サステナビリティ / ガバナンス 企業倫理(コンプライアンス)

基本的な考え方

サステナブルな経営を行う上での基盤の一つが企業倫理(コンプライアンス)です。当社では、遵法に基づく企業倫理活動を強力に推進するために、1998年3月25日に「ダイセル化学工業行動憲章」を制定して以来、企業倫理に関する方針・規範を、社内方針などの変更や社会情勢の変化に合わせて改定してきました。
そして、当社役職員が常に意識し、個人の行動を律するための指針を示した「ダイセルグループ行動指針」と当社グループの役職員のみならずサプライチェーンの全領域における企業活動を対象に、会社として遵守すべき規範として「ダイセルグループ倫理規範」を2023年4月1日付で制定しました。
なお、2020年に制定した「サステナブル経営方針」をはじめ、当社グループで制定した方針類の関係性が理解しやすいように体系図を作成し、当社グループのモノづくりの基盤である、「安全」「品質」「コンプライアンス」の遵守を最優先の経営方針とすることを定め、社内のみならず社外にも周知・徹底しています。
当社グループでは、企業倫理を社員一人ひとりに浸透させることは経営上の重要な課題と考え、この「ダイセルグループ行動指針」「ダイセルグループ倫理規範」に基づき、当社の各部門・各グループ(以下、各組織)において企業倫理活動計画を毎年度策定し、当社グループ全体で価値観を共有し、企業倫理活動に取り組んでいきます。

企業倫理マネジメントシステム

当社グループは、企業倫理活動の推進にあたり「企業倫理マネジメント規程」を制定し、振り返り(Check)・⾒直し他(Act)・計画(Plan)・実施と運⽤(Do)という「CAPDサイクル」による「企業倫理マネジメントシステム」を構築し、活動の継続的改善・向上に努めています。

なお、当社グループは、企業倫理活動を特定の個⼈や組織を対象とした部分的な活動ではなく、当社グループで働く全ての社員による活動であると考えています。

計画を起点とした活動では重要な事実を⾒落としてしまうおそれがあると考え、当社では⼀般的なPDCAではなく、CAPDを改善サイクルとしています。

CAPDサイクルによる企業倫理マネジメントシステム

CAPDサイクルによる企業倫理マネジメントシステム

企業倫理活動の推進体制

当社は専務執行役員を担当役員とする企業倫理室を設置し、グループ全体を横断する企業倫理活動を推進しています。各組織では、それぞれのトップから任命された企業倫理活動推進員が核となって、企業倫理活動を主体的に実践しています。

各組織は年度末に、企業倫理活動状況および課題を企業倫理室に報告します。企業倫理室はこれらを取りまとめ、グループ全体のコンプライアンス遵守状況および課題を当社の経営層および常勤監査役、労働組合の代表も出席する企業倫理トップマネジメントレビューの場で報告するとともに、課題や次年度の⽬標について議論します。
議論の結果は取締役会に報告し、また重点⽬標は企業倫理室から各組織に展開され、これに沿った活動計画を策定しています。

企業倫理室は、企業倫理活動推進を目的に、年に一度、各組織のトップと直接対話しコンプライアンスに関する様々な意見や情報を交換しています。毎年決められた重点テーマのみならず、テーマ以外の様々な話題にも触れて、対話をしています。
また、各グループ企業に設置された独自通報窓口に届いたものも企業倫理室に報告され、それらを含めた全ての社内外からの通報案件について、対応状況とその結果を毎月経営トップおよび四半期ごとに取締役会へ報告しています。

各組織の活動状況をヒアリングする中で必要に応じて関係部門も参加し、活動に対するアドバイスを行っています。意見交換会およびその他の活動は内部監査の側面も有しており、全ての部門・グループ企業の活動状況の他コンプライアンス違反(競争者との関わり状況、公務員への接待や寄付内容などを含む)について確認を行っています。
これらにより、会社経営に大きな影響を与えるリスクの高い課題が確認された場合は、事実関係を確認後、速やかに担当役員および常勤監査役に報告し、対応を協議します。

また、経営上のリスクの早期把握と是正を目的に設置された「企業倫理ヘルプライン」と各グループ企業に設置された内部通報制度への報告・相談の概要と対応・結果を、毎月経営幹部に報告し、取締役会で定期的(約4回/年)に報告しています。

報告・相談制度(内部通報制度)

企業倫理活動推進体制図

企業倫理活動推進体制図

法令主管制度

当社では遵守すべき法令ごとに主管部⾨を定め、最新の法令情報管理を行う「法令主管制度」を設けています。法務グループなどのコーポレート部門を中心とした複数の部⾨が「法令主管部⾨」となり、法令改正やガイドラインなどの法令情報および教育資料を関連部⾨に提供し、法令遵守の徹底を図っています。これらの情報は、国内のグループ企業にも展開されます。なお、新たな法令が制定された場合には、一時的に法務グループが法令主管部門となり、内容などの確認後、適切な主管部門を定めています。

各種委員会での取り組み

当社では、輸出管理、個⼈情報保護などコンプライアンス上の課題に対しては、各規程に基づき委員会を設置し、コンプライアンスの維持・推進を図っています。

各種委員会(抜粋)

横にスクロールします。

委員会 規程 開催頻度 構成メンバー 目的
リスク管理委員会 リスク管理規程 1回/年 委員長:
専務執行役員
メンバー:
関連部門の代表者
当社グループ全体のリスク管理推進に関わる課題・対応策を協議・承認
情報開示委員会 情報開示規程 必要に応じて開催 委員長:
社長執行役員
副委員長:
専務執行役員
メンバー:
経営層およびその他関連部門長
情報開示の具体的内容・時期・方法などを審議し決定するとともに、危機管理上の観点から将来情報開示の可能性がある事項について審議
輸出管理委員会 安全保障輸出管理規程 1回/年 委員長:
専務執行役員
メンバー:
生産本部長
経営戦略本部副本部長
安全と品質を確かなものにする本部レスポンシブル・ケアセンター所長
企業倫理室長
法務グループリーダー
国際平和および安全の維持を目的とした、輸出管理関連法令上規制されている貨物や技術を不正に輸出または提供しないための社内管理体制の確立と社内徹底
個人情報保護委員会 個人情報保護規程 必要に応じて開催 委員長:
専務執行役員
メンバー:
企業倫理室長
人事グループリーダー
デジタル戦略推進センター長
IR広報グループリーダー
法務グループリーダー
総務・秘書グループリーダー
個人情報保護法などの法令に基づく、個人情報の適正な取り扱いの確保

公正な事業慣⾏

私たちは、「ダイセルグループ倫理規範」に「公正な取引」として各国の法令やルールを理解し、カルテルや談合など不正競争に該当する行為には関わらないことを掲げるとともに、2024年4月に「ダイセルグループ腐敗防止および競争法遵守の基本方針」[PDF:178KB]を定めました。当社グループで働く全ての社員はその内容と精神を遵守し、日々の活動を行っていきます。なお、2023年度は、反競争的行為・贈収賄や利益相反など腐敗に関する法令違反はなく、罰金や課徴金もありませんでした。

ESGデータ集p. 8 企業倫理(コンプライアンス)

競争法の遵守

当社グループは事業活動にあたり、「ダイセルグループ腐敗防止および競争法遵守の基本方針」 を定め、公正かつ⾃由な競争を維持するために、独占禁⽌法(私的独占の禁⽌及び公正取引の確保に関する法律)や下請法(下請代⾦⽀払遅延等防⽌法)をはじめ、各国の反競争的行為に関する法令やガイドラインを遵守しています。当社では独自に「独占禁⽌法遵守マニュアル」「⽶国独禁法実践ガイド『DOs & DONʼTs』」「EU競争法 実践ガイドライン」などを作成し、階層別集合研修やeラーニングを通じた意識浸透にも注力しています。また、海外に赴任する社員に対しては、現地法令の留意点などを含めた教育を実施しています。
国内グループ企業の役職員には上記eラーニングを受講させて反競争行為防止に関する教育を行い、海外グループ企業には英語の教育資料・確認テスト提供を実施し、各企業に適した方法で教育を行っています。

教育・研修プログラム

腐敗および贈収賄の防⽌

当社グループは国連グローバル・コンパクトに賛同し、贈収賄を含むあらゆる形態の腐敗防⽌に取り組んでいます。国内外を問わず、政治家・⾏政官(公務員など)・取引先様に対して、贈賄と誤解されるような⾏為を厳禁し、透明性の⾼い関係を構築しています。
腐敗行為に関するリスク評価は全ての組織に対して必要と考えておりますが、地域性を鑑みて優先順位を付けて実施しています。2024年度はまず日本以外の全グループ企業との意見交換会の中で、汚職と贈収賄防止のため統制手順(社内規定、支出承認の仕組みなど)についてヒアリングを行い、リスク評価を実施しました。その結果、大きな問題のある企業はありませんでした。
取引先様との相互の接待および贈答品の授受については、健全な商習慣や社会的常識の範囲内に留めることを「ダイセルグループ倫理規範」および「ダイセルグループ腐敗防止および競争法遵守の基本方針」 に定めており、これらを行う際には、部⾨⻑の承認を要する仕組みになっています。また、前述の基本方針の実効性を確保するため、当社では2025年4月に「接待・贈答等管理規程」を制定し、接待・贈答などに関してより詳細な記録を残し、その結果を定期的に監査することを明確に定めました。今後この規程をグループ企業に展開していく予定です。

さらに当社では階層別集合研修やeラーニングを通じた腐敗防止に関する教育を実施しており、海外に赴任する社員には、不正競争防⽌法における外国公務員贈賄防⽌、現地法令(米国の海外腐敗⾏為防⽌法の域外適応を含む)の留意点などを含めた教育を実施しています。国内グループ企業の役職員には上記eラーニングを受講させて反競争行為防止に関する教育を行い、海外グループ企業には英語の教育資料・確認テスト提供を実施し、各企業に適した方法で教育を行っています。
また、内部通報制度でも腐敗や競争法違反は通報の対象となっており、社外からの通報も含め、疑いのある事象は適切に調査・対応する仕組みを整えています。
なお、2024年度は、社内各監査部門による内部監査や監査法人による監査、および内部通報により把握できる範囲では、各組織において腐敗・贈賄に関わる重大なリスクは見つかっていません。

「国連グローバル・コンパクト」への賛同

情報管理

当社は「ダイセルグループ倫理規範」に「個人情報を含む、自社並びに第三者の機密情報を確実に保護するとともに、適切な情報セキュリティ体制を確立します」と定め、これらに則り、情報の適正かつ適切な管理を行っています。

知的財産の保護

当社グループでは、「ダイセルグループ倫理規範」「1-⑧ 知的財産の保護」に基づき、第三者が保有する知的財産権を尊重するとともに、会社が保有する知的財産権(特許権・実用新案権・商標権・意匠権など)が重要な資産であることを認識し、その保全・確保に努めています。

知的財産に関する取り組み

税務方針

当社グループは、国内外を問わず、法令、社会的規範および社内規程などの遵守はもとより、社会的良識のある活動、社会から信頼される活動に努めています。税務においても、移転価格設定をはじめとする国際的事業に伴う税務リスクに関して、⼗分に調査の上、適法かつ適正な納税を⾏います。

税務方針

2024年度の活動の総括

2024年度のダイセルグループ企業倫理活動重点⽬標を

  • 「Bad News First & Fast」の徹底(職場の問題点を早く表に出し、大きくなる前に手を打つ)
  • 全員で、「ミエル・イエル・キケル職場づくり」

としましたが、振り返ると以下のような分析ができます。

取り組みの成果は、下記の通り着実に表れています。

  • グループ全体における研修受講率の上昇
  • マテリアリティKPIのアイテムにもなっている「ヘルプライン通報訓練」受講は今年度中にほぼ目標達成
  • ESG外部評価の倫理スコアが上昇

経営に影響を与える次元の重大なコンプライアンス違反はなかったものの、一方で内外のグループ企業内部統制の整備が不十分なため、グループ全体と管掌部門によるいっそうのガバナンス強化の必要性を実感しました。また、各人の知識や内部統制の整備が不十分なため、それらが原因と思われる事例も散見されています。もちろん健全な組織文化の醸成は全ての基礎として重要であるため継続して取り組んでいきますが、さらに基本に立ち返り、「各人が正しい知識を身につける」「違反できない・させない仕組みをつくる」こともコンプライアンスの維持、向上のためには必要であると捉え2025年度に新たに「意識して取り組む」活動へ反映させるべきと考えます。

2025年度の重点目標

2023年4月から継続してきた「Bad News First & Fast」「ミエル・イエル・キケル職場づくり」に加えて、新たに2つの重点目標を掲げました。これまで当社グループ内で発生したコンプライアンス違反などの傾向などを考慮すると、組織文化だけでなく、知識や内部統制の面でも取り組むべきことがあると考えます。
いずれもこれまで取り組みを推進してきましたが、この機会にこれらを「コンプライアンス」に関連付けて考えることで、「もっとこうすればよりよくなる」ということが見えてくるという部分もあると考えます。

2025年度ダイセルグループ企業倫理活動重点⽬標

(組織文化)

  • Bad News First&Fast(BNFF)
  • ミエル・イエル・キケル職場づくり

(知識)

  • 各人が、正しい判断をするのに必要な「正しい知識」を身につける

(内部統制)

  • 組織として、違反できない・させない制度や仕組みをつくる

コンプライアンス強調月間における取り組み

当社グループは、毎年8⽉から9⽉をコンプライアンス強調月間と定めています。2024年度も「ダイセルグループ企業倫理活動重点⽬標」に沿って、以下の活動を⾏いました。

1.グループ討議

当社グループ内への注意喚起を念頭にいくつかの「事例」を作成し、それぞれについて少⼈数グループで討議しました。「ダイセルグループ行動指針」と関連付け、事象の発⽣原因・対応策・再発防⽌策・同様の経験の有無などを討論し、様々な意⾒を認識・共有するとともに、「イエル」「キケル」の重要性の理解に役立てました。

① 不正な認証取得の事例

事例の目的:当社グループ企業製品における、第三者認証に関する不適切行為について理解する

② 利益相反

事例の目的:会社と従業員個人との関わりにおいて問題が発生する可能性がある事例を取り上げ何がポイントとなるかを理解してもらう

③ 労災に関する虚偽報告

事例の目的:起きた事象を正しく報告することの重要性について理解してもらう

④ ハラスメント

事例の目的:「カスタマーハラスメント」という言葉があり、サービスの提供者に対して適切な対応(「セクシャルハラスメント」を行わないようにすることを含めて)の重要性を理解してもらう

2.教育

以下の項目などについて、契約社員・派遣社員を含む当社グループ全社員を対象に、毎年eラーニングなどを実施しています。2024年度は、当社グループ企業の100%が実施し、受講者数は13,123名(受講率98.3%)となりました。

① コンプライアンス全般(独占禁止法・不正競争防止法・腐敗防止を含む公正な事業慣行)など
② ダイセルグループ行動指針・倫理規範
③ ダイセルグループ腐敗防止および競争法遵守の基本方針
④ 2024年度ダイセルグループ企業倫理活動重点目標
⑤ 企業倫理ヘルプライン
⑥ 人権の尊重
⑦ 品質コンプライアンス

対象人数は契約社員・派遣社員を含め13,353名

3.コンプライアンス川柳募集

国内のグループ企業で働く全従業員を対象として川柳を募集しました。寄せられた389句から優秀作を選出・表彰しました。この取り組みは、社員がコンプライアンスについて改めて考える良い契機となりました。

教育・研修プログラム

新⼊社員・進級した社員・リーダー職・役員および国内グループ企業の社⻑・海外赴任者などに対して、職位・役割に応じた企業倫理に関する研修を計画的に進めています。また、企業倫理室は社内部⾨・グループ企業からの依頼に応じて、コンプライアンスをテーマとしたセミナーを開催しています。

下記の集合研修に加え、2023年度に引き続き、国内外の多くの職場での研修に活用してもらうため、毎⽉イントラネット上にニュース・グループ討論・4コマまんがやクイズなどのコンプライアンス教材を配信しています。また、行動指針・倫理規範の理解促進の補助資料として「ダイセルグループ行動指針・倫理規範ガイドブック」を作成し、社内の研修などで活用しています。

当社では管理職をリーダー職と呼称しています。

2024年度 集合研修

名称 対象者 内容 受講⼈数(名)
階層別研修 新入社員 企業倫理一般
(腐敗防止、反競争行為、ハラスメントの概念・防止および対応策、不正行為を知ったときの報告の義務などの内容を含む講義とグループ討論)
76
C1/C2/E3/E5(旧 新任中級職) 142
C3/C4/E7/E9(旧 新任上級職) 196
新任リーダー職 58
技術者倫理研修 技術者養成コース受講者 技術者向け倫理一般
(講義とグループ討論)
69

人事制度については、「教育訓練体系」をご覧ください。

2024年度 その他の研修

名称 対象者 内容
海外赴任者研修 海外赴任者 競争法・贈収賄・差別・ハラスメント・不正防⽌
役員研修 当社役員・
国内グループ企業社⻑
パワハラ問題の経営的位置付け

報告・相談制度(内部通報制度)

公益通報者保護法に従い、「ダイセルグループ倫理規範」に反する案件などについて、顕名または匿名で報告・相談できる各種の窓口を設けています。これらの窓口は不正・不祥事の防止、早期発見の促進を目的としており、各グループ企業が所在する地域の⾔語が使⽤可能で、年間を通じ24時間体制で受け付けています。

企業倫理ヘルプライン

各職場の上司を通じたルートでは適正な問題解決が図れない場合を想定し、当社グループ全ての役職員が、当社コンプライアンス担当部門に報告・相談できる窓⼝として「企業倫理ヘルプライン」を設置しています。社内窓口のみならず、当社および国内グループ企業においては外部機関が管理・運営する社外窓⼝も設置しています。
また、グループ企業においては、役職員が当社に直接、報告・相談できる体制に加え、それぞれの企業内にも独立した通報窓口を設置し、これらを併用することでより広く役職員の声を集めるようにしています。
このように、当社グループでは役職員が報告・相談しやすい仕組みを整備しています。
なお「企業倫理ヘルプライン」運⽤にあたっては、報告・相談者に対する①個⼈情報やプライバシーの保護、②報告・相談したことによる不利益な取り扱いの禁⽌(報復の禁止)、③調査結果のフィードバックなどの規定を明文化し、報告・相談者は保護されることを公表しています。

このうち②では案件完了後一定期間のうちに、報告・相談を行ったことを理由として不利益な取り扱いが行われていないか報告・相談者に確認し、状況に応じ必要な措置を講じることが定められています。

社外からの通報窓口

その他、社外の方も利用可能なウェブサイト上の窓⼝も設置しており、お客様・取引先様・協力会社の方々・退職者・地域住民の方など、より多くのステークホルダーが活用できる環境を整えています。

なお、2024年度末にはウェブサイト上の社外からの通報窓⼝をより利用しやすい環境を整えるために、

  • レイアウトの変更
  • 他の各種「お問い合わせ」からの独立
  • コンプライアンス関連記事中へのリンクの設置

などの改変を行いました。

コンプライアンスに関するご相談

報告・相談への対応

企業倫理室は、「企業倫理ヘルプライン」で受け付けた通報内容の事実確認と調査を行い、問題が確認された場合には、その解決・是正、再発防止策の策定など必要な対応を行います。他部門による対応が適切な場合には、必要な対応を該当部門に依頼し、フォローします。各グループ企業に寄せられた報告・相談は原則として当事者企業で対応しますが、その内容は企業倫理室に報告され、企業倫理室は必要に応じサポートを実施します。また、メールやウェブサイトの窓口に寄せられた報告・相談は、当社の常勤監査役にも直接転送されます。
さらに企業倫理室は、全ての通報窓口に寄せられた報告・相談の件数と概要、対応状況・結果について、取締役会で定期的(約4回/年)に報告を行います。

これらの報告・相談制度は各職場での定期的な周知の他、階層別研修やコンプライアンス強調月間のeラーニングを通じて、広く周知と浸透を図っています。また、寄せられた報告・相談の内容を勘案し、教育・研修の内容策定に役立てています。

役職員がヘルプラインをより安心して使用できるように、以下の施策を2024年4月1日より開始しています。

  • 各種コーポレート部門の代表が連携し、通報の調査や対応を行う「ヘルプライン対応チーム」の設置
  • 女性特有の問題に関する通報の調査や対応を、女性がサポートする体制の整備

この2つの施策については、1年間運用して以下のような役割を果たしたと考えています。

  • ヘルプライン対応チーム
    通報内容を全件共有し毎月1回の定例会議を開催、協議し、その後の対応の迅速化などに寄与しました。
  • 女性の対応サポートチーム
    「対応者が男性ばかりなのでセクハラ問題などはヘルプラインに通報しにくい」という声を受けて発足させました。いくつかの通報案件では被害者などからのヒアリングの実施、フォローも含めた被害者に寄り添って対応することで、被害者の心理的安心につながりました。

なお、2024年度は、経営に重⼤な影響を及ぼす報告・相談はありませんでした。

ヘルプライン通報訓練

ヘルプラインの利用促進のため、「ヘルプライン通報訓練」を実施しています。当社グループで独自に考案した実践型の研修で、「何よりもまず実際に使ってみることが抵抗感の解消につながる」という考えに基づいています。
当社グループでは比較的早期より内部通報体制を整備し、その仕組みや安全性を社員に周知してきましたが、アンケート結果からは多くの社員が利用に抵抗感を示す状態が続いていました。この課題を解消すべく本研修を導入しました。

本研修は、受講者が、

  • 架空のコンプライアンス事案が記載された課題文書(メール)を読む
  • 自身がその当事者になったつもりで通報文を作成する
  • 自身で直接模擬通報窓口に通報する
  • 通報後、模擬通報窓口から返信される解説付きのメールを読む

という「実際にヘルプラインに通報したときと同じプロセス」を疑似体験します。
なお、課題文書は当社グループで実際に発生した重要コンプライアンス事案をベースに作成しており、その周知や「自分ゴト化」も目的の一つとしています。
2021年度より試験的に運用を開始し、2023年度より本格的に導入しました。2024年度は集中実施年度と位置付け、グループ企業を含めた国内勤務社員4,914名が受講し、通算では対象者の97%にあたる5,988名が受講しました。多くの社員が所属や立場に関係なく真摯に取り組み、リアリティに富んだ“力作”の回答も多数寄せられました。実際のヘルプライン通報件数は近年大幅に増加し、3年間で約2.5倍になりました。本研修のグループ内展開がその一助になったと考えています。

対象者
海外を含むグループ企業の全社員および全てのステークホルダー(お客様・取引先様・協力会社の方々・退職者・地域住民の方など)

報告内容
「ダイセルグループ倫理規範」に違反している懸念のある事象
(不正、反競争行為、汚職・贈収賄、人権侵害、ハラスメント、雇用環境、環境汚染、他のコンプライアンス違反)

設置窓口
① 当社社内の窓口
② 各グループ企業の窓口
③ 社外窓口(外部専門機関への委託)
④ ウェブサイトの窓口

報告・相談制度フロー

報告・相談制度フロー

報告・相談件数

(報告ベース:事実と確認できなかった案件も含む)

(件)

内容 2021年度 2022年度 2023年度 2024年度
問題行動などの指摘 24 35 50 70
ハラスメント被害など 19 20 30 42
会社への不満 4 16 21 4
その他 3 5 1 10
合計 50 76 102 126

企業倫理室へ報告された当社グループ全体の報告・相談件数