ダイセルにおけるモノづくりへのアプローチの基本は、これまでご紹介したように基盤整備、標準化、システム化というステップです。
化学プラントでの【運転管理】においては、システム化のステップにAIを活用しPCM(最適運転条件導出システム)とAPS(高度予知予測システム)で構築された「自律型生産システム」が生まれました。
次の段階として、このアプローチの【生産管理】への導入を進めています。
化学プラントにおいて生産計画を立案する際には、非常に多くの制約条件を考慮するため、製造とは異なりまだまだ熟練者のノウハウに頼っている部分が多いのが現状です。制約を考える上で必要な情報の基盤整備と、熟練者の頭の中にある判断基準を形式知として抽出し、市場環境や自社の状況に応じて、最適な生産計画を自動で立案できる仕組みを構築していきます。
また、化学プラントの【設備管理】にも、このアプローチは適用できます。
人の五感で判断していた部分を、どのように標準化してシステム化していくかという点が重要なポイントとなります。視覚や嗅覚、触覚など、化学プラントの設備管理では人が五感で状態を捉え、変調を判断していることが実は多くあります。そこで、カメラをはじめとした五感代替のセンシングと、得られたデータをもとに変調に対する原因を絞って対応策を提示するなど判断支援の仕組みを考えています。
現在、取り組んでいるのは、人が行っている製造設備の日常点検・メンテナンス作業を対象に、五感による点検データをAIで運用されるロボットが自律的に取得・解析する仕組みの構築です。
これにより、五感点検のスピードや精度を向上させ、データ蓄積により人のノウハウ蓄積につなげます。また、人が現場に行かずとも遠隔地から適切な点検・管理できることによる作業者の安全確保や点検業務の在宅化の実現を検証します。
ロボットによって距離や天候に関わらず遠隔から点検が行うことができ、従来は人が歩き回って一日一回しか目視点検できなかった箇所を常時監視できる連続点管理が可能となります。また、AIが補助することで、経験が少ない人や、体力の有無に関わらず誰もが活躍できる仕組みとなります。 この技術は障がい者やベテラン技能を持つ高齢者の雇用促進への寄与を目指しています。これはダイセルのサステナブル経営方針における「働く人の幸せ(Sustainable People)」の実現に向けた、具体的な取り組みの一つとなります。
化学プラントの運転管理だけではなく、生産管理や設備管理にも「自律型生産システム」のアプローチを導入していくことで、モノづくりはさらに進化していくでしょう。
私たちダイセルは、「自律型生産システム」を自社のプロダクトチェーンの枠を超えて拡張していきます。
市場や顧客のニーズを読み取り、生産現場で実行できる形へと変換し、モノづくりを革新させる手段として、次世代の生産システムへとこれからも進化させていきます。
ダイセルは、化学プラント自体に対しても、技術革新を行っていきます。
その一つが、巨大化学工場をデスクトップサイズで実現するマイクロ流体デバイス技術、マイクロプラントです。
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名刺サイズのガラス板をつなぎ合わせ、1つのユニットを構成。ガラス板の流路のデザインを組み合わせることであらゆる化学製品に対応でき、1ユニットを並列化することで生産量を増やすことが可能となります。さらに、実験室での結果を工業化する際もガラス板の数を増やすだけで再現可能で、商業スケールへの立ち上げスピードが上がります。
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超微細な流路の中では、温度や圧力にムラがなくピンポイントかつスピーディに狙った反応を生み出すことが可能です。ムダな反応も起こりにくいため生産物の純度が高く、余計なものを分離する後工程も不要になります。レジストポリマー製造プラントに実装した場合、エネルギー使用量・CO₂排出量共に90%以上削減できると見込んでいます。
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超小型・エネルギーレス・低コストで設備が構築できるため、生産拠点の自由度が飛躍的に高まります。原料のある場所に生産拠点を置くことで地産地消が容易になり、輸送にかかるコストやエネルギーも大幅に削減されることが期待されます。
わたしたちは、いままでの固定観念に捕われず、
人も化学プラントも成長し続ける会社でありつづけます。