工場全体の運営・運転を最適化させ、生産性の飛躍的な向上を実現してきたダイセル式生産革新を基盤に、独自のAIを活用して進化させたシステムです。モノづくりの在り方や生産現場の働き方に革新をもたらし、新たな付加価値を創出する「自律型生産システム」とはどのようなものなのか。その全容を詳しく紹介します。
2020年にダイセルが発表した「自律型生産システム」は、2000年に完成した「ダイセル式生産革新」をAIの導入によって進化させ、化学プラントにおけるモノづくりの現場での最適解への到達をアシストするシステムです。「ダイセル式生産革新」を基盤に東京大学と共同開発した独自のAIを導入することで、安全確保や安定運転における監視、予知予測システムの精度が向上し、生産コストの大幅な削減を実現しています。
モノづくり企業の競争力の源泉は生産現場にあります。重厚長大な化学プラントは、さまざまな製造設備が配管でつながり、まるで大きな生命体のように複雑で、常に状態が変化します。また、その生産の状況を外から見ることができません。この化学プラントを、安全と品質を確保しながら制御し、低コストの運転を追求してきた過程で熟練作業者のノウハウが蓄積されてきました。
姫路製造所網干工場 航空写真
「自律型生産システム」は、化学プラントのモノづくりの現場で取得したデータから日々学習を重ねたAIを搭載し、オペレータを支援します。搭載されたAIは、過去に蓄積してきた運転ノウハウを活用するだけでなく、日々の運転の中からも新たなノウハウを抽出していきます。また、蓄積したノウハウの収集・解析をAIに担わせることで、人はデータ収集に必要な多大な時間と過去の解析作業から脱却し、ノウハウの改善や現場管理に足りていなかった点に気づき、最適解を探索するというさらに創造的な業務に集中できます。また、それらをAIに学習させることでAIのさらなる進化にもつながります。
ダイセルの「自律型生産システム」は、AIを駆使したただのITツールではありません。人と機械が互いに影響を与え合い連関し合うつながりをつくり、人が機械を成長させ、その機械を使う人がさらに成長する。そんな仕組みを設計しています。
| 自律 | 人は機械を活用することで、成長し自己実現につなげる |
| 型 | 現状はあくまでも一つの「型」。今後もさらにバージョンアップさせていく |
| システム | 何かに気づき、考え、行動する、全体のつながりのこと(コンピュータシステムはそれを実現するための1つのツールとして位置づける) |
人がより創造的に働くことで得られる幸せを社会へと循環させることを目的とし、人とシステムの双方が自律的に成長していくシステム。それがダイセルの「自律型生産システム」です。
ダイセルが進める「自律型生産システム」
の考え方や取り組み、
そしてその先に描く
未来について、
以下の5つの章を通して
わかりやすくご紹介します。
サプライチェーンの連携の中には一社だけでは解決できない社会課題(環境対応、地政学的リスクによるサプライチェーンの分断など)があります。ダイセルは、モノづくりの会社です。自社だけがよければいいのではなく、サプライチェーン全体がよくなる取り組みが求められます。社会課題に対して、自社でできること、それを現場単位で自分たち自身ができることにまでブレイクダウンし、そして生産現場のひとりひとりの行動にまで落とし込んだものが「自律型生産システム」です。
ダイセルは「自律型生産システム」の実装範囲をモノづくりの現場から生産計画や物流へと拡張し、個社単位ではなく、サプライチェーン全体で連携したモノづくりを目指しています。それが、企業結合を伴わない緩やかな企業連携の新しい形となる、バーチャルカンパニー構想です。会社の枠を超え、サプライチェーンでつながる各社のモノづくりに関する情報を同期させることで、必要な時に必要な量が生産できる体制を構築します。そうした取り組みは、生産効率や製品品質の向上に加え、余剰在庫やそれに伴うエネルギー使用量、生産・物流コストの抑制につながります。
そんなバーチャルカンパニーを統合管理する拠点となるのが、構想中のVVCC(バーチャルバリューチェーンコントロールセンター)です。ダイセルでは現在、網干工場(兵庫県)と大竹工場(広島県)の生産情報をリアルタイムでつなぎ、一つの工場とみなして、両工場の最適な生産計画、エネルギー需給が最適となるバーチャルファクトリー化を実現しています。VVCCの設置により、最適化の範囲を、今後は自社プラント間だけでなくサプライチェーン全体にまで広げ、バーチャルカンパニー構想を形にしていきます。
「自律型生産システム」は、サプライチェーンでつながる企業間の対話を加速させ、マーケットニーズと生産の間を翻訳します。そして、モノづくりにスピーディに反映していくことで、新事業の成長を加速し、世の中へ提案していく手段へと進化していきます。