成長と価値共創に向けたマテリアリティ」では、サステナブル経営方針における製品(Product)・製造プロセス(Process)・働く人(People)の観点から、SDGsに代表される社会課題の解決に対し当社グループの強みを生かして積極的に価値創造していく分野を明示しています。
「グループの存立とガバナンスの基盤に関わるマテリアリティ」では、価値創造の前提となる安全・品質・コンプライアンスといった最重要基盤をE(環境)、S(社会)、G(ガバナンス)の分野ごとに取り上げました。

マテリアリティ特定プロセス

マテリアリティ特定プロセスフロー図

ステップ1社会課題の抽出

社会課題の抽出にあたり、国際的なガイドライン、SDGs、国連グローバル・コンパクト原則、業界団体ガイドラインを参照し、ダイセルグループが取り組むべき課題を抽出しました。

ステップ2優先順位付け

ステップ1で抽出した項目において、「ステークホルダーにとっての重要度」と「ダイセルグループにとっての重要度」の2軸で以下を考慮して評価を行い、優先順位が高い重要テーマを特定しました。さらにそれらについて「グループの成長と価値共創」「存立とガバナンスの基盤」の2つのカテゴリで整理しました。

  • 長期ビジョンと中期戦略との整合性
  • サステナブル経営方針・ダイセルグループ行動指針・ダイセルグループ倫理規範ほか関連方針との整合性
  • 関連部門からの意見集約

マテリアリティマップ

マテリアリティマップ

ステップ3妥当性確認

サステナブル経営推進室および関連部門において、ステップ1・2で特定した重要テーマの妥当性について検討を行った後、最高責任者(社長など)を含む取締役会および経営会議で報告し、了承されました。

ステップ4マテリアリティ・KPI策定

ステップ1~3を通じて、15項目のマテリアリティを特定し、それぞれの項目に対してKPI(重要業績評価指標)および目標を設定しました。マテリアリティやKPI・目標は今後の社会・事業の変化に応じて、適宜見直しを行います。

マテリアリティのモニタリング

特定されたマテリアリティについては、設定されたKPI・目標とともに定期的なサステナブル経営委員会における評価や取締役会での監督により、進捗状況のモニタリングを行っています。

マテリアリティとKPI

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マテリアリティのKPIと実績一覧(ダイセルレポート2023 P.48-49)[PDF:187KB]

ダイセルグループの成長と価値共創に向けたマテリアリティ

分類 マテリアリティ 内容 KPI 目標 2022年度実績 貢献するSDGs
社会と人々の幸せ
Sustainable Product
健康への貢献
  • 医薬医療市場へのソリューション提供
  • 当社キラルカラムの医薬品分析法への採用件数※1
  • 2025年度:95件(累計)
  • 88件(累計)
  • 3 すべての人に健康と福祉を
  • サステナブル素材の化粧品原料、健康食品の提供
  • 機能性食品素材の年間延べ提供人数
  • 2025年度:223万名(2020年度実績2倍)
  • 142万名
スマート社会へのソリューションの提供
  • 半導体プロセス用溶剤、レジストポリマーの提供
  • ディスプレイの高機能化に貢献する機能フィルムの提供
  • 先端半導体製造プロセスに不可欠な安全性の高い高沸点溶剤の新商品率※2
  • 2025年度:23.9%
  • 3.2%
  • 8 働きがいも経済成長も
  • 9 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 11 住み続けられるまちづくりを
安全・安心を社会へ提供
  • モビリティの安全・安心を守る製品の提供
  • 自動車一台当たりの当社安全装置の平均搭載個数※3
  • 多様化する小型モビリティ※4や家庭内事故※5を防ぐ新安全デバイス上市数
  • 2025年度:3個/台
  • 2025年度:新安全デバイス提案
    2030年度:2件
  • 2個/台
  • 新事業企画検討中 2件
  • 3 すべての人に健康と福祉を
  • 11 住み続けられるまちづくりを
環境に貢献する素材や技術の提供
  • 環境対応プラスチックなど
    環境負荷を低減する素材や技術の提供
  • 製品に含まれる循環型原料※6の使用率
  • 環境対応型(高生分解性等)酢酸セルロースの生産量
  • 2030年度:30%以上
  • 15.9%
  • 6 安全な水とトイレを世界中に
  • 7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに
  • 9 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 12 つくる責任つかう責任
  • 14 海の豊かさを守ろう
  • 2025年度:10,000~20,000トン/年
  • 7,993トン/年
幸せを提供する環境
Sustainable Process
循環型社会構築への貢献
  • バイオマスバリューチェーン構築
  • 廃棄物やCO2の再利用
  • 天然素材を利用した資源循環システムの対外的な提案数
  • 2025年度:3件
  • 研究・開発中
  • 9 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 12 つくる責任つかう責任
  • 13 気候変動に具体的な対策を
  • 14 海の豊かさを守ろう
  • 15 陸の豊かさも守ろう
気候変動への対応
  • 生産革新、エネルギー革新、
    プロセス革新による、GHG排出量削減
  • 当社グループのGHG排出量削減率※7
  • スコープ1、2
    2030年度:50%削減(2018年度比)
  • 1%増加
  • 7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに
  • 13 気候変動に具体的な対策を
働く人の幸せ
Sustainable People
ダイバーシティ&インクルージョンの推進
  • 性別、年齢、国籍、障がいの有無に関わらず誰もがイキイキ働く職場の実現
  • 女性管理職比率※8
  • 2025年度:10%以上
  • 4.9%
  • 5 ジェンダー平等を実現しよう
  • 8 働きがいも経済成長も
  • 障がい者3年超在籍率※8(1-入社後3年以内に離職した障がい者数/在籍障がい者数)×100
  • 95%以上を継続
  • 96.0%
人の成長のサポート
  • 専門性を磨く人財育成
  • 挑戦する人を後押しする仕組み作り
  • 公平性が高い評価システム構築
  • 人財育成に関する取り組み状況、人事制度見直し状況、キャリアセミナーや部門長向けマネジメント研修の導入・見直し状況※8
  • 実績を開示
  • 社員のキャリア自律を支援する体制強化
    • 50代向けキャリア研修に加え40代向けの研修を追加し、年代別キャリア研修を拡大
    • 人事担当部門にキャリア支援室を設置し、社員のキャリアアップを支援
  • デジタルリテラシー教育に業務マネジメントコース(データ活用の課題設定、投資提案から業務への適用までの企画を実践するコース)を追加
  • 4 質の高い共育をみんなに
  • 10 人や国の不平等をなくそう

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ダイセルグループの存立とガバナンスの基盤に関わるマテリアリティ

分類 マテリアリティ 内容 KPI 目標 2022年度実績 貢献するSDGs
環境
Environment
環境負荷の低減
  • 廃棄物削減とリサイクルの促進
  • 当社事業場および国内グループ企業の産業廃棄物の再資源化率
  • 2025年度:99%以上
  • 98.4%
  • 3 すべての人に健康と福祉を
  • 12 つくる責任つかう責任
  • 14 海の豊かさを守ろう
  • 15 陸の豊かさも守ろう
社会
Social
保安防災
労働安全衛生
  • 保安事故撲滅
  • クライシスアセスメントによる被害の極小化
  • 重大労災件数※8
  • 重大保安事故件数※8
  • 過去トラブル(労災、保安防災)に基づいた安全教育実施率※8
  • ゼロ件を継続
  • ゼロ件を継続
  • 100%を継続
  • ゼロ件
  • ゼロ件
  • 100%
  • 8 働きがいも経済成長も
化学品安全品質の向上
  • 品質マネジメントの強化による品質不具合の再発防止
  • 化学物質情報の一元管理と情報の提供
  • RC関連法規の監査実施率※8
  • 顧客苦情への24時間以内の1次回答率※8,9
  • 2025年度:100%
  • 2025年度:100%
  • 41%
  • 88%
  • 12 つくる責任つかう責任
人権の尊重
  • 人権デュー・ディリジェンスの構築と実施
  • 人権侵害の是正・救済の仕組みの構築や教育
  • ダイセルグループ、サプライチェーン全体における人権尊重への取り組み状況(デュー・ディリジェンスの実施状況)
  • 実績を開示
  • 当社グループ企業における人権デュー・ディリジェンス2019年度~2022年度の実施率:63.2%
    国内グループ企業18社/19社、海外グループ企業 18社/38社実施※10
  • サプライヤーへの人権デュー・ディリジェンス実施について計画立案、実施
  • 8 働きがいも経済成長も
  • 10 人や国の不平等をなくそう
  • 16 平和と校正をすべての人に
働きやすい企業文化の醸成
  • 労働時間短縮と有給休暇取得率向上
  • 社員の健康促進
  • 柔軟な働き方への支援
  • 連続休暇取得率※8(年一回5日連続休暇)
  • 2025年度:100%
  • 56.3%(3日連続で年次有給休暇を取得した社員の割合。土日祝と合わせて5連続休暇として算出)
  • ベビーシッター補助制度を拡充し、子育て中の社員が安心して働けるよう支援
  • 育児休業の給付金などを分かりやすく説明した「育児休業とらのまき」を対象社員と上司に配布
  • 健康経営専任組織として「グループ健康サポートセンター」を設置し、社員一人ひとりのココロ・カラダの健康づくりを全社、事業場別、職場別、個人別の4階層で推進
  • スポーツイベントの開催等、社員に加え家族、取引先、地域住民も含め、一人ひとりが心身共に健康であることを目指した健康経営を推進
  • 8 働きがいも経済成長も
  • 社員の健康促進に関する取り組み状況※8
  • 実績を開示
責任ある調達
  • サプライチェーン全体のCSRレベル向上
  • 持続可能な調達率
    (SAQの結果、当社基準点を満たす原燃料サプライヤーの割合)
  • 2023年度:100%
  • 79%
  • 17 パートナーシップで目標を達成しよう
ガバナンス
Governance
グループ・ガバナンスコンプライアンスの基盤強化
  • コーポレート・ガバナンス強化
  • コンプライアンス徹底
  • リスク管理強化
  • 取締役会による監督機能強化の取り組み状況
  • 経営判断を要する重要性の高い案件に対し、法的視点よりチェック、対応がなされている率
  • ヘルプライン通報件数
  • コンプライアンス違反を発見した際に迷うことなくヘルプラインに通報できると思われる役職員の比率※11
    (=ヘルプライン通報訓練を経験した社員の比率)
  • 実績を開示
  • 100%を継続
  • 実績を開示
  • 2025年度:100%
  • 取締役会実効性評価について、取締役会での議論に基づき、第三者機関が関与する方式での評価を実施
  • 取締役会議事の傍聴、取締役会メンバーへのアンケート作成への関与、インタビューへの同席などを通じ、客観的な視点で複数の課題・改善点を指摘
  • 100%
  • 76件
  • 10.1%
  • 16 平和と校正をすべての人に
  1. ※1対象:日本、米国、欧州の薬局方
  2. ※2安全性の高い高沸点溶剤:MMPGACなどの溶解性が高く、低毒性の電子材料用溶剤
  3. ※3対象:日系自動車メーカー向け製品
  4. ※4自転車やシニアカー、電動キックスケータ―など
  5. ※5屋内での入浴時の溺水、乳児の窒息、転倒・転落など
  6. ※6循環型原料:バイオマス原料、大気中のCO₂の利用、廃棄物の再使用
    リサイクル 対象:ダイセル、ポリプラスチックス、ダイセルミライズの主要樹脂材料
  7. ※72050年カーボンニュートラル実現(スコープ1、2、3)
  8. ※8対象範囲:当社
  9. ※9対象範囲:株式会社ダイセル 国内製造拠点
  10. ※10 M&A、事業再編により対象企業数の増減あり
  11. ※11 当社および国内グループ企業