基本的な考え方
2021年11月に当社グループはTCFD※提言に賛同しました。TCFD提言に沿って気候変動に関する「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標および目標」の各項目における情報開示に取り組みます。
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※Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース
ガバナンス
気候変動への対応は、経営レベルで議論を行っています。2025年度は、循環型社会構築への貢献認定制度(制度名:CycloVia®)の導入、GHG排出量削減の取り組み、インターナルカーボンプライシング制度の導入などについてサステナブル経営委員会で討議し、その内容を取締役会で報告しました。
また、社長直轄の「カーボンニュートラル戦略委員会」において、当社グループの省エネルギー推進と管理を行うとともに、GHG排出量削減目標達成に向けて、現行生産プロセスにおけるGHG排出量削減、エネルギー部門のGHG排出量削減、革新的技術によるGHG排出量削減の3つの切り口で、当社グループ全体で地球環境と共生する循環型プロセスの構築に取り組んでいます。
戦略
当社グループは、気候関連リスクおよび機会を踏まえた戦略や組織のレジリエンスについて検討するため、国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による気候変動シナリオを参照して以下の手順にてシナリオ分析を実施し、2030年時点での影響を考察しました。
シナリオ分析実施手順
シナリオ分析は以下の手順で実施しています。
シナリオ分析条件と概要
- ①シナリオ分析対象
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当社グループの主要事業領域として、以下の事業を評価対象としました。
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ハイパフォーマンスポリマーズ事業
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酢酸セルロースを中心としたアセチル事業
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セイフティ事業
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- ②時間軸
- 2030年時点での移行リスク、物理リスク、移行機会を検討しました。
- ③想定するシナリオ
- IPCCやIEAなどの情報をもとに、「脱炭素化が進んだシナリオ(1.5℃/2℃シナリオ)」と「脱炭素化が進まないシナリオ(4℃シナリオ)」の2つのシナリオを想定し、それぞれリスクおよび機会を検討しました。
- 4℃シナリオと1.5℃/2℃シナリオの2030年時点での気温の上昇はいずれも1.5℃程度で大きな差はないことから、2030年時点での物理リスクは1.5℃シナリオ(一部、2℃未満シナリオ)、4℃シナリオ共に同程度と想定されます。このため、物理リスクについては、2つのシナリオそれぞれについて区別せず、2030年時点では同じ状況であると予測しました。
シナリオ概要
| 1.5℃/2℃ | 4℃ | |
|---|---|---|
| 社会の変化 |
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| 技術革新 |
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| 気候の変化 |
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※Carbon dioxide Capture and Utilization:二酸化炭素回収および有効利用
シナリオ分析の実施結果 -リスクと機会-
分析を行った事業における気候変動に対するリスクと機会、その影響度および対策案は下表の通りです。
| リスク機会 | カテゴリ | 内容 | 全体 | HPPs事業※1 | アセチル事業 | セイフティ事業 | 対応 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 4℃ | 1.5/2℃ | 4℃ | 1.5/2℃ | 4℃ | 1.5/2℃ | 4℃ | 1.5/2℃ | ||||
| 移行リスク | 政策・法規制 | 炭素価格(税)の導入・強化により、操業コストが上昇 | GHG排出量削減目標(2018年度比総量50%減)実現に向けた活動推進 ICP導入によるリスクの定量化 |
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| 炭素価格(税)の導入・強化により、上流取引先のコスト増が価格転嫁され、調達コストが上昇 | サプライヤーと協働でGHG排出原単位削減を推進することで影響を低減 低GHG原材料への切り替え |
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| 欧州炭素国境調整措置など、各国の炭素排出目標・政策による温室効果ガス排出の規制強化 | GHG排出量削減目標(2018年度比総量50%減)実現に向けた活動推進 省エネ、低GHG原材料への切り替え、調達先を変更 |
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| 市場 | 低炭素社会実現に向け、石化由来原材料などの価格変動 | 在庫管理の最適化 複数購買化、処方による原料シンプル化、製造技術向上による品質均一化の推進 |
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| 技術 | 省エネ、生産性向上のための設備投資コストの増加 | 処方設計・テクニカルサービスの技術・ノウハウ開発を加速することでリスクを解決 | |||||||||
| 評判 | 気候変動に対するリスク・機会の特定とその対応、環境経営に関する情報開示要求の高まり | 環境対応に関する体制・仕組み強化 変化する社会の要求に合わせた環境関連の情報開示を継続 |
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| 物理リスク | 慢性/急性 | 異常気象による災害の激甚化(豪雨・洪水・台風)による、操業停止や原材料、製品の損傷 サプライチェーンの停止 |
気候変動に対するBCP強化 | ||||||||
| 慢性 | 平均気温の上昇による、労働条件の悪化や感染症蔓延 | 継続的な職場環境の改善 | |||||||||
| 移行機会 | 市場 | 環境配慮型製品など、新規市場拡大 (生分解性プラスチック・EV・再エネ・リサイクル・水資源保護) |
リサイクルビジネス(リコンパウンディング事業)の開発 低GHG製品の開発(CCU技術活用、バイオ原料製品開発) 酢酸セルロース機能化、新規ファインセルロース開発、BIC※2案件事業化 EV向け電流遮断装置の市場開拓 CycloVia® ※3の運用 |
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| 資源の効率性 | 省エネ、生産性向上による操業コストの削減 | ダイセル独自の生産革新手法、自律型生産システム導入 | |||||||||
| その他低減活動※4 | |||||||||||
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※1HPPs事業:ハイパフォーマンスポリマーズ事業
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※2BIC(バイオマスイノベーションセンター):バイオマス資源の原料化に取り組む当社部門
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※3CycloVia®:社内認定制度である「循環型社会構築への貢献認定制度」の制度名
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※4その他低減活動:GHG排出量50%削減(スコープ1、2)のための投資、GHG排出量削減による炭素価格の影響を低減、低GHG原材料への転換、サプライチェーン全体の低減活動など
リスク管理
当社グループは、気候変動を、サステナブルな経営における重要なリスクと捉え、当社グループのリスク管理体制の下、リスク評価、対応およびその実施状況の確認を行います。重大な課題に対しては、サステナブル経営委員会において詳細な検討を行います。
指標および目標
当社グループでは、マテリアリティ15項目の中に、「気候変動への対応」「環境に貢献する素材や技術の提供」「循環型社会構築への貢献」を掲げ、それぞれにKPIを設定しています。「気候変動への対応」においては、「2050年カーボンニュートラル」の達成に向け、GHG排出量削減目標の達成を目指し、省エネルギー対策をさらに発展させていきます。また、2025年1月に社内認定制度である「循環型社会構築への貢献認定制度(制度名:CycloVia®)」を、同年4月にインターナルカーボンプライシング制度を導入しました。これらの制度をリスクと機会の指標として活用するなどにより、新たな仕組みの構築を進めていきます。
| マテリアリティ | 指標 | 目標 | 実績(2025年度) | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 気候変動への対応 | 当社グループのGHG排出量削減率 | スコープ1、2 2030年度:50%削減(2018年度比) |
7.9%削減 | |
| 環境に貢献する素材や技術の提供 | 製品に含まれる循環型原料※1の使用率 | 2030年度:30%以上 | 17.8% |
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| 循環型社会構築への貢献 | 天然素材を利用した資源循環システムの対外的な提案数 | 2025年度:3件 | 3件 |
当社グループは、サステナブル経営方針の中に地球環境と共生する循環型プロセスの構築を掲げています。引き続き低炭素経済に貢献する製品やサービスについて議論を重ね、より良い指標と目標の設定を検討していきます。