「自律型生産システム」の実装は、2020年度より、生産現場のオペレータを支援する取り組みからスタートしました。
「自律型生産システム」を導入することで、各プラントの運転目的に応じて行動の優先度を判断し、必要な選択肢のみを提示します。これにより、現場は最適なアクションを迅速に実行できます。その結果、品質の安定化や生産性の向上に加え、設備トラブルを未然に防ぐ予防保全による修繕費の適正化、生産の安定や効率向上による在庫削減など、幅広い成果を実現しています。
次の段階として、生産計画や物流計画の領域へとシステムの支援範囲を拡大し、バリューチェーン全体でのモノの流れの最適化を進めています。
生産計画や物流の現場では、製品の流れをロット単位で管理しています。
1ロット当たりの数量を抑え、小回りの利く生産・物流体制を構築することで、リードタイムの短縮、在庫削減、需要変動への迅速な対応が可能になります。しかし、ロット単位が小さくなると、サンプリングによる品質分析の回数が増え、オペレータの業務負荷も増加してしまうという懸念もあります。
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そこでダイセルでは、最先端のインラインセンサーやソフトセンサーを活用しました。従来の代表点管理から連続点管理に移行させることで、工程内で品質を作り込む仕組みを強化しつつ、オペレータがサンプリングして品質分析を行う作業をなくし、検査待ちによる出荷待ち時間を解消しました。その結果として、リードタイムの短縮や在庫削減にもつながりました。
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また、ロット単位を小さくして連続点管理にすることで、製造時の品質のミエル化を実現し、品質の精度も向上しました。これにより、高い品質グレードが求められる電子部品用途や高機能材料を求めるお客様の要望にも、きめ細かく対応することが可能になります。その結果、競争力のさらなる強化を図ることができます。
将来的には企業の枠を超え、調達先やお客様先にも「自律型生産システム」を展開し、自社のプロダクトチェーンだけではなく、サプライチェーン全体を最適化することで、さらなる高品質化や高効率化を実現していきます。
ダイセルでは、国内の対象となるプラントに「自律型生産システム」の実装が完了した場合、年間 100 億円程度のコストダウンが可能と試算しています。これまでは、主には運転管理の部分でのコストダウン効果に留まっていました。計画通りにシステムの拡張が進めば、生産管理の領域では在庫削減などの効果が期待でき、設備管理の領域では設備トラブルによるロス削減などに寄与します。
また、オペレータの作業負荷のさらなる低減が期待されます。「自律型生産システム」によって捻出された時間を、人にしかできない創造的な仕事の時間に費やすことで、モノづくりの競争力もより高めることができるはずです。
そして「自律型生産システム」の実装による様々な変革は、お客様のニーズを起点とするマーケットイン型組織への移行を目指す上でも、大きな後押しとなります。お客様から要請を受ける前に、自ら先回りしてソリューションを提案する、そんな攻めの生産をダイセルは実現します。