研究・開発 研究開発方針と体制

研究開発方針

注力事業ドメイン

当社の強みである「多種多様な技術」と「幅広い製品群」、「AIやIoTによるノウハウを活用する仕組み」を用いて、「健康」「安全・安心」「便利・快適」「環境」をトリガーとする社会ニーズに対応していきます。平均寿命の延びやそれに伴うQOLへの関心の高まり、DXやIoTの発展に伴うより高度な次世代電子材料の需要増加を見据えて、医療やヘルスケア分野、スマート分野などの当社の強みを生かせる事業分野で新しい価値を提供していきます。

カスタマーイン ~社会課題や顧客ニーズに徹底して向き合う~

社会課題やお客様のニーズに徹底的に向き合って潜在的なニーズを掘り起こし、課題解決のためには、当社の様々な分野でのトップレベル技術・知識を提供します。そして、当社だけでは解決が難しいという場合でも、簡単に諦めるのではなく、お客様のためになるのであれば他社の製品・技術・知識を使ってでも課題解決に臨むという意志をもって取り組みます。私たちの研究開発は、未来社会やお客様が抱えるニーズが常に起点であり、社会やお客様の課題解決と共に成長することで、課題発掘型企業へとシフトします。

機能の意訳 ~既存商品の潜在用途を新たに発掘する~

当社では、既存商品の本質的な機能を捉え直すことで、その機能を応用した新たな市場分野を開拓し、新事業を創造することを、「機能の意訳」と呼んでいます。自動車のエアバッグ用インフレ―タを例に挙げると、その本質的な機能は「安全、確実、瞬時に、一度だけ最適なエネルギーを生み出すシステム(=ワンタイムエナジー)」と定義できます。この機能の意訳から着想を得て開発している製品が、針のない薬剤投与デバイス「アクトランザ™ラボ」です。同じく、電気自動車に搭載する緊急時用の電流遮断器も、ワンタイムエナジーの本質的機能を応用して開発しました。機能の意訳によって既存商品の技術を応用できる新しい市場ニーズを発掘し、ダイセルグループの系譜に基づいた新事業創造を推進します。

事業を強くする「攻め」の知的財産活動 ~IPランドスケープの実践~

グローバルに将来を見据え、知的財産を積極的に活用し、市場優位性の確保やコア技術の獲得、事業創出促進に貢献し、事業を強くする「攻め」の知的財産活動を展開しています。知的財産情報、市場情報などの様々な情報を俯瞰的に分析・可視化し、キープロセス、キーテクノロジーを解析・予測することで、新規事業テーマの選定や新しいビジネスモデルの確立につなげるIPランドスケープを2019年から実践しています。

知的財産に関する取り組み

研究開発体制

研究・開発・知財活動の連携強化で事業創出を加速

豊かな生活を実現する新しい価値の創造に向けて、研究開発においては「シーズ探索の拡大」と「事業化力の強化」を両立するため、研究(Research)と開発(Development)の機能的な自立を重視します。循環型社会の構築に向けて、お客様目線によるシーズの掘り起こしを行うことによって研究のテーマの幅を広げ、開発では絞り込みを行い確実に事業化につなげます。また、当社の強みである攻めの知的財産活動を、事業創出のために最大限に活用しています。

長期的な視点で未来志向の研究を深掘りする

リサーチセンター

当社が保有する製品・技術などと、社会やお客様のニーズを結びつける役割を果たすため、社内人財に加えて外部の有識者や社外から採用した人財による新しい目線でのニーズの掘り起こしや研究に取り組んでいます。具体的には、循環型社会の構築に向けた環境にやさしい次世代化学変換プロセスによるバイオマス新素材への変換技術など、将来的な技術の企画立案や基礎研究を行っています。大学などとの共同研究も多数進めながら、5年、10年先を見据えて、新しい可能性を探索しています。その研究成果を、開発部門や事業部門に繋げていきます。

事業機会の探索から事業企画・開発、事業化までの機能を一気通貫で取り組む

事業創出本部

長期ビジョンに基づく注力事業ドメインにおいて、価値提供型の新事業創出を行っています。それを加速するために、関係する事業部(SBU)やグループ企業と積極的にコミュニケーションを取り、お客様に密着するカスタマーインの取り組みで、ニーズを引き出しています。また、事業創出本部内の評価解析センターでは、これまでに培った幅広い領域での評価技術を集約しグループ内からの要望に迅速に対応しており、従来からの要素技術を核とした分析評価・深耕化に加え、事業化推進も担っています。

オープンイノベーションでバイオマスバリューチェーン構想の実現に取り組む

バイオマスイノベーションセンター

バイオマスイノベーションセンターは地球環境に優しいプロセスで、日本の豊富な森林資源、農業廃棄物などの余剰バイオマスから高機能・高付加価値な製品を創出する技術の確立と、その技術を基に地域の一次産業と価値共創の連鎖を作る「バイオマスバリューチェーン構想」の実現に取り組んでいます。2023年には金沢大学内に産官学を問わず仲間との共創によるオープンイノベーションを目指す研究開発拠点として、金沢大学とバイオマス・グリーンイノベーションセンターを設立しました。セルロースをはじめとするバイオマス素材由来の希少金属吸着材やプラスチック製品の開発、木材を穏和条件で溶かす技術の社会実装に取り組み、循環型社会の構築を目指しています。

バイオマス・グリーンイノベーションセンター

技術の複合化で次世代の新機能を生み出す

無機複合実装研究所

高度化する機能発現要求に対応するため、無機有機複合材料に着目し、社内だけではなく関連する要素技術を保有する大学・メーカー等と共同で、探索・基礎研究からお客様のニーズに基づく応用研究・開発まで幅広く取り組んでいます。特に今後大きな成長が見込まれる次世代パワーデバイスや次世代通信規格6Gに求められる素材について、実装評価を通した材料・機能設計を進めており、早期に社会実装することで持続可能な社会の実現に貢献していきます。

各専門分野から基礎研究から事業化までを力強くサポートする

生産本部(生産技術センター)

新事業創出に向け、お客様が望む機能の製品を合理的に、かつ持続可能なプロセスで作り上げる必要があります。開発の初期段階から研究メンバーと連携し、製造技術のプロとしてシミュレーション技術を駆使しながらコスト・品質を考慮した合理的な製造プロセスを追求して量産化を見据えた工業化技術・工程管理技術の構築をサポートしています。さらに、従来の常識に囚われることなく、新たな切り口で必要な要素技術を明確にし、コスト・品質・省エネを同時に満たす究極のプロセスを追求し社会実装することで、お客様にも地球にも優しい持続可能なモノづくりを構築し、新事業創出の加速に貢献しています。

エンジニアリングセンター

ものを作る「装置」は、当社の企業活動において欠かせない重要な資産であり、その「装置」のプロとして、開発の早い段階から積極的に関わって、新商品の生産技術確立を力強くサポートしています。長年の経験や専門知識に基づく、プロフェッショナルな判断と積極的なコミュニケーションを通じて、迅速に新事業の創出に貢献します。

知的財産センター

会社が保有する知的財産権(特許権、実用新案権、商標権、意匠権等)を積極的に活用し、新事業の創出に繋がるイノベーションを促進し、ダイセルのブランド力向上に取り組んでいます。個別の具体的な研究開発テーマや事業企画テーマにおいて、関連部門と密な連携を取りながら、事業活動の意思決定における一翼を担っています。

【研究開発体制(基礎研究から事業化までの流れと各部署の位置づけ)】

公的研究費の管理・運営体制

当社は「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)」に基づき、公的研究費の運営・管理についての責任体制を定めています。

公的研究費の責任体制

公的研究費の運営・ 管理に関する責任者 職名
最高管理責任者 執行役員 事業創出本部長
統括管理責任者 事業創出本部 事業推進部長
コンプライアンス
推進責任者
事業創出本部 事業創出推進部
研究推進グループリーダー

公的研究費の管理・運営に関する相談窓口

公的研究費等の管理・運営に関する通報・ご相談がございましたら、「コンプライアンスに関するご相談」からお問い合せください。

コンプライアンスに関するご相談

研究開発拠点

イノベーション・パーク(iPark)<兵庫県姫路市>

機能設計・材料設計・評価などを担う研究開発から、プロセス設計・設備設計、シミュレーションなどを担う生産技術・エンジニアリングまでを融合させ、迅速な新事業創出と既存事業の強化を行っています。研究開発、生産技術、エンジニアリング、環境・安全などの技術者や企画・マーケティングや知的財産の担当者が、状況に合わせてフレキシブルに働けるフリーアドレスを採用しています。そして、実験室を部門別ではなく機能別に区分けし、研究開発のスピード向上につなげています。また、クリーンルームと合成・蒸留・分析・評価などができる多機能実験室を備えたオープンラボを配置しており、国内外のお客様と一緒に研究開発が可能です。

  • シミュレーション技術の活用
    • バーチャルラボ(仮想実験)

      シミュレーション技術を使って、研究開発段階から生産段階に至る課題を洗い出し、最適な方法を導き出すための新たな仕組みです。設計初期段階から、実験代替ツールとしてバーチャルラボ(仮想実験)を活用することで、設計期間を短縮・開発コストを削減します。

    • マテリアルズインフォマティクス(MI)

      膨大なデータ・知見とシミュレーションとを掛け合わせ、目的に合わせた材料を分子設計します。人工知能(AI)なども活用しながら、研究開発をスピードアップします。

  • フレキシブルでコミュニケーションを促すワークスタイル
    Activity Based Working(ABW)の採用
    機能別にゾーニングした実験室

事業所案内(イノベーション・パーク)

各工場(日本国内)

機能向上のための研究をはじめ、機能評価や工業化に向けたパイロット開発などを工場内に設置した研究設備、パイロットプラントで行っています。

事業所案内(工場)

各事業部(SBU)の研究開発(一例)

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