トップメッセージ

代表取締役社長 榊康裕

株主・投資家の皆様には、平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

ダイセルグループは、創業以来100年以上にわたり、共存共栄の精神のもと徹底したモノづくりを追求し、お客様やパートナーの皆様とともに成長してまいりました。今後は次の100年に向け、長期ビジョンとして掲げる「循環型社会構築への貢献」を軸に、志を共にするパートナーとともに、挑戦と変革を力強く推進してまいります。

当社グループは、この長期ビジョンの実現に向けた第一段階として、2025年度を最終年度とする前中期戦略に取り組んでまいりました。前中期戦略期間においては、ポートフォリオマネジメントによる事業の「選択と集中」を進め、将来の成長に向けた基盤づくりを推進しました。特に、エンジニアリングプラスチック事業やセイフティ事業といった成長牽引事業では積極的な能力増強を行うとともに、ポリプラスチックス社の経営統合や不採算事業の譲渡・撤退などを行い、スピード感のある事業構造改革を実行してきました。

一方で、前中期戦略期間においては対処すべき課題が顕在化し、これらに対しては着実に対応を進めております。中でも一酸化炭素プラントのトラブルについては、徹底した再発防止策を講じ、2026年度中に安定運転に向けた基盤強化を完了させます。また、COCプラントについては、需要動向を踏まえ計画を精緻化し、2030年に向けた需要拡大を見据え、安全かつ安定的な立ち上げを実現します。

2026年度からは、これらの課題に一定の目途を付け、ダイセルグループはこれまでの取り組みを収益成長につなげるフェーズへと移行しています。2026年5月に発表した新中期戦略「Accelerate 2030」では、これまでに培った経営基盤を礎に、収益力の一層の強化と成長領域の拡大を図ります。成長牽引事業と位置付けるエンジニアリングプラスチック事業およびセイフティ事業においては、グループの成長を支える中核としてこれまでの投資の成果を確実に収益成長へとつなげていきます。また、次世代育成事業であるスマート事業、ライフサイエンス事業においては、将来の収益拡大を見据えた事業展開を加速し、成長牽引事業への移行を目指します。加えて、資本効率の最大化に向け、棚卸資産回転日数の大幅な削減など、スーパーアセットライト化を推進していきます。また、環境負荷低減と生産性競争力を高め、エコロジーとエコノミーが両立したモノづくりを実現します。

ダイセルならではの強みは、「モノづくりを抜本的に革新する力」にあります。熟練オペレータのノウハウを可視化し、運転支援システムに落とし込む「ダイセル式生産革新」に加え、AIを活用した「自律型生産システム」を開発し、実装してきました。また、従来の大規模な化学プラントを省エネルギーなデスクトップサイズで再現する「マイクロ流体デバイス」の社会実装にも取り組んでいます。これらの技術は、従来の重厚長大・エネルギー多消費生産の化学プラントの在り方そのものに革新をもたらし、化学産業の新たな標準を確立し得るものです。さらに、ナノダイヤモンドによりCOをCOに還元して原料化する「太陽光超還元®」は、実用化に向けて大きく前進しています。加えて、日本の森林を再生可能資源として循環させる「バイオマスバリューチェーン構想」といった夢を実現するアイテムにも挑戦し、持続可能な社会への貢献を実現していきます。

これらの技術の社会実装に加え、当社グループのさらなる成長に向けては、長期ビジョンで掲げたOP-Ⅲ(新企業集団)の実現が必要不可欠であると考えています。これは、サプライチェーンにおける垂直連携に加え、同業他社などとの水平連携も視野に入れ、新たな価値を共に創造できる集団の形成を目指すものです。ダイセルの強みと外部の強みを掛け合わせ、単独では生み出すことができなかった価値を創出し、持続的な企業価値の向上につなげます。また、これらの取り組みを支える基盤が、当社グループが長年大切にしてきた「人間中心の経営」であり、その根底には「価値共創によって人々を幸せにする会社」という基本理念があります。社員一人ひとりの挑戦と成長こそが価値創出の原動力であり、その力を最大限引き出すことで変革を加速してまいります。

当社グループは、株価と資本効率を意識した経営を一段と強化し、株主の皆様への還元のさらなる充実へとつなげてまいります。新中期戦略においては「DOE 5%以上」かつ「総還元性向 60%以上」を基本方針として掲げ、安定かつ継続的な累進配当の実現を目指します。

今後とも、ステークホルダーの皆様のご期待に応え、持続的な企業価値向上に努めてまいります。引き続き、より一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

2026年6月

代表取締役社長

榊康裕