サステナビリティ / 社会性報告 顧客への責任と製品安全品質の向上

当社グループは「ダイセルグループ品質方針」に基づき、品質の確保・向上に取り組んでいます。

ダイセルグループ品質方針

ダイセルグループは、社員ひとりひとりが⼀丸となって、安心と安全をお約束出来る製品やサービスをお届けすることを使命とし、信頼できるモノづくりを実践します。

そのために、

  • 常にお客様の声に耳を傾け、信頼と満足をお届けします。
  • 求められる品質は何か、常に考え、その実現を追求し続けます。
  • 法令、及び必要な規制要求事項を遵守します。
  • 常にお客様⽬線で物事を⾒つめ、⾃ら⾏動します。

2016年4月6日制定

ダイセルミライズ株式会社の不適切行為についての対応

2022年2月に、当社グループ会社のダイセルミライズ株式会社が販売する樹脂製品の一部において、米国の第三者安全科学機関であるUnderwriters Laboratories Limited Liability Company(以下、UL)の認証に関し、不適切な行為(以下、「本件不適切行為」)が判明しました。これを受け、当社の独立社外監査役を委員長に、当社と利害関係を有しない社外の有識者で構成される調査委員会を設置しました。同委員会から、2022年12月に、本件不適切行為の事実関係と原因分析、当社グループでの類似案件の有無、および再発防止策の提言などからなる報告書を受領しました。本調査結果を当社グループで真摯かつ厳粛に受け止め、再発防止に取り組んでいます。
なお、再発防止策の提言を踏まえ、2023年4月1日付けで、安全・品質・コンプライアンスを最優先とする経営基盤強化のための組織変更を行いました。アセスメント本部の品質監査室およびレスポンシブル・ケア室を発展的に解消するとともに、新たに安全品質監査室を設置しました。安全品質監査室では、レスポンシブル・ケア監査を含む安全と品質に関する監査および教育を一元的に実施します。また、安全と品質を確かなものにする本部を新設し、同本部に品質保証センターを設置し、品質保証・品質管理に関する取り組みを統括・推進します。さらに、工場群の垣根を超えた全工場の連携強化を図ることを目的に、各プロダクションカンパニーを廃止し全工場へ「品質保証部」を設置しました。これにより、当社の国内全工場の基本機能として生産・安全環境・品質保証・生産技術・総務の各機能を配置し、コーポレートの各本部機能ならびに工場間の連携強化を進めています。

調査報告書(要旨)[PDF:350KB]

品質マネジメント体制

当社グループは、製造拠点ごとに工場長(経営者)をトップとした品質マネジメント体制を構築しています。拠点内の各部門や関連部門による品質保証委員会を重要な会議体として、関連するコーポレート部門も支援を行いながら、継続的改善に取り組んでいます。なお、品質目標や取り組みの進捗状況や、活動の有効性などについては、品質月報・品質白書・および監査報告書などを通じて、経営層に報告され、レビューされています。

品質マネジメント体制図

品質マネジメント体制図

認証取得状況

当社グループでは、お客様や市場の要求に応じて、ISO9001をはじめ、各種の認証を取得しています。

【認証の一例】

  • 自動車関連分野:IATF16949
  • 医療機器関連分野:ISO13485
  • 食品関連分野:ISO22000・FSSC22000

認証取得状況

品質確保に向けた主な取り組み

当社グループでは、品質確保のための取り組みとして、当社グループの技術や市場のニーズを基に製品の企画を立案し、設計・開発を進めています。
試作・量産初期のステージでは品質や安全性能に問題がないかレビューを行い、必要なアセスメントを経て量産のステージに進みます。生産工程においては原料から製品までのトレーサビリティを確保するとともに、加工後の製品は品質検査を経て、市場へ出荷します。

出荷する製品は、SDSの提供やラベルなどを通じて、製品の安全性や取り扱いに関する情報を提供しています。

また、上市後に製品の仕様変更や原材料・工程を変更する際には、お客さまからの品質要求事項、またお客さまとの取り交わしを踏まえた要因変更のリスクアセスメントを実施することで、変更に伴う品質の確保を行っています。

各工場では、内部監査や品質保証委員会を定期的に開催し、品質マネジメントの運用状況や適合性・有効性などを確認し、改善につなげています。年度はじめには顧客苦情件数や工程不良件数など、様々な指標を基に改善目標を設定し、年度末には工場トップと関係部門でこれらのレビューを行い、次年度のさらなる改善につなげています。
さらに、本社に設置されたアセスメント本部安全品質監査室は、これらの仕組みが当社グループの各事業場で適正に運用されていることを確認するとともに、当社グループの品質マネジメント力の強化を図るために監査を行い、その結果を受けて、各部門が継続的改善に取り組んでいます。

SDS:Safety Data Sheetの略で、化学物質の性状や安全性・取り扱いに関する情報を提供する資料です。

化学品安全

お客さまの声への対応

当社グループでは、お客さまからいただいた苦情や問い合わせに対して、各プロセスの工程不良や傾向異常を含めた一次調査を行い、速やかにフィードバックします。その上で、お客さまには必要に応じた代替品を提供し、社内ではトラブル原因の調査、是正・予防処置を行い、再発防止につなげています。
お客さまからの情報以外にも、製品検査や生産工程で品質不具合や変調が発見された際には、専用データベースを用いて、情報のミエル化と蓄積を行っています。
これらの情報は、品質保証委員会で議論および対策の妥当性を確認し、再発防止を含めたさらなる品質改善につなげています。

ダイセルグループの顧客苦情件数の推移

ダイセルグループの顧客苦情件数の推移
  • 顧客苦情件数について、2017年度を100とした場合の指標の推移
  • 対象範囲:(株)ダイセル、大日ケミカル(株)、ダイセルパイロテクニクス(株)、ダイセン・メンブレン・システムズ(株)、ダイセルミライズ(株)、ダイセルパックシステムズ(株)、ダイセル・オルネクス(株)、ダイセル網干産業(株)、DMノバフォーム(株)、ポリプラスチックス(株)(海外グループ企業を含む)、ポリプラ・エボニック(株)、Daicel Nanning Food Ingredients Co., Ltd.、Shanghai Daicel Polymers,Ltd.、Daicel Safety Systems Europe Sp.z o.o.、Daicel Safety Systems Americas, Inc.、Daicel Safety Systems (Jiangsu) Co.,Ltd.、Daicel Safety Technologies (Jiangsu) Co., Ltd.、Daicel Safety Systems Korea, Inc.、Daicel Safety Systems (Thailand) Co., Ltd.、Daicel Safety Technologies (Thailand) Co., Ltd.
  • 2021年9月以降の追加対象範囲:Chiral Technologies Europe S.A.S.、Chiral Technologies, Inc.、Daicel Chiral Technologies (China) Co.,Ltd.、Daicel Chiral Technologies (India) Pvt. Ltd.、Daicel Arbor Biosciences
  • 2022年4月以降の追加対象範囲:西安恵大化学工業有限公司、西安大安化学工業有限公司、寧波大安化学工業限公司
  • 2022年10月以降の追加対象範囲:ダイセルビヨンド(株)

顧客苦情への24時間以内の1次回答率

年度 2020 2021 2022
24時間以内1次回答率(%) 38 63 88
製造拠点における平均回答日数(日) 13.8 2.2 0.7
  • 対象範囲:当社国内製造拠点
  • 24時間以内1次回答率は、2025年度までに100%達成を目標としています

社内教育・研修

当社では、品質マネジメントシステムを運用する組織単位での教育に加え、コーポレート部門主催の研修を開催し、品質マネジメント・品質管理・内部監査員育成などに関する教育を実施しています。各階層や経験を考慮したプログラムを設定し、段階的なレベルアップに努めています。2022年度の教育・研修実績は、下表の通りです。

2022年度 社内教育・研修実績

研修主催組織 教育内容
品質マネジメント 品質管理 内部監査員育成
国内製造拠点 24 48 8
コーポレート部門 4 9 3
28 57 11

TOPICSIoT・AI(人工知能)を活用した画像解析システム

当社グループでは、お客さまの期待に応え、いっそうの安心と信頼の確保のために、最新技術を先取りした継続的品質強化に努めています。
一例として、株式会社日立製作所とパートナーシップを結び、自動車エアバッグ用インフレータ製造拠点の一つである播磨工場で、IoT・AI(人工知能)を活用した画像解析システムを2016年から導入・運用しています。
これまでの代表サンプルによる管理に対して、カメラ映像による製造現場の作業・設備・材料の連続点管理することで、画像による全数管理が可能になり、ロット単位での代表点管理から製品シリアル単位での全点管理へ移行したことで、製品の工程内保証率が格段に向上しています。また、蓄積された大量の画像データをAI解析し、具体的な作業改善や設備の最適条件設定など、作業効率化にもつなげています。
播磨工場に続き、グローバル展開として、中国・タイのインフレータ製造拠点への導入を順次進めており、2023年度中を目途に、海外全工場へシステムを展開導入していく予定です。将来はこれらを連携した情報統合システムの構築を進め、生産プロセスや品質管理、さらには経営情報管理までを含む形でグローバルレベルでの標準化を目指していきます。

画像解析システムの実用化

製品安全のリスク管理

当社グループは、医薬品・食品・化粧品・医療機器および自動車などの安全装置関係の製品について、お客さまに安全で安心な製品を提供するために、製品安全に関するリスクアセスメントの強化を図っています。また、製品安全に関わるリスクの特定や監視、クライシス時における対応措置に関するアセスメントである「製品クライシスアセスメント」、製品安全のリスク評価をより専門的な視点で評価するため、外部の有識者を議長とする「製品安全諮問会議」を実施しています。2022年度は、お客さまの身体・生命・財産に被害を与える重大な製品安全事故は発生しませんでした。
万が一、お客さまの身体・生命・財産に被害を与える重大な事故が発生した場合には、社内規則に基づいて社長が指名した者またはSBU長などを委員長とする製品事故対策委員会を設置し、お客さまの安全と安心を第一に初期調査・原因分析から対外対応・情報公開までを適正かつ迅速に実施します。

製品事故発生件数

年度 2017 2018 2019 2020 2021 2022
製品事故
発生件数
0 0 0 0 0 0
  • 対象範囲:当社国内製造拠点

重大な製品不具合が発生した場合の対応プロセス図

重大な製品不具合が発生した場合の対応プロセス図

環境、安全と健康の総合アセスメント制度