企業倫理(コンプライアンス)

基本的な考え方

サステナブル経営を行う上での基盤の一つが企業倫理(コンプライアンス)です。当社では、遵法に基づく企業倫理活動を強力に推進するために、1998年3月25日に「ダイセル化学工業行動憲章」を制定して以来、企業倫理に関する方針・規範を、社内方針などの変更や社会情勢の変化に合わせて改定してきました。

そして、当社グループ役職員が常に意識し、個人の行動を律するための指針を示した「ダイセルグループ行動指針」と当社グループの役職員のみならずサプライチェーンの全領域における企業活動を対象に、会社として遵守すべき規範として「ダイセルグループ倫理規範」を2023年4月1日付で制定しました。

なお、2020年に制定した「サステナブル経営方針」をはじめ、当社グループで制定した方針類の関係性が理解しやすいように体系図を作成し、「安全」「品質」「コンプライアンス」を最重要基盤とすることを定め、社内のみならず社外にも周知・徹底しています。

当社グループでは、企業倫理を社員一人ひとりに浸透させることは経営上の重要な課題と考え、「ダイセルグループ行動指針」「ダイセルグループ倫理規範」に基づき、当社グループ全体で価値観を共有し、当社の各部門・各グループ(以下、各組織)において企業倫理活動計画を毎年度策定し、企業倫理活動に取り組んでいきます。

企業倫理マネジメントシステム

当社グループは、企業倫理活動の推進にあたり「企業倫理マネジメント規程」を制定し、振り返り(Check)・見直し他(Act)・計画(Plan)・実施と運用(Do)という「CAPDサイクル※」による「企業倫理マネジメントシステム」を構築し、活動の継続的改善・向上に努めています。

なお、当社グループは、企業倫理活動を特定の個人や組織を対象とした部分的な活動ではなく、当社グループで働く全ての社員による活動であると考えています。

  • ※
    計画を起点とした活動では重要な事実を見落としてしまうおそれがあると考え、当社では一般的なPDCAではなく、CAPDを改善サイクルとしています。

CAPDサイクルによる企業倫理マネジメントシステム

行動指針・倫理規範の実施 [Check]実施結果の振り返りと評価:各部門・企業で活動を振り返り、評価します。[Act]次年度に向けた見直し:振り返りと評価の結果、ミエタ※課題などについて、各部門・企業で是正・改善を図ります。場合によっては、グループ全体へ展開します。※課題・問題を可視化して共有することを当社では「ミエル」と呼んでいます。[Plan]計画の策定:各部門・企業は当該年度の振り返りと評価結果および次年度のグループ重点目標を基にして、自部門・自社の次年度活動計画を立案します。[Do]計画の実行:各部門・企業が活動計画を実施します。

企業倫理活動の推進体制

当社は専務執行役員を担当役員とする企業倫理室を設置し、グループ全体を横断する企業倫理活動を推進しています。

企業倫理室は各組織の企業倫理活動状況および課題を取りまとめ、グループ全体のコンプライアンス遵守状況および課題を当社の経営層および常勤監査役、労働組合の代表も出席する企業倫理トップマネジメントレビューの場で報告するとともに、課題や次年度の重点目標について議論します。

議論の結果は取締役会に報告し、また重点目標は企業倫理室から各組織に展開され、これに沿った活動計画を各組織で策定、実行しています。そして、各組織は年度ごとに活動状況の振り返りおよび課題を企業倫理室に報告します。

各組織では、それぞれのトップから任命された企業倫理活動推進員が核となって、企業倫理活動を主体的に実践しています。

企業倫理室は、企業倫理活動推進を目的に、各組織のトップや企業倫理活動推進員と直接適宜対話を行い、コンプライアンスに関する様々な情報を提供し、意見を交換しています。

各組織の活動状況をヒアリングする中で必要に応じて関係部門も参加し、活動に対するサポートを行っています。また、全ての部門・グループ企業の活動状況の他コンプライアンス違反について適宜対話を通じて確認を行っています。

これらにより、会社経営に大きな影響を与えるリスクの高い課題が確認された場合は、事実関係を確認後、速やかに担当役員および常勤監査役に報告し、対応を協議します。

また、経営上のリスクの早期把握と是正を目的に設置された「企業倫理ヘルプライン」と各グループ企業に設置された内部通報制度への報告・相談の概要と対応・結果を、毎月経営幹部に報告し、取締役会で定期的(約4回/年)に報告しています。

報告・相談制度(内部通報制度)

企業倫理活動推進体制図

企業倫理活動推進体制図:図の最上部には「取締役会・監査役会」が配置され、その下に「企業倫理トップマネジメントレビュー」として、「取締役会・監査役会」と「担当役員」で「企業倫理状況の報告」および「ヘルプライン通報内容/対応状況報告」が示されている。その下の領域には「経営会議メンバー」が配置されている。左側には「社長」と「担当役員」が枠で囲われて配置され、右側には「常勤監査役」と「労働組合の代表」が配置されている。経営会議メンバーの下には「企業倫理室」が配置されており、「部門長 企業倫理活動推進員」から「企業倫理室」へ上方向に「活動計画の提出」「活動結果の報告」が示され、「企業倫理室」から「グループ企業社長 企業倫理活動推進員」へ下方向には「活動の把握・支援」が示されている。図の最下部には二つの枠があり、左に「部門長 企業倫理活動推進員」、右に「グループ企業社長 企業倫理活動推進員」が配置されている。全体として、企業倫理室を中心に、経営層への報告と、各部門およびグループ企業への支援が行われる体制が示されている。

法令主管制度

当社では遵守すべき法令ごとに主管部門を定め、最新の法令情報管理を行う「法令主管制度」を設けています。法務グループなどのコーポレート部門を中心とした複数の部門が「法令主管部門」となり、法令改正やガイドラインなどの法令情報および教育資料を関連部門に提供し、法令遵守の徹底を図っています。これらの情報は、国内のグループ企業にも展開されます。なお、新たな法令が制定された場合には、一時的に法務グループが法令主管部門となり、内容などの確認後、適切な主管部門を定めています。

各種委員会での取り組み

当社では、輸出管理、個人情報保護などコンプライアンス上の課題に対しては、各規程に基づき委員会を設置し、コンプライアンスの維持・推進を図っています。

各種委員会(抜粋)

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委員会 規程 開催頻度 構成メンバー 目的
リスク管理委員会 リスク管理規程 1回/年
委員長:
専務執行役員
メンバー:
関連部門の代表者
当社グループ全体のリスク管理推進に関わる課題・対応策を協議・承認
情報開示委員会 情報開示規程 必要に応じて開催
委員長:
社長執行役員
副委員長:
専務執行役員
メンバー:
経営層およびその他関連部門長
情報開示の具体的内容・時期・方法などを審議し決定するとともに、危機管理上の観点から将来情報開示の可能性がある事項について審議
輸出管理委員会 安全保障輸出管理規程 1回/年
委員長:
専務執行役員
メンバー:
生産本部長
経営戦略室長(兼)同室戦略推進チームリーダー
安全と品質を確かなものにする本部レスポンシブル・ケアセンター所長
企業倫理室長
事業支援本部 法務グループリーダー
国際平和および安全の維持を目的とした、輸出管理関連法令上規制されている貨物や技術を不正に輸出または提供しないための社内管理体制の確立と社内徹底
個人情報保護委員会 個人情報保護規程 必要に応じて開催
委員長:
専務執行役員
メンバー:
執行役員 事業支援本部副本部長(兼)事業支援本部人事総務グループリーダー
企業倫理室長
デジタル戦略推進センター長
事業支援本部コーポレートコミュニケーショングループリーダー(兼)同グループ健康・スポーツエールセンター所長
事業支援本部 法務グループリーダー
個人情報保護法などの法令に基づく、個人情報の適正な取り扱いの確保

公正な事業慣行

私たちは、「ダイセルグループ倫理規範」に「公正な取引」として各国の法令やルールを理解し、カルテルや談合など不正競争に該当する行為には関わらないことを掲げるとともに、2024年4月に「ダイセルグループ 腐敗防止および競争法遵守の基本方針」[PDF:178KB]PDFファイルを開くを定めました。当社グループで働く全ての社員はその内容と精神を遵守し、日々の活動を行っています。なお、2025年度は、反競争的行為・贈収賄や利益相反など腐敗に関する法令違反はなく、罰金や課徴金もありませんでした。

ESGデータ集 P8 企業倫理(コンプライアンス)

競争法の遵守

当社グループは事業活動にあたり、「ダイセルグループ 腐敗防止および競争法遵守の基本方針」 を定め、公正かつ自由な競争を維持するために、独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)や取適法(製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律)をはじめ、各国の反競争的行為に関する法令やガイドラインを遵守しています。

上記を目的として、当社では、独自に「独占禁止法遵守マニュアル」、「競合他社間の情報交換ガイドライン~競争法違反行為の未然防止のための禁止行為(Don’t)と推奨される行為(Do)~」、「米国独禁法実践ガイド『DOs & DONʼTs』」、「EU競争法 実践ガイドライン」などを作成し、階層別集合研修やeラーニングを通じた意識浸透にも注力しています。また、海外に赴任する社員に対しては、現地法令の留意点などを含めた教育を実施しています。

加えて、2024年度より当社グループを対象に、公正取引委員会の事務総長経験のあるコンサルタントを起用した勉強会を定期的に開催し、当社グループ内での法令遵守に関する意識の浸透を継続しています。さらに、国内グループ企業の役職員には上記eラーニングを提供して反競争的行為防止に関する教育を行い、海外グループ企業には英語の教育資料の提供を実施するなど、各企業に適した方法での教育を継続し、当社グループ全体での取り組みを加速して参ります。

社内教育・研修

腐敗および贈収賄の防止

当社グループは国連グローバル・コンパクトに賛同し、贈収賄を含むあらゆる形態の腐敗防止に取り組んでいます。国内外を問わず、政治家・行政官(公務員など)・お取引先様に対して、贈賄と誤解されるような行為を厳禁し、透明性の高い関係を構築しています。

2024年4月に制定した「ダイセルグループ 腐敗防止および競争法遵守の基本方針」では、お取引先様との相互の接待および贈答品の授受については、健全な商習慣や社会的常識の範囲内に留めることを定めており、これらを行う際には、部門長の承認を要する仕組みになっています。また、前述の基本方針の実効性を確保するため、当社では2025年4月に「接待・贈答等管理規程」を制定し、改めて各部門が責任をもってそれぞれの部門に適した方法で適正に管理していく重要性について周知しました。

さらに当社では階層別集合研修やeラーニングを通じた腐敗防止に関する教育を実施しており、海外に赴任する社員には、不正競争防止法における外国公務員贈賄防止、現地法令(米国の海外腐敗行為防止法の域外適応を含む)の留意点などを含めた教育を実施しています。

また、内部通報制度でも腐敗や競争法違反は通報の対象となっており、社外からの通報も含め、疑いのある事象は適切に調査・対応する仕組みを整えています。

なお、2025年度は、社内各監査部門による内部監査や監査法人による監査、および内部通報により把握できる範囲では、各組織において腐敗・贈賄に関わる重大なリスクは見つかっていません。

「国連グローバル・コンパクト」への賛同

情報管理

当社は「ダイセルグループ倫理規範」に「個人情報を含む、自社並びに第三者の機密情報を確実に保護するとともに、適切な情報セキュリティ体制を確立します」と定め、これらに則り、情報の適正かつ適切な管理を行っています。

知的財産の保護

当社グループでは、「ダイセルグループ倫理規範」「1-⑧ 知的財産の保護」に基づき、第三者が保有する知的財産権を尊重するとともに、会社が保有する知的財産権(特許権・実用新案権・商標権・意匠権など)が重要な資産であることを認識し、その保全・確保に努めています。

知的財産に関する取り組み

税務方針

当社グループは、国内外を問わず、法令、社会的規範および社内規程などの遵守はもとより、社会的良識のある活動、社会から信頼される活動に努めています。税務においても、移転価格設定をはじめとする国際的事業に伴う税務リスクに関して、十分に調査の上、適法かつ適正な納税を行います。

税務方針

2025年度企業倫理活動

当社グループの企業倫理活動は企業倫理マネジメントシステムに沿って各組織が主体的に活動を進めるだけでなく、グループ横断的に活動を展開しています。
その上で大切にしているのが、年度ごとに掲げている重点目標です。

企業倫理マネジメントシステム

2025年度の重点目標

当社グループは様々な事業や業務があるため、「企業倫理重点目標」についていずれの組織も共通で取り組める普遍的な内容にまとめてきました。

2025年度は2023年度から継続してきた組織文化面の目標である「Bad News Fast & First」「ミエル・イエル・キケル職場づくり」に加えて、新たに2つの重点目標を掲げました。その理由は、これまで当社グループ内で発生したコンプライアンス違反の傾向などを考慮すると、組織文化だけでなく、知識や内部統制の面でも取り組むべきことがあると考えたからです。

年間の活動を通じて、グループ社員のコンプライアンス意識と知識は徐々に向上してきていると考えていますが、一方で、社会全般のコンプライアンスの基準は年々厳しくなってきていることも実感しています。この重点目標を「コンプライアンス上の問題」への対応の基本(原則)として、継続的に取り組む必要があると考えていますので、2026年度も同じ重点目標を掲げいっそうの定着を図っていきます。

2025年度ダイセルグループ企業倫理活動重点目標

(組織文化)

  • Bad News Fast & First(BNFF)
  • ミエル・イエル・キケル職場づくり

(知識)

  • 各人が、正しい判断をするのに必要な「正しい知識」を身に付ける

(内部統制)

  • 組織として、違反できない・させない制度や仕組みをつくる

コンプライアンス強調月間における取り組み

当社グループでは、企業倫理を社員一人ひとりに浸透させることは経営上の重要な課題と考え、毎年夏季にグループ全体でコンプライアンスについて考えるキャンペーン「コンプライアンス強調月間」を展開しています。

役員メッセージ

コンプライアンス強調月間の開始にあたっては、毎年最初に、「企業倫理担当役員トップメッセージ」を発信しています。2025年度のトップメッセージのポイントは下記2つでした。

  • ①
    2025年度の企業倫理重点目標
  • ②
    「腐敗防止」に取り組む意義

これを受けて各組織の長も自身のコンプライアンスに対する思いを講話や文書などで組織メンバーに発信しています。

eラーニング

契約社員・派遣社員を含む当社グループ全社員を対象に、毎年コンプライアンスに関するeラーニングを実施しています。2025年度は、当社グループ企業の100%が実施し、受講者数は12,713名(受講率99.4%、対象人数12,793名)となりました。eラーニングの項目の中で人権の尊重や品質コンプライアンスに関する内容はコーポレート部門が連携して資料を作成しました。

eラーニングの項目
  • コンプライアンスとは
  • ダイセルグループ行動指針・倫理規範
  • 2025年度ダイセルグループ企業倫理活動重点目標
  • ケーススタディ(良識ある行動)
  • 企業倫理ヘルプライン
  • 人権の尊重
  • 品質コンプライアンス
  • 「ダイセルグループ 腐敗防止および競争法遵守の基本方針」

各組織でのグループ討議

当社グループで発生したコンプライアンスに関連する事例をベースに、「事例」を作成し、各組織において、少人数グループで討議しました。「ダイセルグループ行動指針」「ダイセルグループ倫理規範」と関連付け、事象の発生原因・対応策・再発防止策・同様の経験の有無など意見を出し合い、様々な視点、考え方を認識・共有するとともに、「イエル」「キケル」の重要性の理解につなげました。

事例
  • 不正な認証取得
  • ハラスメント
  • 不適切な交際費の利用

事例は日本語だけでなく海外グループ企業の主要言語に翻訳して同じ内容で討議を行いました。

役員研修

コンプライアンス強調月間を通じて、当社役員が企業倫理について改めて考える機会とするために毎年「企業倫理役員研修」を開催しています。例年、コンプライアスに関する各分野の第一人者を講師に招き実施していましたが、2025年度は初めての試みとして当社役員がグループ内の実情や課題を知る機会として、企業倫理室が実際の事例を交え問題提起し討議を行うという実践的なものにしました。

討論テーマ
  • 接待・贈答について
  • ハラスメント問題について
  • 公益通報者保護法について

社内教育・研修

当社では、新入社員・進級した社員・グループ企業の新任役員・海外赴任者などに対して、職位・役割に応じた企業倫理に関する研修を実施しています。また、企業倫理室は各組織からの依頼に応じて、コンプライアンスをテーマとしたセミナーを開催しています。

グループ全体への教育の一環として、毎月イントラネット上にニュース・グループ討論・4コマまんがやクイズなどのコンプライアンス教材を配信しています。また、グループ内の身近な事例を紹介する「コンプラ通信」も独自に作成し、定期的に配信しています。

2025年度 研修実績

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名称 対象者 内容 受講人数(名)
階層別研修※1 新入社員 企業倫理一般
(腐敗防止、反競争行為、ハラスメントの概念・防止および対応策、不正行為を知ったときの報告の義務などの内容を含む講義とグループ討論)
505
C1/C2/C3/C4※2
(Creatorコース)(現:Kコース)
E3/E5/E7/E9※2
(Expertコース)(現:Gコース)
新任リーダー職※3
技術者倫理研修 技術者養成コース受講者 技術者向け倫理一般
(講義とグループ討論)
53
海外赴任者研修 海外赴任者 競争法・贈収賄・差別・ハラスメント・不正防止 5
グループ企業
新任役員研修
グループ企業の新任役員 取締役、監査役の企業倫理上の役割と責任
(講義とグループ討論)
7
  • ※1
    階層別研修対象者は2025年4月に進級する社員、および同年4月入社の新入社員(新卒)です。進級者・新任リーダー職向け研修は同年2~3月、新入社員向け研修は同年4月に実施しました。
  • ※2
    人事制度については、「教育訓練体系」をご覧ください。
  • ※3
    当社では管理職をリーダー職と呼称しています。

報告・相談制度(内部通報制度)

公益通報者保護法に従い、「ダイセルグループ倫理規範」に反する案件などについて、報告・相談できる各種の窓口を設けています。これらの窓口は不正・不祥事の防止、早期発見の促進を目的としており、匿名での相談や、日本語以外の言語での相談にも対応しています。

企業倫理ヘルプライン

各職場の上司を通じたルートでは適正な問題解決が図れない場合を想定し、当社グループ全ての役職員が、当社コンプライアンス担当部門に報告・相談できる窓口として「企業倫理ヘルプライン」を設置しています。社内窓口のみならず、当社および国内グループ企業においては外部機関が管理・運営する社外窓口も設置しています。

また、グループ企業においては、役職員が当社に直接、報告・相談できる体制に加え、それぞれの企業内にも独立した通報窓口を設置し、これらを併用することでより広く役職員の声を集めるようにしています。

このように、当社グループでは役職員が報告・相談しやすい仕組みを整備しています。

なお「企業倫理ヘルプライン」運用にあたっては、報告・相談者に対する①個人情報やプライバシーの保護、②報告・相談したことによる不利益な取り扱いの禁止(報復の禁止)、③調査結果のフィードバックなどの規定を明文化※し、報告・相談者は保護されることを公表しています。

  • ※
    このうち②では案件完了後一定期間のうちに、報告・相談を行ったことを理由として不利益な取り扱いが行われていないか報告・相談者に確認し、状況に応じ必要な措置を講じることが定められています。

社外からの通報窓口

お客様、お取引先様、協力会社の方々、退職者、地域住民の方など、社外の方も利用可能なウェブサイト上の通報窓口も設置しています。より多くのステークホルダーが活用できる環境を定期的に見直し整えて、多様な意見を経営に生かすようにしています。

コンプライアンスに関するご相談

報告・相談への対応

企業倫理室は、「企業倫理ヘルプライン」で受け付けた通報内容の事実確認と調査を行い、問題が確認された場合には、その解決・是正、再発防止策の策定など必要な対応を行います。他部門による対応が必要な場合には、該当部門に依頼し、企業倫理室がフォローします。各グループ企業に寄せられた報告・相談は原則として当事者企業で対応しますが、企業倫理室も通報内容は把握し、必要に応じてサポートを実施します。また、通報窓口に寄せられた報告・相談は、全て当社の企業倫理室担当役員、常勤監査役にも直接転送、共有されます。

さらに企業倫理室は、全ての通報窓口に寄せられた報告・相談の件数と概要、対応状況・結果について、取締役会で定期的(約4回/年)に報告します。

これらの報告・相談制度は各職場での定期的な周知の他、階層別研修やコンプライアンス強調月間のeラーニングを通じて、広く周知と浸透を図っています。また、寄せられた報告・相談の内容を勘案し、教育・研修の内容策定に役立てています。

役職員がヘルプラインをより安心して使用できるように、2024年4月1日からは各分野のコーポレート部門の代表が連携し、通報案件に対して調査や対応を行う「ヘルプライン対応チーム」を設置し運用しています。また、この「ヘルプライン対応チーム」には、複数人の女性が参画し、より多角的な視点で検証すると共に「女性特有の問題」に関する通報の抵抗感の低減を図っています。

なお、2025年度は、経営に重大な影響を及ぼす報告・相談はありませんでした。

対象者
  • 当社社員および海外を含む全てのグループ企業の全社員
  • 全てのステークホルダー(お客様、お取引先様、協力会社の方々、退職者、地域住民の方など)
報告内容
「ダイセルグループ倫理規範」に違反している懸念のある事象
(不正、反競争行為、汚職・贈収賄、人権侵害、ハラスメント、雇用環境、環境汚染、他のコンプライアンス違反)
設置窓口
① 当社社内の窓口
② 各グループ企業の窓口
③ 社外窓口(外部専門機関への委託)
④ ウェブサイトの窓口

報告・相談制度フロー

報告・相談制度フロー:図の上部には、「海外グループ企業役職員」「ダイセル役職員」「国内グループ企業役職員」「取引先 一般の方」が配置されている。「取引先 一般の方」からは「ウェブサイト窓口」へ通報が行われる構造となっている。中央上部には「社外窓口」が配置され、「ダイセル役職員」および「国内グループ企業役職員」からの通報を受け付ける経路が示されている。図の中央には「ダイセル ヘルプライン対応チーム(事実確認・対応)」が配置されている。この対応チームには、「海外グループ企業役職員」「ダイセル役職員」「国内グループ企業役職員」および「社外窓口」「ウェブサイト窓口」からの通報が集約される。図の左側には「海外グループ企業 通報担当者・部門(事実確認・対応)」、右側には「国内グループ企業 通報担当者・部門(事実確認・対応)」が配置されており、ダイセル ヘルプライン対応チームと双方向で連携する構造が示されている。「国内グループ企業役職員」から「社外窓口」へ通報があった際、通報者がグループ企業には告げずダイセルに通報を望むときは、「ダイセル ヘルプライン対応チーム(事実確認・対応)」へ通報される。ダイセル ヘルプライン対応チームの下には「取締役会」が配置されている。対応チームから取締役会へは「受付・対応状況を定期的に報告」する流れが示され、取締役会から対応チームへは「モニタリング」が行われる。

報告・相談件数

(件)
横にスクロール可能です
内容 2021年度 2022年度 2023年度 2024年度 2025年度
問題行動などの指摘 24 35 50 70 110
ハラスメント被害など 19 20 30 42 42
会社への不満 4 16 21 4 5
その他 3 5 1 10 4
合計 50 76 102 126 161
  • ※
    報告ベース:事実と確認できなかった案件も含む
  • ※
    企業倫理室へ報告された当社グループ全体の報告・相談件数

ヘルプライン通報訓練

ヘルプラインの利用促進のため、「ヘルプライン通報訓練」を実施しています。当社グループで独自に考案した実践型の研修で、「何よりもまず実際に使ってみることが抵抗感の解消につながる」という考えに基づいています。

当社グループでは比較的早期より内部通報体制を整備し、その仕組みや安全性を社員に周知してきましたが、社内アンケート結果からは多くの社員が利用に抵抗感を示す状態が続いていました。この課題を解消すべく本研修を導入しました。

本研修は、受講者が、

  • ①
    架空のコンプライアンス事案が記載された課題文書(メール)を読む
  • ②
    自身がその当事者になったつもりで通報文を作成する
  • ③
    自身で直接模擬通報窓口に通報する
  • ④
    通報後、模擬通報窓口から返信される解説付きのメールを読む

という「実際にヘルプラインに通報したときと同じプロセス」を疑似体験します。

なお、課題文書は当社グループで実際に発生した重要コンプライアンス事案をベースに作成しており、その周知や「自分ゴト化」も目的の一つとしています。

2021年度より試験的に運用を開始し、2023年度より本格的に導入しました。2023年度からの3年間で6,251名(対象者に対する受講率99.6%)の役職員が受講しました。多くの社員が所属や立場に関係なく真摯に取り組み、リアリティに富んだ“力作”の回答も多数寄せられました。実際のヘルプライン通報件数は近年大幅に増加し、2021年度と比較して約3倍になりました。本研修のグループ内展開がその一助になったと考えています。