サステナビリティ / 社会性報告 魅力ある職場づくりダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進

基本的な考え方

当社グループは人事方針、人事ガイドラインに加え、「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)宣言」を制定し、これらに基づいた各種の人事施策を行っています。
当社グループはサステナブル経営方針においても、多様な社員が互いを認め合い、存在感と達成感を味わいながら成長する「人間中心の経営」を進めることが、サステナブルな社会の実現とグループの事業拡大につながるとの考えを明確にしています。この考え方に則り、当社グループでは一人ひとりが個々の能力を最大限に発揮し、やりがいを持って活躍できる環境づくりに取り組んでいます。

ダイセルグループ DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)宣言

セルロイドの製造会社として生まれたダイセルグループは、現在では、多種多様な製品を生み出し、あらゆる国や地域にネットワークを持つ事業体に成長しました。その成長の根幹には「人間中心の経営」があり、「人」こそが、ダイセルグループの活動の源泉です。
しかし、「人間中心の経営」は最初から確固たるものではありませんでした。ダイセルグループの歴史こそが、「人間中心の経営」とは何かを追求してきた歴史と言っても過言ではありません。これからも「正しき道を行く」とは何かを絶えず考え、ダイセルグループ倫理規範に定める人権の尊重を基盤とし、ダイセルグループの「DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)」をここに定義します。

ダイセルグループにおける
「DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)」

  • ダイバーシティ(Diversity、多様性)
    ダイバーシティとは、異なる「人間同士」が、共通の理念や目的を実現するために、一人ひとりの個性や違いを尊重しつつ、その強みのみならず、弱みも含めた、全人間力を活かすことです。
    「人」は、未知なる可能性を秘めたかけがえのない存在であり、価値共創といった社会貢献に共に取り組むことで、より大きな可能性を得る機会とし、人が成長することでその集団であるダイセルグループも成長していきます。
  • エクイティ(Equity、公平性)
    エクイティとは、情熱をもって挑戦する人が、その力を発揮できるよう適切な環境を整え、育む仕組みを整え、発揮した力の結果を正しく評価することです。
    ダイセルグループでは、会社の目指す姿を指し示し、その実現にむけて使命感を持って挑戦する人に公平な機会を提供し、その挑戦と貢献を公正に評価します。たとえ挑戦が失敗に終わったとしても、失敗から学び、何度でも挑戦できます。
  • インクルージョン(Inclusion、尊重し、認め合う)
    インクルージョンとは、人が存在を認め合い、対話しあい、互いを受け入れることです。ダイセルグループでは、一人ひとりが誇りを持って「会社の目指す姿」と「自己実現」に挑戦します。
    その過程で私たちは、主体的に目標を掲げ、互いの主張を徹底的に議論することを恐れません。本質的に高め合い、刺激を与え合うことで、互いに視野を拡げ、時には新しい道を見つけて進化を遂げながら会社と共に成長します。

ダイセルグループは、社員をはじめ、あらゆる人たちと協働し、企業活動の中で「DE&I」を実践し、PRODUCT、PROCESS、そしてPEOPLE三つのサステナビリティの実現を宣言します。

制定日:2024年1月16日
株式会社ダイセル
代表取締役社長 小河 義美

本宣言は「ダイセルグループ倫理規範(2. ② )」に基づく宣言として、2024年1月16日、経営会議において承認のうえ公表しています。

ダイバーシティ推進体制

当社は、人事施策の立案・実行にあたり、人事担当役員の責任の下で、CAPDサイクルによる人財マネジメントを人事グループが主体となって実施しています。経営上重要な施策については、経営会議や企画会議などの主要会議に諮っています。
また、当社のサステナブル経営方針の一つである「サステナブルピープル」に基づき、経営上重要課題の一つとして「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン」を掲げています。当社グループ各社の状況に応じて施策を推進しています。

計画を起点とした活動では重要な事実を見落としてしまうおそれがあると考え、当社では一般的なPDCAではなく、CAPDを改善サイクルとしています。

ダイバーシティの推進に向けた取り組み

当社のダイバーシティ推進の取り組みは女性社員の活躍推進を起点としています。意欲のある女性のキャリアを支援し、誰もが働きやすい職場環境への整備を行うことで、リモートワークの推進や有給休暇取得率向上の取り組みなど、女性だけでなく当社で働く多様な社員全員が活躍できる職場環境や制度づくりにつなげています。
採用活動において、当社グループでは求める人財像として「相手の立場や視点に立って、人と人とのコミュニケーションを大切にする人財」「課題に対して情熱や愛着を持ち、最後まで責任を持ってやり抜く人財」を掲げ、性別や国籍を問わず優秀な人財を確保することを重視し、当社では多様性率30%を目標に活動しています。
また、性別や国籍など属性による多様性のみならず、経験や異なる文化、専門分野などの多様性を確保するため経験者採用を積極的に行っています。多様な社員一人ひとりが個々の能力と個性を最大限に発揮し、社員全員が自己実現できる組織づくりを目指しています。

多様性率とは、当社社員のうち、女性もしくは外国籍社員の比率を表したもの

ダイバーシティ推進&働き方改革(全体像)

ダイバーシティ推進&働き方改革(全体像)

女性活躍推進

当社は、2016年4月に女性活躍推進法に基づく「行動計画」策定以降、女性社員の積極採用や女性リーダー育成研修に取り組むとともに、ライフステージに応じて自ら働き方を選択できる仕組みを整えてきました。

大阪市女性活躍リーディングカンパニーロゴ

2019年度「大阪市女性活躍推進リーディングカンパニー」認証を取得

厚生労働大臣より「えるぼし(3つ星)」認定

2020年度「えるぼし(3つ星)」に認定

女性活躍推進法に基づく行動計画

計画期間:2021年4月1日~2026年3月31日

目標:

  • 【⽬標1】女性役員(執行役員を含む)を2名以上とする
  • 【⽬標2】管理職に占める女性社員の割合を10%以上とする
  • 【⽬標3】課長職より1つ下の階層の女性割合を15%以上とする
  • 【⽬標4】社員全員が有給休暇と所定休日を活用し、年1回の5連続休暇を取得する

女性管理職比率の推移

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2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
16名 25名 29名 28名 34名 38名 44名
2.1% 3.1% 3.6% 3.5% 4.3% 4.9% 5.6%

課長職より一つ下の階層の女性社員比率推移

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2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
36名 35名 42名 47名 52名 56名 70名
7.8% 7.2% 8.5% 8.9% 10.0% 10.0% 12.1%

TOPICSダイセルグループ企業との女性社員交流会(管理職)

2022年度、多くの経験や異なる専門性を持つ女性管理職が一堂に会し、お互いの意見や情報・状況を共有することで当社グループとしての団結力をさらに向上させていくため、当社と当社グループ企業であるポリプラスチックス株式会社との女性管理職交流会を開催しました。
当日は37名の女性管理職が参加し、「多種多様な意見交換ができた」「これまで接することのなかった社員と知りあいになれた」など、組織を越えた人と人のつがなりを実感できる機会となりました。

ダイセルグループ企業との女性社員交流会(管理職)

TOPICS15社合同開催「女性社員交流会」(ハッピーキャリア)

2022年度、ダイバーシティ西日本勉強会に参画している企業15社が共催する、20代後半から30代前半の女性社員を対象としたオンライン交流会に当社社員10名が参加しました。
各社約10名の女性社員が出席し、仕事と子育ての両立や、今後のキャリアについて意見交換を行いました。出席した社員からは「これまでなんとなく不安を感じていたことが解消できた」「同世代の社員と意見交換して刺激になった」といった意見が挙がりました。

役員メンター制

どの職階・職域においても男女の人数が同数に近づき、それによって、より多様な観点での経営判断ができる組織となることを念頭に、当社は「女性役員の人数増加」および「女性役員の内部登用」を目標としています。
その目標を達成するための施策の一つとして、2021年度より女性リーダー職(管理職)を対象とした「役員メンター制」を導入しました。女性リーダー職が定期的に役員と面談し、その対話を通じて自らの視野を拡大させ、さらには経営的視点を学べる機会としています。

当社では管理職をリーダー職と呼称しています。

役員メンター制

女性社外取締役との懇談会

当社では、女性リーダー職のキャリア開発を目的として、女性社外取締役との懇談会を定期的に開催しています。

女性社外取締役との懇談会

若手メンター制

当社では、女性社員のキャリア形成支援の一環として、若手メンター制を導入し、先輩社員(メンター)との定期的な対話を実施しています。

女性社員のキャリア両立支援

当社では、ワーキングマザー向けのキャリア形成支援サービス「PeerCross」を導入し、女性社員の中長期的なキャリア形成の支援に取り組んでいます。

ワーキングマザー向けキャリア形成支援サービス「PeerCross」

経団連が掲げる「2030年30%チャレンジ~#Here We Go 203030~」への賛同表明

一般社団法人日本経済団体連合会(以下、経団連)が2020年11月に公表した「。新成長戦略」では、持続可能な成長を実現するカギとして「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)」をその推進力と位置付け、「2030年までに役員に占める女性比率を30%以上にすることを目指す」という目標を掲げています。当社は2021年4月5日に賛同を表明しました。

<【経団連】「2030年30%へのチャレンジ」とは>
経団連が2020年11月に公表した「。新成長戦略」に基づく目標で、以下4項目を指針としています。

  1. (1)ダイバーシティ&インクルージョンを経営戦略の重要な柱に位置づけ、ビジネスインパクトにつながる取組みを推進します。
  2. (2)企業の意思決定機関である取締役会に着目し、女性をはじめ多様な人材の視点を、業務執行やガバナンスに活かす取組みを加速します。
  3. (3)タレント・パイプラインを強化するため、採用から幹部人材の育成(候補者の可視化を含む)まで、それぞれのキャリア・ステージに応じたサポートを実施します。
  4. (4)これまでの雇用慣行からの脱却・組織風土改革を進め、あらゆる社員のパフォーマンスを最大化し得る組織・環境づくりを追求します。
2030年30%へのチャレンジ~#Here We Go 203030~

【経団連】「2030年30%へのチャレンジ」

外国籍社員の活躍推進

当社では、外国籍社員の採用時に下記の就労支援を実施しています。
なお、2024年3月末現在26名の外国籍社員が当社および国内グループ企業で勤務しています。

  • ビザ手続き支援
  • 社内制度説明(方針・人事制度など)
  • 日本で就労するにあたり必要な情報の提供

障がい者雇用の推進

当社が果たすべき社会的責任の一つである法定障害者雇用率を達成するとともに、障がい者の方々の仕事を通じた社会参加を支援するため計画的に障がい者雇用を進め、個々の能力を最大限に発揮できる職場環境づくりに取り組んでいます。
2024年6月1日時点の障害者雇用率は法定の雇用率を超える3.11%(単体)となり、個人が障害の程度に応じ業務を選択し、最大限の能力を発揮できるように配慮しています。

障害者雇用率(単体)

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2020年度 2021年度 2022年度 2023年度 2024年度
障害者雇用率 2.17% 2.43% 2.88% 3.29% 3.11%

直近の法定障害者雇用率は2.5%

当社グループ企業のダイセル大竹産業株式会社は、障がい者の働きやすい職場づくりに積極的に取り組んでおり、2023年8月4日、厚生労働省が認証する「もにす認定」を取得しました。
「もにす認定制度」とは、障がい者の雇用の促進、および雇用の安定に関する取り組みの実施状況などが優良な中小事業主を厚生労働大臣が認定する制度です。

「エールひろば・チャレンジねっと」の取り組み

TOPICSNPO法人日本ブラインドサッカー協会との協働

当社は2023年度、NPO法人日本ブラインドサッカー協会(JBFA)とのパートナー契約を締結しました。視覚障がいへの理解を深め、誰もが当たり前に混ざり合う社会の実現に向け、JBFAや地域社会と連携しながら、横断的な取り組みを進めています。

当社役職員と日本ブラインドサッカー協会との集合写真
当社役職員と日本ブラインドサッカー協会の方々との集合写真

シニア人財の活躍推進

当社では、60歳以上のシニア人財が豊富なキャリアを生かせるよう、継続雇用制度を運用しています。改正高年齢者雇用安定法に基づき65歳までの希望者を対象に、2023年度は定年退職者79名のうち74名を継続雇用し、2024年3月末時点で318名のシニア人財が活躍しています。引き続きシニア人財の経験や能力を十分に生かせる職場づくりに努めます。

ESGデータ集P7 シニア人財人数

TOPICSライフプランセミナー

当社では、55歳~59歳の社員を対象に、健康や年金受給など、定年退職後の生活に向けたライフ・マネーに関するセミナーを開催しています。保健師によるヘルスケアセミナー、人事グループによる退職金制度・継続雇用制度説明会、日本生命保険相互会社によるセカンドライフセミナー・確定拠出年金受取前セミナーの構成とし、今後もいきいきと充実した生活を営むために必要な情報を提供すべく、積極的に取り組んでまいります。

LGBTQへの配慮

当社グループは、LGBTQの社員も含め全ての社員が例外なく能力を発揮できる魅力的な職場づくりを目指しています。2020年4月に「LGBTQ相談窓口」を社内に設置し、全ての社員が能力を発揮しやすい魅力的な職場づくりを目指しています。グループ企業ではLGBTQに対応する更衣室を設置するなど、LGBTQ当事者との対話を通じて、利用する施設の環境整備にも取り組んでいます。

TOPICSリーダー職・組合員を対象とした「LGBTQ」研修を開催

2022年度は当社のリーダー職357名が研修に参加し、当事者を取り巻く環境やそこに潜むリスクについて学び、性的マイノリティが活躍できる職場づくりや働きやすい社会のあり方を考えました。自身がもしカミングアウトを受けたらどう対応するかなどのディスカッションを通じて、誰もが安心して働くことができる組織にするための具体的な方法を話し合いました。2023年度は参加対象を組合員にも拡大し、LGBTQに関する社会的な課題に対しても理解を深めました。

同性パートナーシップ制度の導入

当社グループでは、誰もが自分らしく働くことができる環境をさらに充実させるため、社員の同性パートナーを法律婚の配偶者と同様に扱うことを定めた「同性パートナーシップ制度」を2023年4月1日に導入し、関連する規程の諸手当や福利厚生の適用を可能としました。

人権の尊重