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株主・投資家の皆様には平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

2024年3月期の業績は、電子デバイス市場の需要低迷の影響を受けたものの、フィルター用アセテート・トウの供給能力の拡大と価格是正、セイフティ事業でのエアバッグ用インフレータの販売数量の増加、為替の影響などにより増収となりました。営業利益についても、売上高の増加要因や原燃料価格の低下、コストダウンの積み増しなどにより、増益となりまいた。

株主還元につきましては、中間期の発表通り、当期の期末配当を1株当たり25円とし、年間配当は、中間配当の25円と合わせ、前期から12円増配の1株当たり50円としました。また、2023年11月から2024年3月にかけて、約1,014万株、約150億円の自己株式の取得を実施し、この結果、当期の株主還元性向は、52.0%となりました。

なお、2025年3月期から株主還元方針を変更し、安定的な配当を行う姿勢を明確にするため、株主還元性向に加えて、DOE(株主資本配当率)を新たな指標として導入することといたしました。配当について、DOE4%以上を目標とするとともに、引き続き配当と機動的な自己株式取得を合わせた各年度の株主還元性向40%以上を目標といたします。

2025年3月期の業績予想につきましては、下期に見込まれる電子材料分野の需要回復を確実に捉えた拡販を行うとともに、エンジニアリングプラスチック事業において新たに稼働するプラントの増産効果で販売数量を伸ばします。また、セイフティ事業のインドでの増産や、さらなる構造改革の推進にも取り組み、グループ全体で増収増益を目指します。

当社グループでは、中期戦略「Accelerate 2025」を通して、長期ビジョンに掲げている循環型社会の実現に向けた戦略遂行に取り組んでおります。中期戦略の前半では、不採算事業の撤退や生産地統廃合、JVの見直しなど構造改革に注力してきました。そして、これまでの個別戦略の進捗状況や策定当初からの環境変化を踏まえ、2023年度に中期戦略のアップデートを行いました。その達成に向け今年度は、「安全・品質・コンプライアンス」を企業経営の最重要基盤として強化するとともに、これらをモニタリングし、従来の安全・品質・納期/量・コストだけでなく環境/マテリアリティを担保する安心最適なモノづくりセンター「バーチャルバリューチェーンコントロールセンター(VVCC)」を網干工場に設置します。また、新事業を早期に収益化する短期テーマと、革新的共通技術基盤技術の着実な確立により新たに当社の収益基盤となる中長期テーマに分け、短期テーマについては、従来の兼任から専任に切り替えたタスクフォースにより早期収益化、中長期テーマについては、収益基盤確立に特化したタスクフォースにより将来の成長分野を開拓していきます。財務戦略では、バランスシートコントロールやキャッシュアロケーションを意識した経営で、機動的にキャッシュアロケーションも見直し、収益力とともに資本効率を高め、さらなる企業価値向上に取り組んでいきます。

これからも当社グループは、モノづくり技術の絶え間ないイノベーションと価値ある製品の提供による企業業績の向上を図るとともに、さまざまな企業・団体との新しい共創の仕組みを構築することで、単独では実現できない循環型社会の構築、エコロジーとエコノミーの両立に貢献していきます。

株主・投資家の皆様におかれましては、今後ともより一層のご指導、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。

2024年6月

代表取締役社長 小河義美

代表取締役社長
代表取締役社長 小河義美