大阪大学とダイセルで衝撃科学共同研究講座を開始
国立大学法人大阪大学(総長:西尾 章治郎、以下、大阪大学)と株式会社ダイセル(社長:札場操 本社:大阪市北区、以下、ダイセル)は、高エネルギー体の燃焼時に生じる衝撃現象の根本原理の解明とそれに基づく利用技術の開発を共同で行う衝撃科学共同研究講座を開始することに、3月21日付けで合意しました。2016年に開始している大阪大学大学院医学系研究科との共同研究講座「高速エネルギー治療学」に引き続き、ダイセルとして2つ目の共同研究講座への取組みとなります。
ダイセルは、長年にわたり高エネルギー体を用いた火工品の開発・生産技術・安全技術を蓄積し、自動車エアバッグ用インフレータ(ガス発生装置)等、安心して暮らせる社会を支えるためのモノづくりを行ってきました。これらの製品を機能させる最大の技術のポイントは、千分の一秒の間に起こる衝撃現象の制御にあります。また、この衝撃現象は空間的・時間的に極めて小さい領域で起こり、今までにない新しい物質が生成されたり、微細な隙間を瞬時に物質移動できたりと、多くの可能性を秘めています。今後も、様々な分野で安全・安心を実現する製品を展開し続けていくために、この衝撃現象の根本原理の解明と、それに基づく利用技術、新規材料の創製やシミュレーション技術の開発が求められています。
一方、大阪大学大学院基礎工学研究科では、これまで研究室が個別に対応してきた共同研究とは異なり、企業のニーズに応える新たな融合研究を組織的に推進する環境を提供するため、2017年4月1日に附属産学連携センターを設置しました。
これら、ダイセルの衝撃現象の原理解明やその利用技術開発のニーズと、大阪大学の幅広い学際融合研究のシーズを融合させて、附属産学連携センターの枠組みの中で衝撃科学共同研究講座を立ち上げ、以下の研究課題に産学連携で取り組みます。
- 1衝撃現象などを利用した新規材料の創製とそのメカニズムの解明
- 2衝撃由来の物理的作用をシミュレーションする技術の開発と、新規投与デバイスに関する基礎
的学理の解明
これら科学と技術の融合によって課題解決される研究に取り組むことにより、基礎的な研究開発力の強化も目指します。