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株主・投資家の皆様には平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

ダイセルグループは、創業時からの思想を受け継ぎ、基本理念に「価値共創によって人々を幸せにする会社」を掲げ、お客様やパートナーと共に持続可能な社会づくりに取り組んでいます。

2025年3月期の世界経済は、景気の緩やかな持ち直しの動きが続いたものの、中国経済の成長鈍化、ウクライナ・中東情勢、物価上昇などの影響に加え、米国の関税政策の影響が懸念されるなど、先行き不透明な状況で推移しました。そのような環境の中、当社グループの業績は、日系自動車メーカーの認証不正問題の影響を受けたものの、主要市場である自動車関連市場や電子関連市場の需要の回復傾向がみられたことによる販売数量の増加や為替の影響等により増収となりました。利益面では、一酸化炭素(CO)プラントのトラブル影響や減価償却費の増加、事業構造改革に伴う損失の計上等により、減益となりましたが、EBITDAは増加いたしました。

株主還元につきましては、「DOE4%以上」かつ「総還元性向40%以上」を掲げ安定的な株主還元を維持しております。中間期の発表通り、当期の期末配当を1株当たり30円とし、年間配当は、前期から10円増配の1株当たり60円としました。また、約150億円の自己株式の取得も実施し、この結果、当期の株主還元性向は、63.1%となりました。なお、2025年5月に1,000万株の自己株式の消却も実施しております。

2026年3月期においては、需要増加の機会を捉えた各事業での拡販や、成長牽引事業であるエンジニアリングプラスチックの増産効果等により販売数量を伸長させ、増収を計画しています。営業利益は、COプラントトラブルが解消するものの、減価償却費や定期修繕費用の増加、為替の影響などにより減益の見通しですが、前期の事業構造改革等の特別損失の減少や政策保有株式の売却継続などにより最終利益の増益、EPSの増加を見込んでいます。

当社グループは、2030年の長期ビジョンの実現に向け、具体的な施策や考え方を「中期戦略 Accelerate 2025」に示し、市場環境が急激に変化する中で積極的な「事業構造の転換」を推進してまいりました。現中期戦略では、不採算事業からの撤退、またポリプラスチックスの完全子会社化やセイフティ事業拠点の統廃合といったグループの再編などを行い、収益体質の強化に努めるとともに、主力製品である酢酸セルロースの製法転換や用途開発、将来の革新的なプロセス技術となるマイクロ流体デバイスやナノダイヤ触媒の研究など、次世代技術や事業に繋がる様々な種をまいてきました。長期ビジョン実現に向けた後半戦となる次期中期戦略は、これらまいた種を育て、成果を刈り取っていく5年間となります。さらに、中長期にわたる研究テーマにおいては、出口戦略を明確化し、確実に数字に結びつく成果を出していく方針です。そして、成長牽引事業の増産効果によるトップラインの伸長と収益性の向上を図るととともに、資本効率を追求するなど、「選択と集中」を意識したメリハリのある経営を進めることで、株主および投資家の皆様にとって、安定した成長を期待していただけるよう、企業価値向上に努めてまいります。

ステークホルダーの皆様におかれましては、より一層のご理解、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。

2025年6月

代表取締役社長 榊康裕

代表取締役社長
代表取締役社長 榊康裕