サステナビリティ / 社会性報告 顧客への責任と製品安全 物流安全

基本的な考え方

当社グループは、グループ企業であるダイセル物流株式会社(以下、ダイセル物流)と共に、物流の「安全」と「品質」の確保に取り組みます。
安全については「ダイセルグループ レスポンシブル・ケア基本方針」に則り「物流災害ゼロ」「労働災害ゼロ」「交通加害事故ゼロ」を目標に掲げています。また、品質については「ダイセルグループ品質方針」に則り「物流元請け会社として物流クレームや事故に対し速やかに誠実に対応し、納入先および荷主のCS(顧客満足)を得る」を方針に掲げ、それぞれ実現に向けて取り組みます。

推進体制

当社グループの物流業務は、大部分をダイセル物流が担っています。このため物流の「安全」と「品質」確保の取り組みは、ダイセル物流を中心に推進しています。
ダイセル物流では、ISO9001に基づく品質マネジメントシステムを構築・運用し、CAPDサイクルを回しています。荷主となる当社グループは、レスポンシブル・ケア活動の一環として、その取り組み状況を確認するとともに、ダイセル物流と共に課題解決にあたっています。

計画を起点とした活動では重要な事実を⾒落としてしまうおそれがあると考え、当社グループでは⼀般的なPDCAではなく、CAPDを改善サイクルとしています。

ダイセル物流 品質ポリシー

安全輸送・物流の品質管理

製品の安全な輸送

ダイセル物流では「物流災害※1ゼロ」「労働災害ゼロ」「交通加害事故ゼロ」を安全目標に掲げ、安全輸送の推進に取り組んでいます。拠点となる各物流センターも、それぞれ年間の物流安全管理目標を掲げています。各センター長や部門長で構成される安全品質委員会では、毎月、目標に対する取り組みの進捗を確認し、状況に応じて目標を見直すなど改善を図っています。
2022年度は、物流災害ゼロを達成しましたが、労働災害3件、漏洩トラブル2件および交通加害事故3件が発生しました。発生した災害については、原因を究明の上、再発防止策をソフト、ハード両面より講じています。

基本となる取り組み

  1. 1作業体制や作業手順の不備に対する是正措置
  2. 2事例とその対策の共有(安全品質委員会)
  3. 3ベテラン従業員を講師とした共育カリキュラムの充実(安全品質共育センター)
    • 過去事例に基づく労働災害の再発防止教育と荷役作業講習
    • 漏洩トラブル発生を想定した体感型実技訓練
    • 過去事例に基づく交通加害事故の原因と運転時の危険ポイントの教育
  4. 4SDS※2、GHS※3ラベルに記載されている化学物質の危険有害性に関する教育
  • ※1危険品(危険物・毒劇物・高圧ガス・環境汚染物質・可燃物質)の火災・爆発・漏洩・流出・紛失などの災害(状況の規定あり)
  • ※2Safety Data Sheetの略で、化学物質の性状や安全性、取り扱いに関する情報を提供する資料
  • ※3Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicalsの略で、化学品の危険有害性ごとに分類基準およびラベルや安全データシートの内容を調和させ、世界的に統一されたルール

ダイセル物流 安全目標
物流災害ゼロ・労働災害ゼロ・交通加害事故ゼロ

2022年度実績

  • 物流災害 0件(2021年度同件数)
  • 労働災害 3件(対2021年度2件増)
  • 交通加害事故 3件(対2021年度2件増)

安全に対する意識・行動の定着を図るために

物流災害・労働災害・交通加害事故の防止に向けた取り組みを継続実施し、安全に対する意識・行動の定着を図っています。

主な取り組み
物流災害防止

運輸安全マネジメントに基づく安全教育を各センターで実施(月1回)

  1. 事業用自動車を運転する場合の心構え
  2. 事業用自動車の運行の安全を確保するために遵守すべき基本的事項
  3. 事業用自動車の構造上の特性
  4. 貨物の正しい積載方法
  5. 過積載の危険性
  6. 危険物を運搬する場合に留意すべき事項
  7. 適切な運行の経路および当該経路における道路および交通の状況
  8. 危険の予測および回避ならびに緊急時における対応方法
  9. 運転者の運転適性に応じた安全運転
  10. 交通事故に関わる運転者の生理的および心理的要因ならびにこれらへの対処方法
  11. 健康管理の重要性
  12. 安全性の向上を図るための装備を備える事業用自動車の適切な運転方法
労働災害防止

安全輸送のため健康管理を実施(毎日)

  1. 運行前の血圧・体温測定
  2. 点呼
  3. ダイセル物流独自のコロナ禍対策
加害事故防止 実際の運行を記録したドライブレコーダー映像をもとに、各センターの運行管理者がドライバーに教育指導を実施(都度)

危険物の輸送・保管の安全を図るために

ダイセル物流は危険物輸送のほか、普通品(指定可燃物・毒劇物)、常温危険物(第4類・第5類・毒劇物)および定温(低温)(第4類、毒劇物)の保管業務も行っています。危険物の輸送・保管については、消防法の遵守はもちろん、国際連合危険物輸送勧告(オレンジブック)※1に則った体制を構築しているほか、独自の安全対策も重ね、事故防止に入念に取り組んでいます。

主な取り組み

  • 危険物の輸送、荷積み・荷下ろしに関する作業手順書およびチェックリストの作成・活用
  • 危険物充填時は、表示(ラベル表示・置き場表示など)、保管、取り扱いに関する作業手順の遵守
  • 危険物輸送時のイエローカード※2必携
  • 安全会議などでの危険物の物性教育(月1回程度)
  • 安全品質共育センターでの技能職と運転職を対象とした研修(年15回程度)
  • 協力会社※320社を対象とした、危険物の輸送・荷積み・荷下ろしなどに関する物流安全教育(1社に対して1回/年)
  • 協力会社に対する物流安全監査
  • 輸送機器の法定検査の他、ダイセル物流独自の点検およびメンテナンスの計画保全プログラム作成
  1. ※1国連が火薬・ガス・液体・固体などの危険物輸送に関する各国および国際規則に統一性を持たせるために策定し、2年ごとに改訂されている勧告
  2. ※2万一の事故に備え、ドライバーや消防・警察などが取るべき処置を記載した緊急連絡カード
  3. ※3ダイセル物流が物流関係の各種業務を委託している当社グループ外の企業

物流災害発生時の対応

ダイセル物流の「緊急時措置規程」に基づき、緊急時対応・連絡網などを定めています。また、ダイセル物流内で年3回以上、緊急通報訓練を実施し、緊急時の対応に備えています。

物流品質の管理

ダイセル物流では「物流元請け会社として物流クレームや事故に対し速やかに誠実に対応し、納入先および荷主のCS(顧客満足)を得る」ことを方針に掲げ、徹底した物流品質の管理を推進しています。毎月開催される安全品質委員会で、物流トラブルの発生状況の確認や原因分析、対応策の有効性などを確認・協議し、物流トラブルゼロに取り組んでいます。
2022年度の物流トラブル件数は、2016年度の基準年に対しては約25%の減少でしたが、2021年度より約9%増加しました。
トラブルのほとんどは過去事例の再発であったことから、再発防止策を見直すとともに、教育と周知徹底を図りました。

物流トラブル発生件数の推移

物流トラブル発生件数の推移グラフ

物流災害、クレーム、誤出荷・誤納入、異物混入、労災事故、交通事故、構内事故の総称

「ホワイト物流」推進活動

当社は、国土交通省、経済産業省、農林水産省が提唱する「ホワイト物流」推進運動に賛同し、ダイセル物流とともに自主行動宣言を「ホワイト物流」推進運動事務局に提出しました。

ダイセルの自主行動宣言

  1. 1物流の改善提案と努力:取引先や物流事業者の改善提案や協力の要請に、真摯に協議・対応いたします。
  2. 2パレット等の活用:パレットやカゴ台車、通い箱などを活用し、荷役時間の削減に努めます。
  3. 3幹線輸送部分と集荷配送部分の分離:物流事業者からの幹線輸送部分と集荷配送部分の分離に関する相談に、真摯に協議・対応いたします。
  4. 4荷主側の施設面の改善:倉庫の集約など、物流施設の改善を行い、荷待ち時間や荷役時間を短縮します。
  5. 5高速道路の利用:高速道路の利用や料金負担に関する物流事業者の相談に対し、真摯に協議・対応いたします。
  6. 6船舶や鉄道へのモーダルシフト:長距離輸送は、トラックからフェリーや鉄道への転換を行います。
  7. 7契約の相手方を選定する際の法令遵守状況の考慮:関係法令を遵守している物流事業者を選定いたします。
  8. 8荷役作業時の安全対策:安全な作業手順の明示、安全通路の確保、足場の設置等の対策を講じ、労働災害の撲滅に努めます。
  9. 9異常気象時等の運行の中止・中断等:台風等の異常気象に対して、無理な運送依頼を行いません。

「ホワイト物流」推進運動とは、国土交通省、経済産業省、農林水産省が中心となって進めている「自動車運送事業の働き方改革の実現に向けた政府行動計画」の重点施策です。深刻化するトラック運転者不足に対応し、国民生活や産業活動に必要な物流の安定的な確保と、経済成長に貢献することを目的に、荷主企業と物流事業者などが連携して改善に取り組む運動です。
取り組むポイントは、トラック輸送の生産性向上、物流の効率化、また女性や60代以上の運転者などにも働きやすい労働環境の実現です。CO2排出量削減をはじめ、多方面への効果が期待されますが、当社グループでは、主に社員の労働環境を整備する目的で運用しています。

物流における環境負荷低減

ダイセル物流では、省エネルギーと環境負荷の低減のために、2007年度より輸出入品の主要港と工場間の物流を、陸上輸送から海上輸送にモーダルシフト※1するとともに、コンテナのラウンドユース※2も積極的に推進してきました。
これらの取り組みが評価され、2014年には公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会から「ロジスティクス大賞・環境貢献賞」を受賞しました。

  • ※1トラックによる貨物輸送を、環境負荷が少ない船舶などの海運、または鉄道輸送に転換すること
  • ※2輸入時に使用したコンテナを、輸出時に再利用すること

気候変動への対応

安全品質共育センターにおける技能研修

お客さまから信頼される物流安全と品質を目指して、2011年よりダイセル物流の関西物流センター尼崎営業所内に「ダイセル物流・安全品質共育センター」を開設しました。同センターでは独自のカリキュラムの下、タンクローリー乗務員や構内荷役作業者を対象とした技能研修を実施しています。
2022年度は、コロナ禍の中、感染防止対策を徹底しながら、新人ドライバーを対象に「新規輸送事業研修」や、過去トラブルに基づいた教育、積込・荷下ろし・輸送を想定した実技テストなどを実施しました。また、荷役作業者を対象にフォークリフト技能講習として、座学をオンラインで、実技を少人数によるグループ研修で実施しました。これらの「共育」は、ベテラン従業員を講師とすることで、若手従業員への技術伝承の場ともしています。
技能研修は毎年10回程度実施していますが、2022年度は新型コロナ対策の観点から1回当たりの受講者を少人数とし、開催頻度を29回に増やし実施しました。2022年度末までに、延べ1,362名が受講しました。

技能研修
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技能研修
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ダイセル物流安全品質共育センター