基本的な考え方
当社グループは、「ダイセルグループ倫理規範」に掲げる「3.環境や社会に配慮した事業活動『⑤ 地域社会への貢献:事業活動を通じて関わる地域の文化や慣習を尊重し、適切な情報提供や対話を通じて、地域との良好な関係を維持・向上させるとともに、地域社会の発展に貢献します。』」に基づき、地域社会とのコミュニケーションを図るとともに、地域と共生し発展に貢献するため、次世代育成、ボランティアなど、多岐にわたる活動に取り組んでいます。
次世代を担う子どもたちの育成
中国ダイセルグループ11社共同での教育拠点への支援
中国の当社グループでは、「価値共創によって人々を幸せにする会社」という基本理念のもと、教育を将来を支える重要な基盤と位置付け、継続的な支援に取り組んでいます。
本活動は SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」に基づき、中国の当社グループ11社が連携し、広西チワン族自治区・勝利村において教育支援を実施するものです。現地の子どもたちに教育物資を届けることで、学習環境の向上を支援しています。
2021年から2025年までの5年間で、複数の教育拠点を支援し、延べ1,259名の児童および115名の経済的に困難な状況にある大学生を支援しました。継続的な支援を通じて、地域の将来を担う人材の育成に寄与します。
2025年度は、6カ所の教育拠点に在籍する219名の児童に対し、図書、学用品、制服などを寄贈したほか、40名の大学生に奨学金を支給しました。
今後も、中国の当社グループは「人間中心の経営」の考え方のもと、地域社会と共に歩みながら、継続的な支援に取り組んでいきます。
未来の人材育成への投資 ― 教育と産業発展のパートナーとしてのDSSE
Daicel Safety Systems Europe Sp. z o. o.(以下、DSSE)は、2025年12月12日、ポーランド・ヴァウブジフで開催された「ナレッジ・トライアングル・カンファレンス」をパートナーとして支援しました。
カンファレンスには、ヴロツワフ工科大学、ドルヌィ・シロンスク教育監督局、ヴァウブジフ特別経済区インヴェスト・パークなどが参加し、教育機関、学術界、産業界の関係者が一堂に会して、現代経済の発展に不可欠な技術教育や、将来求められる能力について意見を交わしました。
産業界の視点からは、今後求められるのは、純粋な技術知識に留まらない幅広い能力であり、具体的には、デジタル環境で業務を遂行する力、データ分析力、複雑な技術プロセスへの理解、プロジェクトベースで仕事を進める力に加え、継続的に学び、変化に適応していく姿勢がますます重要視されていくという意見や、学際的な環境におけるチームワークやコミュニケーション力、変化の激しいビジネス環境下での意思決定力といったソフトスキルも欠かせないという意見が出ました。
DSSEでは、これらの能力育成に継続的に力を入れており、教育機関との連携を、将来の産業成長を支える戦略的な柱の一つと位置付けています。CSR活動の一環として、インターンシップや見習い制度への支援、学生プロジェクトへの参画、若手技術者の育成における業界専門家の関与など、理論と実践を結び付ける取り組みを積極的に推進しています。
また、学校・大学・企業が連携する枠組みの育成にも長期的に取り組み、実効性のある協力体制の構築を進めています。DSSEは、未来に必要な能力への投資とは、人材やイノベーション、さらには地域全体の競争力への投資であると考えています。
こうした企業と教育機関との長期的なパートナーシップは、次世代を担う人材が実社会の課題に適切に対応できるよう備えるとともに、現代的で責任ある産業の発展を支えています。
中高生の自主研究活動支援
当社では、中高生の好奇心を応援する研究伴走型の支援に継続して取り組んでいます。
2025年度は、海外での研究発表に挑戦する中高生への支援や、地域のSSH校の探究活動の直接支援など、取り組みの幅を広げました。
海外に挑戦する高校生を後押しする研究発表支援(高校生海外挑戦支援制度)
当社では2025年度から、海外に挑戦する高校生を支援する取り組みを開始しました。
優れた研究成果の海外発表や国際大会への挑戦、国際的な舞台での体験を後押しし、世界に触れながら研究を深め、成長する機会を広げています。
2026年3月には、海外で研究発表や国際大会に挑戦した高校生を招き、東京本社にて研究成果発表会を開催しました。発表する生徒に加え、指導教員や当社役員、研究員・社員が参加し、研究のプロセスや現地での経験について活発に対話しました。
生徒からは「研究の伝え方を見直すきっかけになった」「海外の同世代の反応を知り、刺激を受けた」といった声が寄せられ、社員にとっても次世代の挑戦から多くの学びを得る機会となりました。
当社は、こうした経験を発表・対話・振り返りへとつなげ、次の学びへ広げていくことを大切にしています。
SSH(スーパーサイエンスハイスクール)との対話を通じて、探究を社会につなぐ(SSH校の研究活動支援)
当社では、兵庫県立龍野高校から始まった探究支援を、2025年度からは当社事業場のある地域のスーパーサイエンスハイスクール(以下、SSH)校へと広げ、探究活動の現場に足を運びながら、生徒や教員との交流を重ねてきました。
SSHとは、文部科学省が指定する理数に重点を置いたカリキュラムのもとで、課題研究や探究的な学習活動に取り組む教育プログラムです。生徒は研究テーマを設定し、仮説を立て、検証を重ねながら課題研究に取り組んでいます。
当社は、兵庫県内のSSH校の高校生約1,200名が集う「サイエンスフェアin兵庫」や、各SSH校の探究関連イベントに参加し、製品紹介や3Dプリンタによる生分解性プラスチックの造形実演、事業紹介を行いました。
さらに、各SSH校で開催される研究テーマ提案会や成果発表会での対話を通じて、高校生の探究に寄り添う継続的な関係基盤の構築を進めています。
これらの交流は、高校生が探究を社会と結び付けて捉え直す機会となると同時に、企業側にとっても研究や事業の意義を見つめ直す場となりました。
2026年度は、こうした取り組みから得られた学びを生かし、大学やSSH校、地域との連携をさらに深めながら、中高生の探究を継続的に支える仕組みづくりを進めていきます。
地域社会との交流
タイ・プラチンブリでの地域社会における社会貢献活動
Daicel Safety Systems (Thailand) Co., Ltd.(以下、DSST)は、地域住民と共に、行政機関の協力なども得ながら、継続的な社会貢献活動を実施しています。
献血プロジェクト
2026年1月、DSSTはチャオプラヤー・アバイブーベ病院およびプラチンブリ県赤十字社との協力により、第29回DSST献血プロジェクトを開催しました。本献血活動は年4回実施されており、多くの社員が参加しています。
また、本プロジェクトでは臓器移植に関する啓発活動も取り組んでおり、2023年からの累計で46名が献体、臓器提供、角膜提供への意思を表明しました。
地域の医療機関への医療機器寄贈
DSSTは2013年から、DSST付近の地域住民がより質の高い医療を受けられるよう、近隣の医療機関へ医療機器の提供を実施しています。2025年8月には、DSSTプラチンブリ工場が所在する地区の郡立病院へ医療機器を寄贈しました。
生態系回復のための植林および人工塩なめ場(ソルトリック)造成活動
2025年11月、DSSTはプラチンブリ県タップラーン国立公園において、CSR活動“Planting Hearts, Planting Forests, Planting the Future”に参加しました。
社員は、森林再生、野生ゾウのための人工塩なめ場の造成、緑地拡大を目的とした植樹活動に取り組みました。本取り組みは、持続可能な社会および環境への責任と事業活動を両立させるという当社の姿勢を示すものです。
「ダイセル ブラインドサッカー®ウィーク in うめきた」開催
当社は2025年5月18日から25日までの8日間、グランフロント大阪 うめきた広場において、「ダイセル ブラインドサッカーウィーク in うめきた」を開催しました。
ブラインドサッカー※1とは、アイマスクを着用し、転がると音の鳴るボールを用いて行う5人制サッカーです。ゴールキーパー以外の4人は視覚障がいのある選手で構成され、互いの声や音を頼りにプレーします。
当社がタイトルスポンサーとして協賛した本大会では、男子カテゴリーに日本・アルゼンチン・タイ・コロンビア、女子カテゴリーに日本・イングランド・アルゼンチン・オーストラリアの各4カ国が出場し、うめきた広場を舞台に熱戦を繰り広げました。大会期間中は、ブラインドサッカーのファンに加え、駅や商業施設を訪れた多くの方々が足を止めて観戦し、観戦者総数は17万名を超えました。
本大会には、当社社員である髙橋裕人選手も日本代表選手の一員として出場しました。また、当社グループからは延べ330名がボランティアとして参加し、会場設営、競技運営、来場者誘導、ブース運営など、様々な場面で大会運営を支えました。
さらに、5月24日には、当社グループの社員とその家族を対象とした「ダイセルファミリーデー」を開催しました。サッカー教室やブラインドサッカー体験会、トークショー、試合観戦などのプログラムを実施し、参加者にとってブラインドサッカーへの理解を深める機会となりました。参加した子どもたちは女子決勝戦でエスコートキッズも務めました。
当社は、日本ブラインドサッカー協会のパートナーおよび男子・女子日本代表スポンサーとして、ブラインドサッカーの普及と発展を支援しています。2024年に開催した「ダイセル ブラインドサッカージャパンカップ 2024 in 大阪」に続き、今回は男子・女子両カテゴリーの国際公式大会を支援し、ブラインドサッカーの魅力をより多くの方々に届ける機会となりました。
©Haruo.Wanibe/JBFA
日本ブラインドサッカー協会職員と当社社員・家族の集合写真
-
※1「ブラインドサッカー」は、NPO法人日本ブラインドサッカー協会の登録商標です。
-
※2元プロサッカー日本代表選手
-
※3ブラインドサッカー元男子日本代表選手
障がい者就労支援事業所の手作り製品・パンの販売
当社は障がい者就労支援事業所による手作りパンやお菓子などの社内販売を大阪本社・東京本社では年2回、播磨工場・神崎工場では毎月実施しています。
大阪本社では認定NPO法人トゥギャザーに協力いただき、障がい者就労支援事業所が製造したパンやお弁当、復興支援商品などを販売しました。
認定NPO法人トゥギャザーは、障がい者の自立と社会参加を支援する活動の一つとして全国各地の障害者福祉事業所で作られた商品の販売を支援している団体です。
商品や製造場所の説明を聞くことによって障がい者支援を学び、商品購入を通じて社会貢献の一助となる良い機会となっています。大阪本社では春と秋の年2回行っており、特に秋については当社のサステナブルウィークを盛り上げる定番イベントとなっています。
富士工場での地域住民とのコミュニケーション
ポリプラスチックス株式会社 富士工場(現 ・当社富士工場)では、1974年より50年間にわたって定期的に地域住民の方々をお招きして環境・健康・安全に関する意見交換を実施しています。
2025年6月には、地域住民の方々との意見交換会を開催し、10名が参加しました。当日は、富士工場の環境への取り組みを説明するとともに、活発な意見交換が行われたほか、環境関連設備などを中心に工場見学も実施しました。参加者からは「取り組み内容を聞いて、不安が解消された」など前向きな声が寄せられました。今後も地域住民とのコミュニケーションを継続することで相互の理解を深め、信頼関係構築に努めていきます。
ボランティア活動
シンガポールでのスクールバッグ寄付
2025年度は、Daicel (Asia) Pte. Ltd.とPolyplastics Asia Pacific Singapore Pte. Ltd.(現・Daicel HPP Singapore Pte. Ltd.)が合同で、スクールバッグを製作し、支援が必要な子どもたちに学校を通して届ける活動をしました。参加した社員たちは子どもたちの笑顔を想像しながらバッグを作成していました。この活動を通して、社会への貢献について改めて皆で話し合うことができました。
ジャカルタでのマングローブの植樹
2025年度は、Polyplastics Asia Pacific Singapore Pte. Ltd. Jkarta Rep-Office(ジャカルタ事務所)が、エコ活動として地域社会と共同で、マングローブの植樹活動を実施しました。
参加者は水に浸かりながら、数年後にはマングローブ林となることを想像しつつ、丁寧に植樹活動を実施しました。
これらは小さな取り組みですが、この積み重ねがいつか大きな輪となり、地球の環境改善につながることで、次世代の子どもたちにより良い環境を引き継ぐことができると考えています。