研究・技術開発 共創事例
価値共創に向けて
当社は、長期ビジョンにて掲げた循環型社会構築に貢献するため、部署や会社、業界や産学官の壁を超えて、志を共有しながら価値創造できる仲間を作り、新しい製品や技術、サービスを提供していきます。金沢大学、京都大学、神戸大学、熊本大学、兵庫県立大学と包括連携協定を締結し共同研究を推進している他、海外や国内の大学に産学連携拠点を設置するなど、大学や公的研究機関との連携を積極的に進めています。循環型社会構築や社会課題解決につながる新しい製品の開発に向け、当社は今後も産学連携をはじめとして、価値創造できる仲間とともに社会の発展に貢献してまいります。
共創事例
循環型社会の実現に向けた共創(金沢大学、京都大学)
当社は、第四次長期ビジョン「DAICEL VISION 4.0」と「サステナブル経営方針」において、人々に幸せを提供する価値ある製品を創出し、ヒトや地球にやさしい方法で生産する技術を開発・発展させることで循環型社会の構築に貢献することを目指しています。その中で、当社が長年扱ってきたセルロースをはじめとする脱石油につながる天然由来資源の有効活用(バイオマスプロダクトツリー構想)と、幅広い産業分野との連携で新たな社会的価値を創出できる仕組づくり(バイオマスバリューチェーン構想の実現)を推進しています。
- 1金沢大学
セルロースを中心とした共同研究や人材交流を続けながら、2018年7月には包括連携協定を締結、2019年7月には「先導科学技術共同研究講座」と同研究室を設置し、バイオマスを由来とする新機能素材の基礎研究に取り組んできました。 そして、2023年4月にバイオマスプロダクトツリー研究の新拠点として、バイオマス・グリーンイノベーションセンター(通称 BGIC:ビージック)を設置しました。BGICでは一次産業の産品やその副産物・廃棄物・CO2などを環境にやさしい次世代化学変換プロセスによってさまざまな有価な素材に変換する、真にサステナブルな社会を実現するための技術を共同研究し、社会実装を推進しています。
バイオマスプロダクトツリー研究の新拠点、金沢大に設置(2020年12月8日) バイオマス・グリーンイノベーションセンター本格稼働開始(2023年4月28日) 共同研究の紹介動画はこちらから
- 2京都大学
木を丸ごと使い切ることを目指し、木材の穏和な条件での可溶化や木材からの成分分離、化学修飾による機能化、機能性材料をつくる手法を開発しています。2017年より共同研究を開始し、2021年10月には、自然と共生する低炭素社会の実現や新産業創出などに寄与することを目的とした包括連携協定を締結しました。京都大学宇治キャンパス内に、京都大学の3つの研究所とダイセルの共同ラボとして「バイオマスプロダクトツリー産学共同研究部門」を設置し、強固な産学共同研究を進めていきます。
メディカル・ヘルスケア、ケミカル/バイオプロセス、グリーンケミストリーをはじめ幅広い領域での共創(神戸大学)
2022年6月23日に研究・技術の発展と社会への貢献を目的とした包括的な産学連携推進に関する協定を締結し、メディカル・ヘルスケア、ケミカル/バイオプロセス、グリーンケミストリーの3つの領域での共同研究を行ってきました。現在、人文社会科学にも共同研究の領域を拡大し、連携をさらに強化しています。また、当社は神戸大学が採択された経済産業省による「令和4年度補正予算 地域の中核大学等のインキュベーション・産学融合拠点の整備」事業において、スタートアップ創出に向けた研究者・学生・起業サポート人材の交流・育成を行うインキュベーション施設、バイオメディカルメンブレンに関連する企業との共同研究施設・設備、そしてオープンイノベーションの推進施設、これらを包括的に有する産学融合中核拠点「バイオメディカルメンブレン研究・オープンイノベーション拠点」の設置を支援しました。今後、これらの施設を活用しながら産産学学官官の連携を強化することで、当社と神戸大学の共同研究、技術交流をさらに深化させ、その成果を社会実装していくことで持続可能な循環型社会の実現に貢献していきます。
神戸大学のインキュベーション・産学融合拠点整備を支援 神戸大学とダイセルが包括連携協定を締結~メディカル・ヘルスケア領域をはじめとする成果でイノベーションを創出~[PDF:345KB]
「ワンタイムエナジー®」技術を活用しダイセルの目指す4つの事業領域でまだ世の中にない新たな価値を共創(熊本大学)
2022年10月に「ワンタイムエナジー共同研究講座」を設置し、産学連携によるまだ世の中にない新たな価値の共創を目指しています。この講座では、熊本大学が培ってきた衝撃エネルギー関連の研究成果とダイセルの「ワンタイムエナジー®」技術を融合させた共同研究テーマに取り組んでいます。2023年5月には更なる連携強化のため包括的な連携に関する協定を締結し、健康(ヘルスケア)、安全・安心、便利・快適、環境の領域において社会実装に繋がる共同研究や人材育成、地域連携など、さらに連携強化をし、双方および地域社会の発展に寄与することを目指しています。
国立大学法人熊本大学と包括連携協定を締結-まだ世の中にない新たな価値の共創に向けての更なる連携強化-(2023年5月8日)[PDF:159KB] 熊本大学と「ワンタイムエナジー共同研究講座」を共同で設置 -まだ世の中にない新たな価値の共創-(2022年10月20日)[PDF:294KB]
摩擦界面現象の解明と新素材開発を目指した共創(兵庫県立大学)
2017年8月に包括連携協定を締結し、産学連携を多方面で進めています。2020年に「摩擦界面現象共同研究講座」を設置し、複雑な摩擦界面での現象をミクロ(原子・分子スケール)とマクロ(実用材料スケール)の両視点から研究しています。また、樹脂を摩擦部材として使用する際に求められる特性を狙い通りに発現させるため、材料の本質に関係する理論の構築を目指しています。当社は、本講座の共同研究から得られた理論と要素技術を具現化し、社会ニーズに応える軽量で高性能な新素材の提供を目指しています。
兵庫県立大学に「摩擦界面現象共同研究講座」を設置 開講式を2020年11月24日(火)に実施(2020年11月17日) 兵庫県立大学と包括連携協定を締結しました(2017年8月25日)
究極の生産効率を追求する共創(台湾 国立清華大学、神奈川県立産業技術総合研究所)
当社はこれまでに、ダイセル式生産革新やプロセス革新を通じて省エネルギー化を実現してきました。カーボンニュートラルの実現に向けたさらなる取り組みとして、世界に先駆けて、台湾 国立清華大学、神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC)と、究極の生産効率を追求した「マイクロ流体デバイスプラント」の社会実装に取り組んでいます。マイクロ流体デバイスは名刺サイズのガラス基板上に数百マイクロメートルの流路を設け、その流路内で混合・反応・精製などの化学操作をマイクロスケールで行う装置です。流路の狭さゆえに瞬間的な混合が可能で、除熱能力に優れ、不純物発生の原因となる温度分布や濃度分布のばらつきを極少化することができます。それにより、物質を均質な温度・濃度条件の下、分子レベルでムラなく反応させることが可能です。不純物を除去するための分離・回収工程自体も不要となり、大幅な省エネルギー化に加え、製造プロセスの短縮、製品品質の向上などが期待できます。マイクロ流体デバイスを大規模直並列化し、プロセス精密制御を実現することで、研究領域で確立された製法のまま大量生産できると同時に、省スペース・省エネルギー・省資源かつ必要なものを必要な量だけ生産できる、サステナブルな次世代生産プラントの実現を目指しています。
国立清華大学(台湾)と「マイクロ流体デバイスプラント」に関する共同研究開発を開始(2021年10月28日)[PDF:259KB]
社会課題解決に向けたソリューション提供のため、当社では企業や研究機関と皆さまとの共創に取り組んでいます。お気軽にお問い合わせください。
In Focus
資源の新しいルートを探るWebメディア「Bipass」
「Bipass」は、ダイセルのコア技術である「バイオマス」に関するテーマにおいて、ダイセルだけではない、あらゆる企業・団体などの取り組みを紹介しています。
未来へ向けた問題提起、議論の場として機能することで、バイオマスの社会的認知の拡大、仲間集めを行います。